教育の広場、第 155号、イラク復興支援とは何か
小泉内閣はイラク復興支援のために自衛隊を派遣するそうで
す。何をしにいくのでしょうか。給水と学校の補修と医療技術
指導だそうです。
こういう事をするためにどうして自衛隊を派遣する必要があ
るのか、自衛隊の派遣がこの目的にかなっているのか、私には
どうしても理解できません。
今、イラクでは米英軍とそれに同調する人々に対する武力攻
撃が続いています。というより、増えています。
外国人に対する反発もあるでしょうが、根本的には失業状態
の解決される見通しがないことから来る絶望が根底にあるのだ
と思います。各地で「仕事を寄越せ」というデモが起きていま
す。
我が日本の戦後の復興を思い浮かべてみても、それは分かり
ます。日本の復興に役立ったのは何だったでしょうか。
これは大きく、目先の復興に役立ったことと中長期的に役立
ったことと2つに分けて考えることが出来ると思います。
中長期的に役立ったことはやはり留学生をアメリカなどが受
け入れてくれたこと(フルブライト留学生とか)と資金援助だ
ったと思います。
目先の復興に役立ったのは、食料をくれたこともあると思い
ますが、一番大きかったのは朝鮮戦争による「特需」だったと
思います。つまり、理由はともかく、仕事が得られたことで
す。
イラク復興支援でもやはり同じだと思います。つまり、すぐ
にも仕事になる事を考えて実行しつつ、中長期的には留学生を
受け入れ、技術研修生を受け入れ、適切な借款を供与するのが
好いと思います。
給水のためになぜ自衛隊が行くのでしょうか。イラクの人に
やらせたら好いのではないでしょうか。そのためのお金を日本
が出せば好いと思います。
学校の補修も同じです。イラク人は優秀だそうです。自分で
直せるはずです。材料がないなら、それを日本が提供すれば好
いと思います。技術は現地の技術の方が好いと思います。
医療技術指導は先の話です。今は、病院の運営を軌道に乗せ
ることです。これもイラク人の医療関係者を中心にするべきで
す。日本は適当な機材を提供すれば好いだけです。給与も一部
日本が負担すれば好いと思います。
小泉首相のやり方を見ていると、自衛隊のイラクへの派遣は
イラクの人々のためではなくて、自衛隊の存在感を大きくする
のが目的のように感じます。
もう一つ、こういう記事がありました。
・・イラクの復興事業として、住友商事はすでに50余件、総額
5千億円の案件を外務、経産両省に提出した。イラクへの資金
援助を決め、復興案件を探しはじめた政府の求めに応じたもの
だ。
ただ、すぐに実施できるのは給水車や小型の変電設備など、
社員が現地に赴かなくても納入できる案件だけ。
(2004,01,08, 朝日新聞)
これは要するに、悪名高い ODAと同じではないでしょうか。
つまり、業者のためだけの公共事業を海外でやるだけだと思い
ます。私はこれにも賛成出来ません。
中長期的な事は今はおいて、目先の仕事になる事を考えまし
ょう。
商品は、品質にうるさい日本の消費者の買うような物がどれ
だけあるか知りません。第3世界ショップ関係の人が技術指導
をしたりするのが好いと思いますが、成果が出るまでには時間
がかかると思います。
そこですぐにも出来ることとして提案したいのは、スポーツ
関係の個人やチームを招待して日本中で試合をしてもらうこと
です。
サッカーは「ドーハの悲劇」の相手チームがイラクでした。
サッカーのナショナルチーム以外にも各層のチームを次から次
へと招待して、日本の適当なチームが相手をしたらどうでしょ
うか。
たしかレスリングなども強いはずです。その他も何でもいい
と思います。スポーツの交流をしたらどうでしょうか。もちろ
ん費用は全て日本が持ちます。選手には適当な手当てを払うべ
きです。自衛隊を派遣するより安くて、本当にイラクの人達に
役立つと思います。
自衛隊員は「危険地手当て」とかが1日3万円出るそうです
。元々の給与を年間 600万円とすると、年収2000万円くらいに
なります〔これは間違いでした。派遣は3ヵ月間ですから、1
人あたりの増収は 270万円くらいです。しかし、その上に2階
級特進とかがあるはずです。応募する自衛隊員はそれが目当て
だと言われています〕。このお金でイラクの人達を日本に呼ん
だ方がイラクの人のためになると思います。
芸術関係の個人や団体を招待して公演をしてもらうのも好い
と思います。展覧会も開催したら好いと思います。学者の交流
も有益だと思います。
そうそう、宗教者にも来てもらって日本の宗教者や関心のあ
る人達と交流すると好いと思います。
こういう本当の復興支援のためにはそれを取り仕切る委員会
もその目的に合ったものにしなければならないと思います。外
務省の職員が1人くらい入るのは必要ですが、そのほかに NG0
の人とか、フェア・トレードをしている人達とか、在日イラク
人とかも入ってもらうと好いと思います。
会議はすべて公開し、HPで逐一決定を報告し、国民の要望
や質問を聞いて答えるべきです。
以上は一案です。皆さんも案を出して下さい。我々で「本当
のイラク復興支援の具体策」を提案しましょう。
ここまでは01月09日に書きました。10日の朝日新聞に政府の
構想が出ていました。要旨は次の通りです。
・・ODA (途上国援助)を使って民生支援をする。国連機関
を通す。雇用促進策と住宅建設支援が柱。陸上自衛隊は人道支
援だが、自己完結的で雇用創出にならないのでこれで補完す
る。つまり、この2つが車の両輪。
具体的には、がれきの撤去、建物の補修、道路の整備などで
住民を雇用する。れんがや簡単な建材を提供して住宅建設を促
進する。教員の再雇用、教材整備支援なども計画。いずれもア
フガニスタンで実績がある。
しかし事業開始までは数週間かかる。しかも1千人規模の雇
用を作ることはとてもできない。・・
既にイラクでは、日本は大勢の人を雇ってくれるらしいとの
噂が広がり、バグダッグなどからもサマワ(日本の自衛隊の派
遣先)に人が集まってきているそうです。
この計画の問題点は、「自衛隊の人道支援」の自己完結的性
格を反省していないことと、民生支援を外務省が主導しようと
していることだと思います。
今や日本は「成熟社会」になったのです。その特徴の1つは
「役人より民間の方が実力が上である」ということです。
イラク復興支援委員会を民間主導で作ってそこに権限を与え
ない限り、本当の復興支援はできないと思います。
(2004年01月10日発行)
小泉内閣はイラク復興支援のために自衛隊を派遣するそうで
す。何をしにいくのでしょうか。給水と学校の補修と医療技術
指導だそうです。
こういう事をするためにどうして自衛隊を派遣する必要があ
るのか、自衛隊の派遣がこの目的にかなっているのか、私には
どうしても理解できません。
今、イラクでは米英軍とそれに同調する人々に対する武力攻
撃が続いています。というより、増えています。
外国人に対する反発もあるでしょうが、根本的には失業状態
の解決される見通しがないことから来る絶望が根底にあるのだ
と思います。各地で「仕事を寄越せ」というデモが起きていま
す。
我が日本の戦後の復興を思い浮かべてみても、それは分かり
ます。日本の復興に役立ったのは何だったでしょうか。
これは大きく、目先の復興に役立ったことと中長期的に役立
ったことと2つに分けて考えることが出来ると思います。
中長期的に役立ったことはやはり留学生をアメリカなどが受
け入れてくれたこと(フルブライト留学生とか)と資金援助だ
ったと思います。
目先の復興に役立ったのは、食料をくれたこともあると思い
ますが、一番大きかったのは朝鮮戦争による「特需」だったと
思います。つまり、理由はともかく、仕事が得られたことで
す。
イラク復興支援でもやはり同じだと思います。つまり、すぐ
にも仕事になる事を考えて実行しつつ、中長期的には留学生を
受け入れ、技術研修生を受け入れ、適切な借款を供与するのが
好いと思います。
給水のためになぜ自衛隊が行くのでしょうか。イラクの人に
やらせたら好いのではないでしょうか。そのためのお金を日本
が出せば好いと思います。
学校の補修も同じです。イラク人は優秀だそうです。自分で
直せるはずです。材料がないなら、それを日本が提供すれば好
いと思います。技術は現地の技術の方が好いと思います。
医療技術指導は先の話です。今は、病院の運営を軌道に乗せ
ることです。これもイラク人の医療関係者を中心にするべきで
す。日本は適当な機材を提供すれば好いだけです。給与も一部
日本が負担すれば好いと思います。
小泉首相のやり方を見ていると、自衛隊のイラクへの派遣は
イラクの人々のためではなくて、自衛隊の存在感を大きくする
のが目的のように感じます。
もう一つ、こういう記事がありました。
・・イラクの復興事業として、住友商事はすでに50余件、総額
5千億円の案件を外務、経産両省に提出した。イラクへの資金
援助を決め、復興案件を探しはじめた政府の求めに応じたもの
だ。
ただ、すぐに実施できるのは給水車や小型の変電設備など、
社員が現地に赴かなくても納入できる案件だけ。
(2004,01,08, 朝日新聞)
これは要するに、悪名高い ODAと同じではないでしょうか。
つまり、業者のためだけの公共事業を海外でやるだけだと思い
ます。私はこれにも賛成出来ません。
中長期的な事は今はおいて、目先の仕事になる事を考えまし
ょう。
商品は、品質にうるさい日本の消費者の買うような物がどれ
だけあるか知りません。第3世界ショップ関係の人が技術指導
をしたりするのが好いと思いますが、成果が出るまでには時間
がかかると思います。
そこですぐにも出来ることとして提案したいのは、スポーツ
関係の個人やチームを招待して日本中で試合をしてもらうこと
です。
サッカーは「ドーハの悲劇」の相手チームがイラクでした。
サッカーのナショナルチーム以外にも各層のチームを次から次
へと招待して、日本の適当なチームが相手をしたらどうでしょ
うか。
たしかレスリングなども強いはずです。その他も何でもいい
と思います。スポーツの交流をしたらどうでしょうか。もちろ
ん費用は全て日本が持ちます。選手には適当な手当てを払うべ
きです。自衛隊を派遣するより安くて、本当にイラクの人達に
役立つと思います。
自衛隊員は「危険地手当て」とかが1日3万円出るそうです
。元々の給与を年間 600万円とすると、年収2000万円くらいに
なります〔これは間違いでした。派遣は3ヵ月間ですから、1
人あたりの増収は 270万円くらいです。しかし、その上に2階
級特進とかがあるはずです。応募する自衛隊員はそれが目当て
だと言われています〕。このお金でイラクの人達を日本に呼ん
だ方がイラクの人のためになると思います。
芸術関係の個人や団体を招待して公演をしてもらうのも好い
と思います。展覧会も開催したら好いと思います。学者の交流
も有益だと思います。
そうそう、宗教者にも来てもらって日本の宗教者や関心のあ
る人達と交流すると好いと思います。
こういう本当の復興支援のためにはそれを取り仕切る委員会
もその目的に合ったものにしなければならないと思います。外
務省の職員が1人くらい入るのは必要ですが、そのほかに NG0
の人とか、フェア・トレードをしている人達とか、在日イラク
人とかも入ってもらうと好いと思います。
会議はすべて公開し、HPで逐一決定を報告し、国民の要望
や質問を聞いて答えるべきです。
以上は一案です。皆さんも案を出して下さい。我々で「本当
のイラク復興支援の具体策」を提案しましょう。
ここまでは01月09日に書きました。10日の朝日新聞に政府の
構想が出ていました。要旨は次の通りです。
・・ODA (途上国援助)を使って民生支援をする。国連機関
を通す。雇用促進策と住宅建設支援が柱。陸上自衛隊は人道支
援だが、自己完結的で雇用創出にならないのでこれで補完す
る。つまり、この2つが車の両輪。
具体的には、がれきの撤去、建物の補修、道路の整備などで
住民を雇用する。れんがや簡単な建材を提供して住宅建設を促
進する。教員の再雇用、教材整備支援なども計画。いずれもア
フガニスタンで実績がある。
しかし事業開始までは数週間かかる。しかも1千人規模の雇
用を作ることはとてもできない。・・
既にイラクでは、日本は大勢の人を雇ってくれるらしいとの
噂が広がり、バグダッグなどからもサマワ(日本の自衛隊の派
遣先)に人が集まってきているそうです。
この計画の問題点は、「自衛隊の人道支援」の自己完結的性
格を反省していないことと、民生支援を外務省が主導しようと
していることだと思います。
今や日本は「成熟社会」になったのです。その特徴の1つは
「役人より民間の方が実力が上である」ということです。
イラク復興支援委員会を民間主導で作ってそこに権限を与え
ない限り、本当の復興支援はできないと思います。
(2004年01月10日発行)