(CNN) ノルウェーのノーベル賞委員会は9日、今年のノーベル平和賞を、バラク・オバマ第44代米大統領(48)に授与すると発表した。就任間もない現職大統領の平和賞受賞は近年、極めて異例。オバマ氏は、メディアが予想する平和賞の有力候補リストに入っていなかった。
授賞理由として、国際外交の推進や各国国民の間の協力関係強化に甚大な努力を示していると評価した。発表会見では、「オバマ氏のように、自国民により良き将来への希望を与え、世界の関心を引き付けた人物は極めて少ない」「世界の指導者の外交は、人類の多数が共有する価値観に基づいた概念に従うべきとの哲学を持っている」などとも語った。
また、今年1月の就任後、外交における対話と交渉の原則を打ち出し、イスラム社会に協調路線を呼び掛け、非核への決意を表明、中東和平交渉の促進に力を注ぐなど国際政治の推進に新たな環境を生みだしとも評価した。多国間の外交や国連重視に転じたことも指摘。
オバマ大統領の指導力で、世界が直面する地球温暖化問題の対策で米国が中心的な役割を抱くようになったともたたえた。「人類は今、国際的な問題に対する国際的な責務を分担すべき時を迎えている」とのオバマ氏の主張を、ノーベル賞委員会は支持するとも付け加えた。
現職米大統領のノーベル平和賞受賞は、セオドア・ルーズベルト第26代大統領(1906年)、ウッドロウ・ウィルソン第28代大統領(1919年)に続き、3人目となる。また、米国の政治家としてはジミー・カーター第39代大統領が2002年に、アル・ゴア元副大統領が2007年に、それぞれ平和賞を受賞している。
バラク・オバマ大統領氏には賞金1000万スウェーデン・クローナ(約1億2700万円)が贈られる。授賞式は12月10日、ストックホルムで行われる。