米国務次官補:ミャンマー入り 軍事政権情報相と会談
【バンコク西尾英之】キャンベル米国務次官補(東アジア太平洋担当)は3日、ミャンマーの首都ネピドー入りし、軍事政権のチョーサン情報相らと会談した。米国務省高官のミャンマー訪問は95年のオルブライト国連大使(当時)以来14年ぶりで、オバマ政権の軍事政権との対話政策が本格化した。
最大都市ヤンゴンにある米大使館によると、キャンベル氏は4日、テインセイン首相ら政権幹部と会談後、ヤンゴンに移り、民主化運動指導者、アウンサンスーチーさん(64)とも面会する。
キャンベル氏は軍事政権に改めて「政治・経済制裁の解除にはスーチーさんを含む政治犯の釈放が必要」との米政権の立場を伝え、民主化や人権問題で具体的な譲歩を求めるとみられる。北朝鮮との軍事協力を行わないよう求める可能性もある。
しかし今回、軍事政権が実質的な譲歩に応じる可能性はない。政権の最高指導者、タンシュエ国家平和発展評議会議長は国内出張中でネピドーにはいないとされ、キャンベル氏との会談は行われない見込みだ。
タンシュエ議長は8月、制裁解除を強く主張する親軍事政権のウェッブ米上院議員が訪問した際には会談に応じた。今回はキャンベル氏との会談を避けることで、一方的に米国の「言いなり」にはならないとの姿勢を改めて示す狙いもあるとみられる。
ミャンマー民主化運動グループの間には、オバマ政権が軍事政権の譲歩を引き出せないまま対話政策へと転換したことへの警戒感が根強い。
スーチーさんは表向き対話政策を歓迎しているが、スーチーさん率いる最大野党「国民民主連盟」のニャンウィン報道官はキャンベル氏訪問について、「米国の新政策が何を生み出すか見守らなければならない」と語った。