ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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教育の広場、第57号、小さいことはいいことだ

2006年01月31日 | 教育関係
教育の広場、第57号、小さいことはいいことだ

(2001年10月05日発行)

 国立大学を独立行政法人にする制度を検討している調査検討会議
が(2001年)09月27日、中間報告を提出したそうです。

 これを機に、国立大学だけでなく大学のあり方一般を考える際に
見落とされている一つの観点を提起したいと思います。

 それは大学の適正規模という観点です。私の考えを言いますと、
大学の大きさに上限を設けるべきだ、ということです。分かりやす
く、学生数について言いますと、1学年の学生数の総数と大学全体
の在籍学生の総数の両方で、上限を設けるべきだと思うのです。

 というのは、大学について言うならば、余りにも少人数でも困る
のですが、今のマンモス大学のように大きい大学では本当の教育は
出来ないと思うからです。

 リクルートが1999年の末に「学生たちが今の大学教育をどう見て
いるか」の調査を実施したそうです。その結果を、昨年2000年の05
月29日付けの朝日新聞が簡単に報じています。その主要点は次の通
りです。

 1、インターネットなどの情報網は整ってきているが、日常の授
業はお粗末で、学生主体の授業や最先端の研究に触れる授業は少な
い。

 2、外国語教育も一部の語学系の単科大学を除いて総じて評価は
低い。

 3、国公立大学より私立大学の方が自校の学生に高く評価されて
いる。その中でも私立女子大の少人数制授業、学習相談などのきめ
細かな態勢が学生から高く評価されている。

 4、国公立大学は留学生受け入れ、実験・実習講座、産学提携の
共同研究などで私立より評価されている。

 私の注目したのはこの第3点です。私自身の学生としての経験及
び教師としての経験からみても、やはり「小さいことはいいこと」
だと思います。

 ではなぜ大学はかくも大きくなってしまったのでしょうか。よく
は知りません。多分、経済的な理由でしょう。

 いつだったか、上智大学の学長が誰かとの対談で「大学の学長に
とって、大学を大きくしたいという欲望に打ち勝つのは大変な事だ
」と言っていたのを覚えています。

 上智大学は近年、とても評判がいいようですが、それには訳があ
ったのです。

 しかし、金儲けに大学を経営するならともかく、本当の研究と教
育のための大学ということを考えた場合、やはり適正規模というも
のがあるでしょうし、それでやっていけるはずです。やってけいけ
るように援助するのが、行政の仕事だと思います。

 昨今の大学の改革論議にぜひとも大学の適正規模という観点を取
り入れてほしいと思います。

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