野党が安倍晋三主催「桜を見る会」に関して内閣府に8項目の質問書を提出、その回答が行われた2019年12月17日の衆院内閣委員会理事会で内閣府が安倍晋三主催「桜を見る会」の招待者について安倍事務所で推薦した人物を落としたケースがある旨、口頭で回答したとマスコミが伝えていた。
このマスコミ報道に誘導されて、理事会の動画から、この回答の箇所のみを文字に起こしてみた。
内閣府「(8項目のうちの)2番でございます。『安倍事務所で推薦した人物をチェックして落としたケースはありますか』ということでございますが、從來、審査の詳細、確認の詳細に関わるということで回答を差し控えさせて頂いたところでございますが、今回理事会等から要請ということもございまして、担当者にも聞き取りを致しましてですね、安倍事務所から推薦を頂いたものでもご招待しなかった例もあるということでお答えさせた頂いたところでございます」
この回答に対して野党側は何の質問もしないまま、3番目の回答に移らせた。聞き取りづらくて、要所要所を文字にするだけでも時間がかかることと会議全体が1時間52分もあること、さらにマスコミが野党側の反応として内閣府側が従来どおりの説明を繰り返すのみで事実上の「ゼロ回答」としたと伝えていたこと、「公文書、行政文書は国民の財産で、あなたたち(役人たち)の財産ではない」とか、「(推薦者名簿や招待者名簿は)広く行政文書としなければならない。(廃棄したのは)隠しているとしか思えない」などと、追及というよりも自分たちの意見を述べる雑談に近い遣り取りが多く思えたことから、最後まで視聴しなかった。
上記回答で内閣府は「審査の詳細、確認の詳細に関わるということで回答を差し控えさせて頂いた」としているが、「『桜を見る会』で安倍晋三による行政の私物化・予算の私物化が疑われているのだから、審査の詳細、確認の詳細をこそを明らかにすべきではないのか」とでも反論すべきだったと思うが、それすらしなかった。要するの役人側の「ゼロ回答」ではなく、野党側の追及が甘くて、「ゼロ回答にさせてしまった」といったところが事実のように思える。
官房長官の菅義偉も2019年12月19日午前中の記者会見で同じことを発言している。
記者「(12月)17日の内閣委員会の理事会で政府は安倍事務所からの推薦者で紹介者から落とした例があるとお答えをしました。その人数はどの程度の規模で、どういう基準で落としたのかについて説明して下さい。どういう理由で落としたのか」
菅義偉「過去にも総理の推薦者の中でも、実際に招待しなかった者もいるということです。これ以上については取り纏めのプロセスやセキュリティーに関わることでありますので、基準については差し控えたいと思います。
なお社会的に問題があれば、招待しないということもあり得るということでありますし、必要に応じて警察に照会することもあるということでございます」
招待から落とした、落とさなかったということが、それがどこの誰と聞いているわけではないのだから、「取り纏めのプロセスやセキュリティー」にどう関わるのか逆質問して貰いたかったが、していたなら、マスコミが取り上げるが、取り上げていないところを見ると、していなかったようだ。
内閣府回答の「落としたケースがある」、菅義偉の「実際に招待しなかった者もいる」が事実であるなら、2019年12月2日参議院本会議での共産党参議院議員田村智子の質問に対して安倍晋三は真っ正直に答弁したことになる。事実でなかったなら、安倍晋三の答弁はウソ八百そのもので、そのウソ八百をウソ八百と取られないために答弁との整合性を謀るための回答や菅義偉の発言ということになる。
では、安倍晋三の田村智子の質問に対する答弁を振り返ってみる。文飾は当方。
安倍晋三「『桜を見る会』への私の事務所からの推薦についてお尋ねがありました。私の事務所に於いては内閣官房からの依頼に基づき後援会の関係者を含め地域で活躍されてるなど、『桜を見る会』への参加にふさわしいと思われる方を始め、幅広く参加希望者を募り、推薦を行っていたところであります。その過程に於いて私自身も事務所からの相談を受ければ、推薦者についての意見を言うこともありましたが、事務所を通じた推薦以外は行なっておりません。
他方、繰り返しになりますが、『桜を見る会』の招待者については提出された推薦者につき最終的に内閣官房及び内閣府に於いて取り纏めを行っているところであり、私の事務所が申し込めば、必ず招待状が届くものではありません」
推薦者全てがノーチェック・フリーパスで招待されるわけではないということを言っていることになる。つまり落とされるケースもある。12月17日の衆院内閣委員会理事会での内閣府の回答、12月19日の菅義偉の記者会見発言は安倍晋三のこの答弁と見事に整合性を取ることになる。
但し内閣府の回答、菅義偉の発言がウソ偽りのない100%どころか、200%の事実だとしても、「あべ事務所」が発送した〈「『桜を見る会』参加申込み〉(別ウインドウ)の文面とは整合性が取れない。
この「参加申込み」の発送日時は記載されていないが、文面は、〈※参加される方が、ご家族(同居を含む)、知人、友人の場合は、別途用紙でお申し込み下さい。(コピーして利用して下さい)〉との断りのみで、安倍晋三や官房長官の菅義偉が招待基準を「各界に於いて功績・功労のあった方々」と何度も国会で答弁していながら、この基準に無関係に何の制限もかけないままに、後援会員に限らずに同居を含む家族、知人、友人と不特定多数の者が紹介者が必要であること以外は申込用紙を何枚でもコピーして名前を書きさえすれば、何人でも申し込みができる仕組みとなっている。
この仕組みは申込みをすれば、ノーチェック・フリーパスで招待される、いわば落とされる者はいない手続きを踏んでいることになる。でなければ、つまり中には申し込んでも招待されない者がいるなら、不特定多数の者に紹介者が必要であること以外に何の制限もかけないままに参加を申込むことはできない。
この制限をかけない参加申込は自民党事務局総務部が平成31年の参議院改選議員に宛てた〈「桜を見る会」のお知らせ>(別ウインドウ)と同質の仕組みを取っている。2019年4月13日の「桜を見る会」開催に対して「お知らせ」は「平成31年1月31日」の発信日付となっていて、4月13日にまで約2ヶ月近くも間がある。「平成31年改選議員」〈2019年7月21日執行参議院議員選挙〉に対して「一般の方(友人、知人、後援会等)を4組までご招待いただけます」と記載。
「一般の方(友人、知人、後援会等)」を4組までとする制限以外に招待基準に関しては何の制限も掛けていないのだから、4組までに関してはノーチェック・フリーパスで招待される仕組み以外の何ものでもない。いわばこの「お知らせ」のどこにも「落とされる」者がいる可能性を示唆するどのような文言も記されていない。いわば申し込みさえすれば、「桜を見る会」への参加が保証付きの「4組」までと言うことになる。
もし安倍晋三の「私の事務所が申し込めば、必ず招待状が届くものではありません」がウソ八百ではない事実そのものなら、あるいは内閣府の「安倍事務所で推薦した人物をご招待しなかった例もある」の回答や菅義偉の「実際に招待しなかった者もいる」が安倍晋三の答弁に整合性をつけるための忖度や口裏合わせではなく、事実そのとおりであるなら、安倍事務所や自民党事務局総務部が発送した案内状や参加申込書がノーチェック・フリーパスの構図を取っていることとの矛盾・整合性の不一致を説明しなければならない。
既に周知の事実となっているが、マルチ商法で多額の資金を集め、経営破綻し、悪名を挙げたジャパンライフのサイトに〈安倍晋三内閣総理大臣から山口会長に「桜を見る会」のご招待状が届きました。〉との飾り文字での文言と一緒に2015年の「桜を見る会」の受付票と安倍晋三からの会長名宛の招待状の表書きと裏書きの写真が載せられていて、この宣伝で客を信用させて、被害を拡大させていたことが判明、受付票の左下隅に「60-2357」の番号が付されていたことから、「60」は総理大臣の招待枠のことで、安倍晋三自身が山口会長を招待したのではないのかと問題が浮上して、理事会や記者会見で政府側は野党の追及を受けることになった。
2019年12月23日の参議院内閣委員会の理事会。
内閣府「担当者などに聞き取りを行った結果、『60』は従来から官邸や与党の関係の推薦だったと思うという回答を得た」(NHK NEWS WEB)
要するに番号「60」は官邸のみならず、与党の推薦分も含んだ区分と回答した。と言うことは、安倍晋三自身がジャパンライフの山口会長を招待したのではなく、与党自民党議員の誰かが招待したとすることもできる。
ところが、この参議院内閣委員会理事会開催翌日の2019年12月24日に日本共産党の宮本徹衆院議員が「60」が「総理大臣」推薦の招待者であることを示す公文書を国立公文書館で確認。さらに2006年に決定した招待者を当時の小泉純一郎が決済した書面が存在していたと翌25日付「しんぶん赤旗」が伝えた。
新聞が載せている画像を2枚、ここに乗せておくが、「分野別招待者数」の方は字がよく見えるようにEXCELで作り直し、決裁文書方も、字がはっきりと読めるように画像処理を施した。
当然、野党側は決裁文書の存在を明らかにするように求めたが、内閣府は12月26日の野党の会合で開催要領や招待者数などに関する文書について、第2次安倍政権以降の2013年から総理大臣の決裁は確認できていないと説明したと「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。
翌12月27日、閣議後記者会見。
菅義偉「当時の担当者によれば事務の簡素化の一環として、総理大臣までの決裁手続きは行わないことにしたとの報告受けている。
最終的に決裁という形を取るかどうかは、それぞれの役所の判断であり、『桜を見る会』の招待手続きについては、毎年の慣行を引き継いでやってきている」(同NHK NEWS WEB)
要するに「桜を見る会」に関しては「総理大臣までの決裁手続きは行わない」ことになった。だから、どのような決裁文書も存在しない。だとしても、内閣府や内閣官房の上司のどこかでどのような決裁も行わないとなると、内閣官房・内閣府の推薦名簿から招待者を取り纏める部署の職員たちが自分たちで招待者を決めて、決めたとおりにそのまま通してしまった場合、責任の所在を設けないことになり、奇妙な事態が生じる。自分の都合がいいように物事を取り計らうお手盛りの取り纏めにならない保証はない。
2019年11月25日参院行政監視委員会で菅義偉は、首相主催の「桜を見る会」の招待者名簿の取りまとめについて「最終的な意思決定は私が責任者だ」(時事ドットコム)と発言している。と言うことは、官房長官である菅義偉の段階で招待者や招待数の是非の最終的な決裁を取らなければならないことになる。
だが、菅義偉の段階でも決裁を取っていないとしたなら、最終的な意思決定者の立場としてどういった「最終的な意思決定」を行ったのか、何も行わなかったのか、明らかにする説明責任を国民に対して負うことになる。
例え誰も決裁を取らなかったとしても、招待区分の「60」が「官邸や与党関係の推薦」である事実は残る。
次に小泉時代の2015年の「分野別招待者数」を見てみる。「60・61・62」と纏めて、「総理大臣推薦者」となっている。その内訳は「60 総理大臣 737名」、「61 自民党
1483名」、「62 公明党 200名」と別々の区分になっていて、内閣府の「『60』は従来から官邸や与党の関係の推薦」としていることと食い違っている。
第2次安倍政権の「桜を見る会」から、「60」を総理大臣と自民党を一緒の区分にしたと証言することもできる。何しろ、「桜を見る会」に関わる文書の類いは一切合切廃棄してしまったとしているのだから、確かめようがない。
但しこの「自民党」は区分「20」が「総理を除く」「国務大臣と副大臣、政務官、認証官及び各省庁局長以上の者」に充てがわれている関係上、これらを除く自民党国会議員と言うことになる。当然、「桜を見る会」の主催者であるか否かの点でも、職務上の地位の点から言っても、与党とは言え、自民党議員を総理大臣と同格に扱って、同じ区分を充てがうことは常識的にあり得るだろうか。
2015年の「60 総理大臣」の次の区分、「61」に「自民党」を持ってきたのは、主催者の特権として総理大臣を選出した与党自民党議員をより多く招待できることからの優先待遇であって、このことは同じ与党を構成する公明党を次に持ってきていることと、自民党から1483名もが招待されていることからも証明できる。
1483名も多いのは区分「50・51・52」の各省庁推薦の「各界功労者1538名」のみであって、如何に自民党が安倍晋三の与党として優先待遇されているかが分かるが、決して首相と同格扱いしているわけではないし、同格扱いすることができないことも常識そのものであろう。
だが、内閣府は「『60』は従来から官邸や与党の関係の推薦」だと、両者の格の違いを無視して官邸と与党を同格としている。これ以上のペテンはない。
このマスコミ報道に誘導されて、理事会の動画から、この回答の箇所のみを文字に起こしてみた。
内閣府「(8項目のうちの)2番でございます。『安倍事務所で推薦した人物をチェックして落としたケースはありますか』ということでございますが、從來、審査の詳細、確認の詳細に関わるということで回答を差し控えさせて頂いたところでございますが、今回理事会等から要請ということもございまして、担当者にも聞き取りを致しましてですね、安倍事務所から推薦を頂いたものでもご招待しなかった例もあるということでお答えさせた頂いたところでございます」
この回答に対して野党側は何の質問もしないまま、3番目の回答に移らせた。聞き取りづらくて、要所要所を文字にするだけでも時間がかかることと会議全体が1時間52分もあること、さらにマスコミが野党側の反応として内閣府側が従来どおりの説明を繰り返すのみで事実上の「ゼロ回答」としたと伝えていたこと、「公文書、行政文書は国民の財産で、あなたたち(役人たち)の財産ではない」とか、「(推薦者名簿や招待者名簿は)広く行政文書としなければならない。(廃棄したのは)隠しているとしか思えない」などと、追及というよりも自分たちの意見を述べる雑談に近い遣り取りが多く思えたことから、最後まで視聴しなかった。
上記回答で内閣府は「審査の詳細、確認の詳細に関わるということで回答を差し控えさせて頂いた」としているが、「『桜を見る会』で安倍晋三による行政の私物化・予算の私物化が疑われているのだから、審査の詳細、確認の詳細をこそを明らかにすべきではないのか」とでも反論すべきだったと思うが、それすらしなかった。要するの役人側の「ゼロ回答」ではなく、野党側の追及が甘くて、「ゼロ回答にさせてしまった」といったところが事実のように思える。
官房長官の菅義偉も2019年12月19日午前中の記者会見で同じことを発言している。
記者「(12月)17日の内閣委員会の理事会で政府は安倍事務所からの推薦者で紹介者から落とした例があるとお答えをしました。その人数はどの程度の規模で、どういう基準で落としたのかについて説明して下さい。どういう理由で落としたのか」
菅義偉「過去にも総理の推薦者の中でも、実際に招待しなかった者もいるということです。これ以上については取り纏めのプロセスやセキュリティーに関わることでありますので、基準については差し控えたいと思います。
なお社会的に問題があれば、招待しないということもあり得るということでありますし、必要に応じて警察に照会することもあるということでございます」
招待から落とした、落とさなかったということが、それがどこの誰と聞いているわけではないのだから、「取り纏めのプロセスやセキュリティー」にどう関わるのか逆質問して貰いたかったが、していたなら、マスコミが取り上げるが、取り上げていないところを見ると、していなかったようだ。
内閣府回答の「落としたケースがある」、菅義偉の「実際に招待しなかった者もいる」が事実であるなら、2019年12月2日参議院本会議での共産党参議院議員田村智子の質問に対して安倍晋三は真っ正直に答弁したことになる。事実でなかったなら、安倍晋三の答弁はウソ八百そのもので、そのウソ八百をウソ八百と取られないために答弁との整合性を謀るための回答や菅義偉の発言ということになる。
では、安倍晋三の田村智子の質問に対する答弁を振り返ってみる。文飾は当方。
安倍晋三「『桜を見る会』への私の事務所からの推薦についてお尋ねがありました。私の事務所に於いては内閣官房からの依頼に基づき後援会の関係者を含め地域で活躍されてるなど、『桜を見る会』への参加にふさわしいと思われる方を始め、幅広く参加希望者を募り、推薦を行っていたところであります。その過程に於いて私自身も事務所からの相談を受ければ、推薦者についての意見を言うこともありましたが、事務所を通じた推薦以外は行なっておりません。
他方、繰り返しになりますが、『桜を見る会』の招待者については提出された推薦者につき最終的に内閣官房及び内閣府に於いて取り纏めを行っているところであり、私の事務所が申し込めば、必ず招待状が届くものではありません」
推薦者全てがノーチェック・フリーパスで招待されるわけではないということを言っていることになる。つまり落とされるケースもある。12月17日の衆院内閣委員会理事会での内閣府の回答、12月19日の菅義偉の記者会見発言は安倍晋三のこの答弁と見事に整合性を取ることになる。
但し内閣府の回答、菅義偉の発言がウソ偽りのない100%どころか、200%の事実だとしても、「あべ事務所」が発送した〈「『桜を見る会』参加申込み〉(別ウインドウ)の文面とは整合性が取れない。
この「参加申込み」の発送日時は記載されていないが、文面は、〈※参加される方が、ご家族(同居を含む)、知人、友人の場合は、別途用紙でお申し込み下さい。(コピーして利用して下さい)〉との断りのみで、安倍晋三や官房長官の菅義偉が招待基準を「各界に於いて功績・功労のあった方々」と何度も国会で答弁していながら、この基準に無関係に何の制限もかけないままに、後援会員に限らずに同居を含む家族、知人、友人と不特定多数の者が紹介者が必要であること以外は申込用紙を何枚でもコピーして名前を書きさえすれば、何人でも申し込みができる仕組みとなっている。
この仕組みは申込みをすれば、ノーチェック・フリーパスで招待される、いわば落とされる者はいない手続きを踏んでいることになる。でなければ、つまり中には申し込んでも招待されない者がいるなら、不特定多数の者に紹介者が必要であること以外に何の制限もかけないままに参加を申込むことはできない。
この制限をかけない参加申込は自民党事務局総務部が平成31年の参議院改選議員に宛てた〈「桜を見る会」のお知らせ>(別ウインドウ)と同質の仕組みを取っている。2019年4月13日の「桜を見る会」開催に対して「お知らせ」は「平成31年1月31日」の発信日付となっていて、4月13日にまで約2ヶ月近くも間がある。「平成31年改選議員」〈2019年7月21日執行参議院議員選挙〉に対して「一般の方(友人、知人、後援会等)を4組までご招待いただけます」と記載。
「一般の方(友人、知人、後援会等)」を4組までとする制限以外に招待基準に関しては何の制限も掛けていないのだから、4組までに関してはノーチェック・フリーパスで招待される仕組み以外の何ものでもない。いわばこの「お知らせ」のどこにも「落とされる」者がいる可能性を示唆するどのような文言も記されていない。いわば申し込みさえすれば、「桜を見る会」への参加が保証付きの「4組」までと言うことになる。
もし安倍晋三の「私の事務所が申し込めば、必ず招待状が届くものではありません」がウソ八百ではない事実そのものなら、あるいは内閣府の「安倍事務所で推薦した人物をご招待しなかった例もある」の回答や菅義偉の「実際に招待しなかった者もいる」が安倍晋三の答弁に整合性をつけるための忖度や口裏合わせではなく、事実そのとおりであるなら、安倍事務所や自民党事務局総務部が発送した案内状や参加申込書がノーチェック・フリーパスの構図を取っていることとの矛盾・整合性の不一致を説明しなければならない。
既に周知の事実となっているが、マルチ商法で多額の資金を集め、経営破綻し、悪名を挙げたジャパンライフのサイトに〈安倍晋三内閣総理大臣から山口会長に「桜を見る会」のご招待状が届きました。〉との飾り文字での文言と一緒に2015年の「桜を見る会」の受付票と安倍晋三からの会長名宛の招待状の表書きと裏書きの写真が載せられていて、この宣伝で客を信用させて、被害を拡大させていたことが判明、受付票の左下隅に「60-2357」の番号が付されていたことから、「60」は総理大臣の招待枠のことで、安倍晋三自身が山口会長を招待したのではないのかと問題が浮上して、理事会や記者会見で政府側は野党の追及を受けることになった。
2019年12月23日の参議院内閣委員会の理事会。
内閣府「担当者などに聞き取りを行った結果、『60』は従来から官邸や与党の関係の推薦だったと思うという回答を得た」(NHK NEWS WEB)
要するに番号「60」は官邸のみならず、与党の推薦分も含んだ区分と回答した。と言うことは、安倍晋三自身がジャパンライフの山口会長を招待したのではなく、与党自民党議員の誰かが招待したとすることもできる。
ところが、この参議院内閣委員会理事会開催翌日の2019年12月24日に日本共産党の宮本徹衆院議員が「60」が「総理大臣」推薦の招待者であることを示す公文書を国立公文書館で確認。さらに2006年に決定した招待者を当時の小泉純一郎が決済した書面が存在していたと翌25日付「しんぶん赤旗」が伝えた。
新聞が載せている画像を2枚、ここに乗せておくが、「分野別招待者数」の方は字がよく見えるようにEXCELで作り直し、決裁文書方も、字がはっきりと読めるように画像処理を施した。
当然、野党側は決裁文書の存在を明らかにするように求めたが、内閣府は12月26日の野党の会合で開催要領や招待者数などに関する文書について、第2次安倍政権以降の2013年から総理大臣の決裁は確認できていないと説明したと「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。
翌12月27日、閣議後記者会見。
菅義偉「当時の担当者によれば事務の簡素化の一環として、総理大臣までの決裁手続きは行わないことにしたとの報告受けている。
最終的に決裁という形を取るかどうかは、それぞれの役所の判断であり、『桜を見る会』の招待手続きについては、毎年の慣行を引き継いでやってきている」(同NHK NEWS WEB)
要するに「桜を見る会」に関しては「総理大臣までの決裁手続きは行わない」ことになった。だから、どのような決裁文書も存在しない。だとしても、内閣府や内閣官房の上司のどこかでどのような決裁も行わないとなると、内閣官房・内閣府の推薦名簿から招待者を取り纏める部署の職員たちが自分たちで招待者を決めて、決めたとおりにそのまま通してしまった場合、責任の所在を設けないことになり、奇妙な事態が生じる。自分の都合がいいように物事を取り計らうお手盛りの取り纏めにならない保証はない。
2019年11月25日参院行政監視委員会で菅義偉は、首相主催の「桜を見る会」の招待者名簿の取りまとめについて「最終的な意思決定は私が責任者だ」(時事ドットコム)と発言している。と言うことは、官房長官である菅義偉の段階で招待者や招待数の是非の最終的な決裁を取らなければならないことになる。
だが、菅義偉の段階でも決裁を取っていないとしたなら、最終的な意思決定者の立場としてどういった「最終的な意思決定」を行ったのか、何も行わなかったのか、明らかにする説明責任を国民に対して負うことになる。
例え誰も決裁を取らなかったとしても、招待区分の「60」が「官邸や与党関係の推薦」である事実は残る。
次に小泉時代の2015年の「分野別招待者数」を見てみる。「60・61・62」と纏めて、「総理大臣推薦者」となっている。その内訳は「60 総理大臣 737名」、「61 自民党
1483名」、「62 公明党 200名」と別々の区分になっていて、内閣府の「『60』は従来から官邸や与党の関係の推薦」としていることと食い違っている。
第2次安倍政権の「桜を見る会」から、「60」を総理大臣と自民党を一緒の区分にしたと証言することもできる。何しろ、「桜を見る会」に関わる文書の類いは一切合切廃棄してしまったとしているのだから、確かめようがない。
但しこの「自民党」は区分「20」が「総理を除く」「国務大臣と副大臣、政務官、認証官及び各省庁局長以上の者」に充てがわれている関係上、これらを除く自民党国会議員と言うことになる。当然、「桜を見る会」の主催者であるか否かの点でも、職務上の地位の点から言っても、与党とは言え、自民党議員を総理大臣と同格に扱って、同じ区分を充てがうことは常識的にあり得るだろうか。
2015年の「60 総理大臣」の次の区分、「61」に「自民党」を持ってきたのは、主催者の特権として総理大臣を選出した与党自民党議員をより多く招待できることからの優先待遇であって、このことは同じ与党を構成する公明党を次に持ってきていることと、自民党から1483名もが招待されていることからも証明できる。
1483名も多いのは区分「50・51・52」の各省庁推薦の「各界功労者1538名」のみであって、如何に自民党が安倍晋三の与党として優先待遇されているかが分かるが、決して首相と同格扱いしているわけではないし、同格扱いすることができないことも常識そのものであろう。
だが、内閣府は「『60』は従来から官邸や与党の関係の推薦」だと、両者の格の違いを無視して官邸と与党を同格としている。これ以上のペテンはない。