いいね~おいしいね~

食べたり買って良かったもの等を実体験に基づき厳選紹介!ぜひご利用頂きより良い人生や日本経済等活性化につながれば幸いです♪

自然栽培ひとすじに(木村秋則)

2009年01月23日 01時00分00秒 | 
<金曜は本の紹介>

「自然栽培ひとすじに(木村秋則)」の購入はコチラ

 この本は前回紹介した「奇跡のリンゴ(石川拓治)」が出版される2年ほど前に、本人である「木村秋則」さんが無農薬・無肥料の自然栽培農業について書いた本です。

 自然栽培を模索し成功させるまでの経緯については、「奇跡のリンゴ(石川拓治)」と結果的にはほぼ同じなのですが、本人がたんたんと書く書き方と、他人がドキュメンタリーなタッチで書く書き方ではこれほど印象が違ってくるのかと驚きました^_^;)

 この本が「奇跡のリンゴ(石川拓治)」と大きく違うところは、具体的に自然栽培の方法について書かれていることです。

第3章で「土の「偉力」を基にした自然栽培の取り組み方」、第4章でりんごづくりについて、第5章で米作りについて、第6章で野菜作りについて書かれています。

第7章では、無農薬・無肥料の自然栽培農業の仲間(自然栽培の同志、フランス料理店、加工品(りんごジュース・りんご酢)等)の紹介、医学的見地からの評価などについて書かれています。

この本は、具体的な無農薬・無肥料の自然栽培の取り組み方や自然栽培農業の仲間や具体的なお店の紹介について説明がありますので、特に農業をやっている方・志している方や、無農薬・無肥料の農作物を食べたい方にはとてもオススメな本です!

以下はこの本のポイントなどです。

・この自然栽培は、妻が農薬を扱うたびに皮膚の炎症などに苦しんだことから徐々に完全無農薬、無肥料でのりんご栽培に切り替えていったことが、そもそもの始まりです。当初、りんご畑は病虫害で無残な姿になったり、しばらくの間、収穫ゼロすなわち収入ゼロに陥ったり、病虫害の波及を恐れた近隣農家から中傷されたりしたものです。艱難辛苦の末、ようやく、人の手の入らない自然環境からさまざまなヒントを得て、安全・美味のりんごを収穫できるようになり、一定の成果を上げることができたのです。また、米やキュウリ、ナス、ダイコン、ピーマン、キャベツなどの野菜についても相当の成果を上げることができたのです。

・当時、わが家では無農薬・無肥料でつくった自家栽培の米は売り、わが家で食べるための米は米屋さんから買っていたのですが、その腐敗臭の凄まじさに私は驚いてしまいました。自分の米でもこうなるのだろうか?と疑問に思い、同じようにコップに水と共に自家精米を入れて放置してみました。するとこれが腐敗しないのです。いつまでたってもひどい臭いを発することはなく、最後には発酵が進んで酢になっていました。この腐敗試験の因果関係は科学的に分析したわけではありませんが、私は先に述べた硝酸態窒素の残留に関わりがあるのではないかと推測しています。有機野菜の腐敗に関しては、未完熟の堆肥の影響が大きいのではないでしょうか。

・「これが答えだ!」雷に打たれたような気持ちでした。私の無惨なりんご畑とはまるで異なる目の前にある光景。草は文字どおりぼうぼうの生え放題、伸び放題ながら、そのなかにあって健康そのもの、元気いっぱいに葉を茂らせているドングリの木。農薬はもちろん肥料もなく、それどころか人の手が一切入っていない環境にあって、立派に育っているその姿には恐れ入るしかありません。周囲を注意不覚見ると、ハマキムシのような害虫の類は見つけられないけれど、チョウやバッタ、コガネムシ、ハチ、アリといった虫たちがそれぞれの生命をつなぐために密やかに活動し、耳にはどこからか鳥のさえずりが聞こえます。そこには生命があふれ、すべてが循環していました。何ひとつ無意味な物、邪魔な物などないのです。そして生体系の一部としてドングリの木も生かされている。人間に管理されたりんご畑とはまったく異質な光景ですが、これこそが私の求めてきた答えでした。

・あるとき隣接する生産者に、頼むから農薬を使ってくれ、と懇願されました。彼によると、私の畑から害虫が飛んでくるので、農薬を散布しているにもかかわらず被害が出るというのです。私は彼に言いました。「それじゃあ、この場所でどっちから虫が来るのか試しに見てみましょうよ」彼と私は互いの境界線にたたずみ、夕暮れの迫った空を眺めていました。すると、農薬が撒かれている彼の畑のほうから、無数の虫が飛んできて、私の畑へと入っていく。そこで卵を産んでいるのです。逆に、私の畑から出て行く虫はほとんどいません。彼はこの現実を目の当たりにして非常に驚いていました。早速翌日から「木村に悪いことをした」と、まわりの農家に説明して回ってくれたようでした。その後、まわりから文句を言われることがなくなったのです。それだけに留まらず、彼は木村の畑に農薬がかかるといけないからと、私との境界線に近いりんごの木を伐採までしてしまった。私は彼の心遣いに深く感謝しました。

・害虫と呼ばれる虫たちは、生態系のバランスが崩れているときに、それを修正するために発生しているのではないでしょうか。ひょっとすると人間が本来、口にしてはならないもの、例えば残留農薬や、過剰な硝酸態窒素などを食い尽くしてくれているのが害虫なのではないか、と私の想像は広がっていきました。私のりんご畑のバランスが整っていくにつれ、虫は減っていったのです。そしてとうとうハマキムシとシャクトリムシの姿が消えたのが2000年のことです。ちなみに、害虫同様に私を苦しめた斑点落葉病は、その2年前から発生しないようになりました。りんご畑が実をならせるまでに9年、さらに病害虫を寄せつけないバランスを回復するまでに20年以上かかったといえるかもしれません。もっと早くからドングリの山をお手本にすることを思いついていたら、これらの年月はずっと短縮されていたことでしょう。ただ、私は自分で試して失敗することでしか、答えを得る方法を知らなかったのです。

・そのとき注文してくれたお客さんの数が約350人。全国放送の影響力に驚かされました。以後、お客さんの間の口コミで広がり、現在では定期的に個人取り引きをさせていただいているお客さんだけで、約2700人もなっています。

・自然栽培でつくる私の「りんごの樹の実」は、慣行農法の「りんご」に比べると若干小玉で、収穫量は7~8割といったところでしょうか。果実のみずみずしさと味には自身がありますけれども、見てくれはスーパーの売り場に並んでいるりんごのようにほれぼれするようなものではありません。しかし、品種、時期にもよりますが、自然栽培りんごは切ったまま放置しておいても切り口が酸化せず、一般のりんごのようにそう簡単に褐変しません。糖度が高く、生命力あふれるりんごだと自負しています。

・「もしも私が○○だったら・・・・・」と自分を作物に置き換えて考えるクセをつけてください。○○のところには、米や麦・野菜・果樹など栽培している作物の名を当てはめればよいわけです。そうすれば、何をしたらダメで、何をすればよいのか、自ずとわかってくるものです。同じことが田畑に対してもいえます。収穫が終わってから次の田起こしまでの間、あなたは田んぼに足を運んでいますか?もし、収穫がすんだ田んぼには用がないから行かないというなら、田んぼにしてみれば「私の主人はずいぶん冷たいなあ」と思うよりほかないでしょう。人間にとっては農閑期であっても、自然の営みは続いています。田んぼにとってなかったことにできる時間はありません。秋から冬にも足繁く通えば、なんらかの変化を発見できるはずです。それらは「答え」を導くための大切なヒントとなる。作物や田畑を自分のことのように注意深く観察し、自分の身に置き換えてその環境を考えていくことが、自然栽培に取り組むうえでの大前提といえるでしょう。

・この実験を何度も重ねていくうちに、何回やっても同じ結果が出ることに気づかされました。集約してみると以下のような条件下で、作物の生育が順調で、雑草もあまり生えないという好結果が得られるのです。
 ●耕起は粗く耕したもの
 ●場所は日当たりのよい窓辺に置いたもの
 ●土が乾燥気味のもの
 ●代掻は2~3回かき混ぜた程度のもの

・りんごに限らず、今日の作物は高度に品種改良が進んでいますから、なかにはこの北斗のように虚弱なものも少なくありません。自然栽培に適した品種、適さない品種というものはやはり存在していて、取り組む際には注意が必要となります。私は、昔からその土地でつくられてきた在来品種なら、まず問題なく自然栽培が可能と考えております。

・土壌に固定された窒素の量を見極めるには、根粒菌の数をチェックすればよい。大豆の背丈が60cm程度になったころ、根ごと引き抜いて根粒菌の数を数えます。1本当たり30個以上の根粒菌がついていたらまだ土壌が窒素を要求している証拠です。翌年も大豆を播きましょう。根粒菌の数が10個以下になったらもう十分。次の年には大豆をまかないようにします。20個程度であれば、まずまずバランスがとれている状況。翌年はまいてもまかなくてもかまいません。

・さらに土壌に窒素分が充足しているかどうかを判断するためには、りんごの木自体の観察も忘れてはなりません。畑に養分が足りているか、りんごの木そのものが元気かどうかは、1年に延びる徒長枝の長さで判断できます。適正なのは約1m。私の畑は5年間も大豆の播種を続けたせいか、大豆をやめて8年になりますが、今でも約2m伸びています。したがって、私がまた大豆をまくのは当分先のことになるでしょう。


<目次>
ようこそ自然栽培の世界へ~序にかえて~
◆無農薬・無肥料の自然栽培(4色口絵)
 自然栽培のりんご 自然栽培の米 自然栽培の野菜
第1章 完全無農薬・無肥料の自然栽培を求めて
 不可能ではなかったりんごの自然栽培
 深刻さを増していく現代農法の危険性
 手軽に実証できる自然栽培品の安全性
 大自然の摂理を範とする自然栽培
第2章 体を傷めたことから自然栽培を模索
 自然栽培にたどり着くまで
 「農」から離れていた青春時代
 希望を胸に無農薬栽培を目指す
 農薬散布をやめて始まった地獄の日々
 病害虫の猛威続くも、生き物の食物連鎖復活
 りんごが実らぬりんご農家~心に染みた娘の作文~
 目に見えぬ地中部の重要性に気づく
 答えをくれた山の中の「りんご」の木
 無農薬9年目にして一斉に開いた白い花
 周囲の理解と支えがあってこそ可能となった自然栽培
 2700人が待っている「りんごの樹の実」
第3章 土の「偉力」を基にした自然栽培の取り組み方
 「答え」は自然のなかに無数にある
 作物をわが身に置き換えて考える
 作物には肥料が必要という固定観念を壊す
 粗く耕し、土の偉力を最大限に発揮させる
第4章 自然栽培によるりんごづくりの基本
 土の力を最大限に発揮させる
 3年を目安とする大豆を用いた土づくり
 酢の散布で病害虫を予防する
 ワサビの力を利用した腐らん病対策
 葉っぱに答えがある剪定の方法
 4月下旬から9月中旬まで食酢を散布
第5章 自然栽培による米づくりの基本
 大規模生産ほど合う自然栽培
 「乾土効果」を最大限に発揮させる
 完熟ボカシを用い自然界での発芽を再現
 田植え後の除草が、雑草の勢力を抑える
 施肥をしないことで4倍もの根張り
第6章 自然栽培による野菜づくりの基本
 自然栽培は虫の害が少ない
 原産地の環境と種子について
 土の力を生かす耕起と播種・苗定植の方法
 マメ科植物の積極利用で窒素を固定
 作物ごとの苗の定植法
  <トマト・ミニトマト・タマネギ>
  <トウモロコシ・ダイコン・カボチャ>
  <キュウリ・ナス・ピーマン>
  <セロリ・シシトウ>
  <メロン>
 家畜糞尿は山林の腐食に近づける
第7章 食・農・環境を結ぶ人の輪を大きく
 流通面から自然栽培を育む同志
 医学的見地から自然栽培を評価
 白神山地とりんご畑の共通点とは
 りんごがこだわりのフランス料理に
 好評の加工品「りんごジュース」と「りんご酢」
 私のりんご畑で生まれた?「樹木の味方」
 新たな「農」を切り拓く自然栽培の仲間たち
自然栽培の世紀にむけて~あとがきに代えて~
◆自然栽培インフォメーション(本書内容関連)

面白かった本まとめ(2008年)


<今日の独り言>
渋谷にある児童会館に行って、念願のグランドピアノを4歳の息子と弾きました。やっぱりグランドピアノはいい音が出ていいですね・・・。といっても、その部屋にはドラムや鉄筋や鐘やアップライトピアノも2台あってかなりの騒音で、自分のピアノの音がなかなか聴こえませんでした^_^;) でも大満足です。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする