ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

 2008年10月から「第2マキペディア」として続けることにしました。

教育の広場、第 165号、まとまった文章を書くために

2005年09月06日 | ご意見の広場

前回の「主義を糧とする人々」についてF・Sさんから投稿
をいただきましたので掲載します。


牧野紀之様

下の URL(略)によれば映画「追憶」(The Way We Were )
の制作年は1973年です。

スペイン内戦を描いた作品について、牧野さんは誤解してい
るようなので指摘したいと思います。

「共和派の中にも義勇軍に馳せ参じて戦った人々と共産党系
の人々との間には大きな溝があったjというのは、よく意味が
わかりません。共産党系の部隊も義勇軍でした。

オーウェルの「カタロニア讃歌」やケン・ローチ監督の「大
地と自由」は、スタ一リン派共産党とは別の共産党のPOUM
(マルクス主義統一労働党)の苦闘を描いています。つまり共
産主義運動のなかにすでに反スターリン派が存在して活動して
いた(潰されたけれども)わけで、「左翼信仰者」でない人々
がすでに存在したということを示しています。

 この点についてですが、ある組織や運動が堕落したときに、
それを批判する人が現れても、それが直ちに多数派になるとい
うことは難しいということがいえると思います。これは左翼に
限らず右翼でも宗教でも産直運動でも同じではないでしよう
か。

 ある人がなんらかの運動に関わった時に、「あれ、おかしく
なりはじめたかな?」と思った時点では普通は分裂しようとは
しないものです。組織が小さくなれば力も小さくなりますから
、できるかぎり既成の組織の中にとどまろうとします。その中
で、自分を納得させるために「信仰」的態度が生まれるのでは
ないでしようか。

 自分の、あるいは自分たちの考えを事実上「絶対的真理」と
思い込んでいるという「チンビラ左翼」もいるでしようが、そ
うではなく、「疑問はあるけれど、この運動を発展させなけれ
ばならないから、とりあえず疑間には封印をするべきだjとい
う風に考えている人の方が多いのではないでしようか。(F・
S)・・


 牧野からのお返事

1、制作年を教えて下さり、ありがとうございます。私の借
りたVHSの箱には1974年という数字がありましたので、この
年にカセット化したのかな、と思っていました。

しかし、制作年は1950年代末かなと思っていました。重い過
去の反省が出来るようになるまでにはやはり時間が必要なので
すね。

2、又、いくつかの「誤解」(かもしれない点)についての
ご意見もありがとうございます。しかし、これは全体的真実に
は無関係だと思いますので、争うつもりはありません。

3、しかし、全体として、あれだけの文章を読んだ感想がこ
の程度なのかな、と寂しく思いました。本メルマガの目的であ
る「自分の考えを自分にはっきりさせ、更に発展させようとす
る」意欲が感じられないのです。

ある人がある運動に関わり、その中で運動がおかしくなりは
じめたかなと感じた時、どういう理由でどういう態度を採るか
の問題について、Fさんは「『疑問はあるけれど、この運動を
発展させなければならないから、とりあえず疑問には封印をす
るべきだ』という風に考えている人が多いのではないか」と言
って終わっています。

私はそうは思いませんが、例えそうだとして、だからどうだ
と言うのでしょうか。そこまで考え、発言してくれなければほ
とんど意味がないと思います。

Fさんはどういう社会運動をしてきて、今はどういう運動を
していて、今後はどうするつもりなのでしょうか。

そこで、なぜ不十分な投稿が多いのかな、と考えてみまし
た。その結果思ったことは、相手の文章が出てから、なるべく
日が経たない内にと急ぐ気持ちがあるのではないでしょうか。

もしそうだとしたら、急ぐ必要はないと思います。現に、私
の「追憶」の感想文は映画自身の30年後になっています。

いや、先にも確認しましたように、この「追憶」自身がそこ
で扱っている事柄から最低でも20年以上経ってから作られてい
ます。

ですから、私のメルマガについて論じるのも、発表から1カ
月後でも1年後でも10年後でも、何ら問題ないと思います。

私でも、メルマガを書こうとする時、簡単に書ける場合は少
なくて、何日かかけて少しずつ仕上げていきます。

皆さんも、折角自分の考えをまとめようと思ったのですから
、少し時間をかけて、相手の論点の全てと格闘しながらまとめ
たらどうでしょうか。

尚、もう一人H・Tさんからもご教示をいただきました。

 ─この映画は1973年に製作されたもので、私も1974年頃に
映画館で見ました。しかし、時代背景が分からずに見たので、
あまり印象に残りませんでした。また見てみたいと思います。


 〔この後に、この映画について解説した「タカザワ・カンジ
」さんのHP(多分、「アルカリ」という題)の URLが記され
ていました。そこを見ると、この映画のストーリーのまとめと
「いわゆる映画批評」がありました。〕

 ここに載っている映画批評と私の感想文とを比較してみると
面白いと思います。鑑賞的・傍観的な映画批評と哲学的・主体
的なそれとどこがどう違うのか、そして、自分はどっちを取る
のか、を考えてみることをお勧めします。

この批評を読むと又、私のストーリー理解に「誤解」がある
らしいことも分かります。しかし、それは「部分的事実」の事
で「全体的真実」とは無関係だと思います。

(2004年04月10日発行)