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川柳・政治・時事・エッセイ

ウランからトリウムへ・・・日本に戦略はあるか・・・(転記)

2009年10月20日 | 川柳

谷口正次:資源ウォーズと地球と生態系

ウランからトリウムへ―世界の核燃料戦略を読む

日本に戦略はあるか

 レアアースはエレクトロニクス、IT機器、電気自動車など先端技術産業には欠かせないもので、いま、わが国の産業界でもレアメタルとともに関心が非常に高まっている重要な資源である。

 そのモナズ石の中にトリウムが含まれているのだ。とくにインドのモナズ石はトリウム含有量が約8%と非常に高い。一方、中国はレアアース(希土類)では世界の97%の生産量と31%の埋蔵量を誇る。

 現在、モナズ石などの鉱物からレアアースを抽出する際には、放射性物質であるトリウムは厄介な不純物として除去しなければならない。ただ、中国のモナズ石などの中に入っているトリウムの含有量は0.3%以下とインドに比べてはるかに少なく、レアアースを取り出すには邪魔ものが少なくて好都合と言える。

 とはいえ、なにしろレアアースの生産量世界一の国である。廃棄物としてトリウム資源が少なからず蓄積されている。これを、中国政府は将来の重要なエネルギー資源と見なしているはずだ。最近、清華大学が中心になってトリウム利用推進を訴え、IAEAと共催でトリウムに関する国際会議も開いている。

 中国では最近、国営企業2社がオーストラリアの有力なレアアース、レアメタルの探鉱・開発会社の支配権を握った。オーストラリアのモナズ石は、6%のトリウムを含んでいる。

世界の主なトリウム資源保有国の確認埋蔵量
単位:t(トリウム換算)
オ-ストラリア 300,000
インド 290,000
ノルウェー 170,000
USA 160,000
カナダ 100,000
南アフリカ 35,000
ブラジル 16,000
その他 90,000
(出所:US地質調査所 2007)

世界のウラン資源の確認埋蔵量
単位:t(ウラン換算)
オーストラリア 700,000
カザフスタン 510,000
カナダ 350,000
USA 350,000
南アフリカ 270,000
ナミビア 200,000
ニジェール 200,000
ブラジル 170,000
ロシア 130,000
その他 220,000
(出所:2006 IAEA Red Book)

 2007年12月20日。「立命館大学で、日・中・印の温暖化専門家会議が開かれ、その声明文の中で先進的な原子力としてトリウム利用を検討すべきだとの文言が盛り込まれた。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のパチャウリ議長も強く推奨した」(2008年2月28日付け『日経産業新聞』、亀井敬史博士寄稿文より)

 いまや世界の資源、エネルギー、環境政策は一連の環を形成している。その環をつなぐ両端にトリウムとレアアースがある。このことを、わが国の国家戦略を考え、政策を担う人たちがどのように受け止めているのか知りたいものだ。

 政局と内政に明け暮れ、世界の空気を読めないでいるとこの国の将来は危うい。

 唯一の核兵器使用国アメリカと唯一の核被爆国日本、いまこそ手を組んでトリウムによる核廃絶を目指す絶好のチャンスと言えないだろうか。

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オバマ大統領とトリウム(転記)

2009年10月20日 | 川柳

谷口正次:資源ウォーズと地球と生態系

ウランからトリウムへ―世界の核燃料戦略を読む

オバマとトリウム

 すなわち、米国がトリウム原子力によって、地球温暖化対策と核廃絶のために世界のリーダシップをとるとともに、グリーン・ニューディ-ル政策の推進にも役立てようとしているのではないかと読みたくなるわけだ。ブッシュ前大統領の原子力回帰政策をオバマ大統領は踏襲しなかったが、トリウム原子力で大きな違いが出せるというものだ。亀井博士によると、今年6月には米下院で、7月には上院で通過した国防予算法案の中に、海軍においてトリウム溶融塩炉の研究を進めることが入っており、2011年2月1日までに国防委員会に報告せよとなっているそうだ。

 米国の三大ニュース誌の一つに「US.News&World Report」 という雑誌がある。 2009年4月号は、GREEN Economyの特集号だ。その中でトリウム原子力を紹介している。

 米国、チェコ共和国のほかに、トリウム溶融塩炉の技術開発に向けて動き出した国としてはカナダ、ノルウェー、オーストラリアながである。インドは60年にわたって独自に開発を進めてきた。そして、忘れてはいけないのが中国の台頭だ。

 残念ながら日本では封印された状態である。これまで、ごく少数の技術者が溶融塩炉の実用化の必要性を声高に訴えていたが、全く無視されている。何しろ、東芝、三菱重工、日立製作所といった大企業が軽水炉型の発電所ビジネスでフランスのアレバ社とともに世界にその存在感を示しているわけだから、大型タンカーのように簡単には国策の舵はきれないだろう。しかし、世界の空気を読めないでいると、日本は世界から取り残される恐れも否定できない。

 注目すべきは、中国、インドである。両国ともウラン資源が乏しいので埋蔵量世界一を誇るオーストラリア頼みである。中国は、2006年4月、温家宝首相がオーストラリアを訪問してハワード首相と会談を行った際、2010年からウランの中国向け輸出開始で合意した。

 オーストラリアはウランの輸出先に核拡散防止条約(NPT)加盟を義務づけている。中国はNPT加盟国ではあるが、軍事利用の心配があるとして、オーストラリアはそれまで中国への輸出には消極的であった。今回の輸出解禁に際し、中国はオーストラリアに対してウランを平和目的以外に利用しないという保証協定を結び、輸入したウランに関連して国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れて、オーストラリアに対して公開する義務を負った。

 原子力発電に積極的なインドもオーストラリアにウラン輸出を要請し続けていたが、NPT非加盟国であることからこれまで見送られてきた。しかし、2007年8月になって、インドへの輸出も容認することを決めた。中国と同じ条件で協定を結ぶことになった。これは、核拡散防止条約未加盟国にもかかわらず、インドが米国と原子力に関する二国間協定で合意したことを受けた例外措置だそうだ。

 米国やオーストラリアなどが原子力を軸にインドと中国に急速に接近している。ウラン資源は乏しいインドと中国だが、逆にある資源については両国とも豊富という共通点がある。モナズ石などのレアアース(希土類)を多く含む鉱物資源である。

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