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「図解 ボーイング787vsエアバスA380(青木謙知)」という本はオススメ!

2012年01月06日 01時00分00秒 | 
<金曜は本の紹介>

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 この「図解 ボーイング787vsエアバスA380」という本は、新型旅客機であるボーイング787とエアバスA380の特長について分かりやすく対比しながら説明した本です。

 両機とも製造には日本企業がかなり参加していますし、複合材を使って軽量化・高燃費化、静かな機体、垂直乱気流軽減、高湿度化、客室内照明のLED化等が図られています。

またボーイングの新超大型機747ー8やエアバスの新中型機A350XWBについても第3章と4章に書かれています。

とてもオススメな本です!

以下は、この本のポイント等です。

・ボーイング787とエアバスA380は、ほぼ同時期に開発が行われた最新鋭の旅客機だがその設計思想や方向性は全く異なる。おおざっぱにいって、787は低燃費を追求し、一方のA380は大型化を目指した。

・A380の製造には、20社の日本企業が参加している。ただ、これらは共同開発などを行うリスク収益分担パートナーではなく、納入企業の立場である。この点で、後記する787とは異なる。それでも、20社というのは従来のエアバス製旅客機に比べれば多く、過去最大規模である。ここでは、初めてエアバス製旅客機に関わった会社について、その内容について簡単に記しておく。
 ・富士重工業:垂直尾翼前縁と後縁、垂直尾翼およびフェアリング。
 ・日本飛行機:アルミニウム製の水平尾翼端
 ・新明和工業:炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の翼胴フィレット、フェアリングなど。
 ・横浜ゴム:CFRP製の貯水タンク、浄化槽タンクなど。
 ・牧野フライス製作所:高性能マシニング・センター。主翼の精密部品の製造に使われるもので、主翼の製造を行うイギリスのフィルトン工場に設置されている。
 ・ブリヂストン:主脚および前脚向けタイヤ。同社とエアバスが初めて交わしたOEM契約
 ・三菱レイヨン:炭素繊維複合材料。
 ・昭和飛行機工業:ハニカム(構造材の一つ)。
 
・A380の航空会社への引き渡し開始は、当初の計画よりも約1年半遅れて、2007年10月15日になった。最初の納入先はシンガポール航空で、エンジンはトレント900を選択していた。GP7200装備型の初引き渡しは2008年7月28日で、納入先はエミレーツ航空である。

・A380の静かさは初飛行時に実感をしていたが、その後の取材でもA380に乗ったエアバスの人から、「とにかく機内は静かで、食事中は周りの人の食器の音が聞こえる」などとも聞いていた。少しオーバーな表現かと思っていたのだが、実際に飛行してみるとまさにその言葉どおり、機内の騒音は極めて小さかった。また、機内は発光ダイオードを使った照明で、飛行中に客室の色が変わるのだが、飛行の段階などに応じて色が変わると、疲労感が和らぐことも実感できた。

・7E7に対して、最初に発注を確定することを決めたのは全日本空輸(ANA)である。2004年4月26日に50機を確定発注する意向を示した。内訳は、短距離型7E7-3が30機、標準型7E7-8が20機である。これによりボーイングは同日付で、7E7の正式ローンチを決定した。ローンチとは、新型機の開発・製造を正式に決定して作業を開始する、という意味である。7E7で、ANAはローンチ・カスタマー(最初の発注者)であり、この時点での予定では、ANAへの引き渡し開始は2008年だった。

・2005年に入ると、機種名が「7E7」から「787」に変更された。これには中国からの受注が関係している。当初、機種名については、21世紀に入って新たに開発する旅客機であることなどから、従来の旅客機から命名法式を変更して「7E7」でよいのではないかとの意見がボーイング社内で少なくなかった。しかし、「8」という数字は、日本でも「八」が末広がりで縁起の良い数字とされているのと同様に、中国でも発音が「発」と似ていて、「発財」などのよい言葉に使われており、やはり縁起のよい数字とされている。北京オリンピックでは、開会式を2008年8月8日にしたほどであり、ボーイングは、特に中国から「7E7」を「787」に変更するよう強く求められていた。中国の航空会社6社が計60機を発注したことが発表されたのは2005年1月28日で、この受注を契機に、ボーイングは機種名変更を決定したのである。

・ボーイングはその後型式照明取得に必要な書類をまとめて提出し、2011年8月26日に米連邦航空局(FAA)と欧州航空安全局(EASA)の型式証明を取得して、顧客への引き渡しが可能となり、同日付けで最初に引き渡し顧客である全日本空輸への納入スケジュールを発表した。実際の引き渡しは9月25日で、翌26日に祝賀式典を行い、27日には機体はエバレット工場を出発して28日に羽田空港に到着している。機体を受領した全日本空輸は、まず成田~香港間でチャーター・フライトを実施した。これが787による世界最初の商業飛行である。期日は往路が10月26日、復路が10月27日であった。さらに10月28日と29日には、成田国際空港発着の遊覧フライト、30日には仙台への飛行も行われている。定期便への就航は2011年11月1日からの開始で、羽田~岡山と羽田~広島が最初の路線だが、出発時間の関係から羽田~岡山が最初の定期便就航路線となった(いずれも当初は1日1往復)。国際線への導入は、2011年12月に羽田~北京線で週1便程度の運航を開始し、2012年1月には羽田~フランクフルト線に導入される。羽田~フランクフルト線はルフトハンザとの共同事業運航で、当初は週3便(月・木・土)であるが、2月からは1日1便とする計画だ。

・787の製造には、アメリカのほかに日本、イタリア、オーストラリア、カナダなどの企業が参加している。2003年11月20日に7E7(当時)の構造チームの作業分担計画が発表され、日本は全体の約35%(過去最大)の作業シェアとなった。日本企業との関係では、2005年5月26日にボーイングと日本航空機開発協会(JADC)との間で、最終的な開発・製造分担で合意が交わされた。これにより日本では、三菱重工業が主翼ボックスを、川崎重工業が前部胴体と主脚室および主翼後縁固定部を、富士重工業が中央翼ボックスを製造し、また富士重工業は自社で製造する中央翼ボックスと川崎重工業が製造する主脚収納室を結合してボーイングに出荷することとなった。

・航空機は重力に反して飛行を行うため、可能な限り軽量に造る必要がある。その一方で飛行に耐える強度を有する必要がある。金属素材でその条件を兼ね備えたものがアルミニウム合金で、その中でも引っ張りの力に強いジュラルミンが、これまでの機種の機体構造に多用されてきた。近年は、ジュラルミンよりも軽量で強度に優れ、さらに金属ではないため腐食も起こさない複合材料が用いられるようになった。複合材料にはさまざまな種類があるが、機体構造に使われてりうのはほとんどが炭素繊維強化プラスチック(CFRP)である。複合材料の最大の特徴は、軽量でありながらより高い強度を持ち、また液体による腐食が生じない点にある。特にCFRPは軽量・堅固で、同じユニットをアルミニウム合金で製造するのに比べるとほぼ半分の重量で済ませることができる。その一方で強度は、2.5倍近くにも達する。

・旅客機の機体への複合材料の使用は1960年代から行われており、当初は2次構造部など力がほとんどかからない部分だけに使用されていたが、次第にその範囲を広げて1次構造部にも使われるようになってきた。787では胴体のほぼ全体、主翼と尾翼のボックス、それら前・後縁の固定部、動翼などに用いられている。使用比率の変化をたどると、1960年代に開発が行われた初期の747ではわずかに1%であったが、757、767では3%に、777では11%に増えた。そして787では一気に約50%にまで増やされたのである。

・複合材料についてボーイングでは、多用することでさまざまな面で利点をもたらすとしている。それらをまとめると、次のようになう
 ◇旅客にとって:快適性の向上(客室気圧高度の低下、客室湿度の増加、大型の窓など)。
 ◇航空会社にとって:疲労と腐食の耐久性向上(整備経費の削減、点検回数の減少と簡易化)、重量の軽減(燃料消費の低減、着陸料の低減)、運航寿命の長期化。
 ◇設計者にとって:より大きくまた統合化した設計が可能。
 ◇製造者にとって:部品点数の削減、品質の向上、製造工程時間の削減(787では組み立て時間を30~40%削減)。

・A380の機体フレームにも、多くの先進素材が使用されている。機体フレーム全体では、アルミニウム合金の使用比率がもっとも多くて61%を占めているが、続いて多いのがCFRPを含む複合材料で22%となっている。A380の複合材料の使用比率は22%とされるが、グレアも複合材料の一種と考えると、25%となる。ボーイング787の50%に比べると複合材料の使用比率が低いが、A380の設計が開始された時期は787よりはるかに早い。それを考えれば、当然のことといえよう。ちなみにエアバスが開発中のA350XWBでは、複合材料の使用比率が約53%になる予定だ。

・787のエンジンは、ジェネラル・エレクトリックGEnx-1Bとロールスロイス・トレント1000から航空会社が選択することができる。なぜエンジンを選択できるようにしているのかというと、航空会社が運航中の機種で使用しているエンジンと同メーカー、さらには同系列のエンジンを選択できるようにすることで、整備工具やスペア部品、あるいは整備作業工程の共通化などを可能にするためである。こうした選択方法は、1970年代後半から導入されている。

・787もA380も、エンジンの制御は、近代のほかの航空機と同様にFADECで行われる。FADECとは完全電子式エンジン制御の略号で、コンピューターによりエンジンのコントロールを行うこものである。FADEC以前のエンジンの推力調整は、パイロットがスロットル・レバーを動かし、それが機械的なリンクによりエンジンの回転数などを変更してパワーを調節していた。FADECでは、スロットル・レバーの操作が電子信号に置き換えられてコンピューターの入力信号となり、それを受けたコンピューターが出力信号を送ることでパワーを調節する。エンジン制御のフライ・バイ・ワイヤともいえるもので、正確かつスムーズなパワー調整が可能になるシステムである。

・787の操縦システムで新たに導入された機能が、垂直乱流軽減(VGA)と呼ばれるものだ。これは、飛行中に乱気流などに遭遇して、飛行操縦コンピューターが垂直方向(上下)に揺れを検知すると、その揺れを吸収するように舵を自動的に動かして、機体に大きな揺れを生じさせないという機能である。揺れの検出までには若干のタイムラグは生じるが、いったん検出するとその揺れが一定量に収まるまでの間、舵(主にピッチ系)が自動的に揺れを打ち消す方向に動き続ける。これにより乗客は、乱気流の中を飛行していても大きな揺れに遭わないで済む。こうした機能は、787が世界で初めて導入したものだ。このVGAは、自動操縦装置がオンになっていれば常に作動するよう設計されている。

・航空機のコクピットといえば、一昔前までは多数の計器とスイッチ類などが所狭しと並んでいて、見るからに複雑なものであった。しかし近年では画面式表示装置が導入されて、コクピット内の様子は一変した。こうし表示装置を使った操縦室をグラス・コクピットといい、各表示装置には従来多数の計器を必要とした情報が統合化表示されるので、装置の数は大幅に減っている。また787、A380ともに、正面の前方の機外を見ながら飛行情報が得られる、ヘッド・アップ・ディスプレー(HUD)も装備されるようになった。

・操縦室用窓は、従来のジェット旅客機では6枚が主流である。787ではボーイング製ジェット旅客機では初めて、操縦室用窓の4枚化が行われた。ボーイングでは、窓の使用素材の強度が大幅に高まったために可能となったとしている。また、測方にピラー(桟)がなくなったことで、測方外側視界が遮られなくなった。またこの側面窓は横幅が広く、座席に座った状態でエンジンを見ることもできる。

・客室内の気圧は、これまでの旅客機は、巡航飛行中に客室が約8,000ft(2,438m)の気圧高度(客室高度)になるように設計されている。これは客室内を、機外と約60kPaの差圧で与圧することで可能になっているのだが、金属製の胴体の強度ではこれがほぼ限界とされていて、差圧をこれ以上高めることができない。一方複合材料製の胴体はそれ以上の強度を有するので、この差圧をより大きくすることが可能となった。5種類の高度で試した結果、最終的に最大6,000ft(1,829m)が選ばれて、787の客室に用いられることになった。

・機内環境では、湿度が低いこともまた問題の一つである。現在、通常の旅客機の飛行中における客室湿度は6~8%だが、時にはほぼ0%になることもあり、非常に乾いた空間になっている。これには理由があって、金属製胴体の場合、湿度を高めたり低したりを繰り返していると、腐食が発生しやすくなるからである。しかし複合材料は腐食しないという特性があるので、ボーイング787で、機内湿度を高めるシステムを導入することにした。これにより787の機体は、少なくとも12~15%程度の湿度を維持することができるようになり、さらにそれを高める研究も行われている。

・客室の照明には、従来の蛍光灯に替えて発光ダイオード(LED)が用いられている。これにより客室内照明の輝度を変更できるほか、飛行の段階などに応じて機内照明の色を変える、いわゆるムード・ライティングも可能である。食事の時間、就寝前や就寝中、あるいは目覚めの後の照明の色を変えることで、旅客の疲労が軽減されることはすでに実証されている。

・日本で唯一A380を発注しているのはスカイマークである。スカイマークは、機内を2クラス編成にすることを明らかにしている。これは、主デッキをプレミアム・エコノミーで280席、上部デッキをビジネスで114席とすもので、座席総数は394席とかなり少ない。その分各座席がゆとりを持たせたものになると考えられる。

<目次>
はじめに
第1章 787とA380のkハツ
1-1 大型ジェット旅客機略史
 大型旅客機の誕生
 エアバスの成長
 新型機の開発計画
 A3XXからA380へ
1-2 A380の製造
 製造方式と輸送
 日本企業の参加
 飛行試験
 製造工程の問題
 静かな機内
1-3 787の開発
 ソニック・クルーザー
 基本コンセプト
 「7E7」から「787」へ
 飛行試験から型式証明取得
 日本への初飛来と引き渡し
1-4 787の製造
 日本は35%のシェア
 新時代の旅客機
 日本企業の分担
1ー5 787はなぜ遅れたか
 完成していなかった初号機
 さらに続いたトラブル
第2章 787とA380の機体技術比較
2ー1 胴体
 胴体の構造
 二つの円を組み合わせた胴体
 楕円形の胴体
2-2 主翼とその動翼
 主翼の役割と形状
 787のレイクド・ウイングチップ
 全速度用エルロンがないA380
2ー3 尾翼とその動翼
 尾翼の役割
 787の尾翼
 世界最大級のAPU
2-4 機体フレーム使用素材
 アルミニウム合金から複合材料へ
 787は50%が複合材料
 超大型機ゆえに慎重
2ー5 エンジンと燃料タンク
 エンジンとバイパス比
 エンジンはなぜ選択制なのか
 GEnx-1Bとトレント1000
 787の燃料システム
 トレント900とGP7270
 エンジンの制御
 A380の燃料システム
2-6 降着装置
 電気式制御の787
 A380のタイや直径は1.4m
2-7 飛行操縦装置
 フライ・バイ・ワイヤ
 多重バックアップ
2-8 コクピット
 グラス・コクピット
 一新された操縦室
 中央ベデスタルにも表示装置
 エアバス特有のサイド・スティック
 様変わりした液晶表示装置
2-9 客室
 客室の気圧も湿度も高く
 客室配置
 余裕を持った客席配置
2-10 航空会社への導入
 航空会社で異なる仕様
第3章 ボーイングの新超大型機747-8
3ー1 747-8の開発経緯
 継続された研究
 固まった概要
 開発スタート
3ー2 747-8機体概要
 ボーイング史上最大のジェット機
 新設計の主翼
 複合材料と新世代アルミニウム合金
 エンジン
 受注状況
第4章 エアバスの新中型機A350XWB
4ー1 A350XWBの開発経緯
 中型機まで手が回らず
 幅広の機体
 787のライバル
 製造の開始
4ー2 A350XWBの機体概要
 50%を超えた複合材料比率
 主翼とエンジン
 一新されたコクピット
 3タイプの製造計画
 好調な受注
参考文献
さくいん


面白かった本まとめ(2011年下半期)

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