山本太郎2019年3月18日参院予算委:沖縄米軍基地・北方領土・米軍日本基地使用各質疑と安倍答弁の問題点

2019-03-25 11:39:29 | 教育


   2019年7月28日任期満了実施参院選で

   安倍自民党を大敗に追いつめれば

   政権運営が行き詰まり 

   2019年10月1日の消費税10%への増税を

   断念させる可能性が生じる


 2019年3月18日の参議院予算委員会で自由党共同代表の山本太郎が質問に立った。文字に起こした沖縄米軍基地・北方領土・米軍日本基地使用問題関する質疑にのみを紹介して、それらに対する安倍晋三の答弁の問題点を少々取り上げてみたいと思う。

 因みにこの質疑で山本太郎が使用した資料は山本太郎サイトの次のページに記載されている。「国会活動」

 2019年3月18日参院予算委員会 山本太郎質疑

山本太郎「自由党共同代表山本太郎です。会派国民民主党・新緑風会を代表し、総理に全てをお聞きをする前に本日の委員会で野党側が要求していました参考人、玉城デニー沖縄県知事について理事会で自民党が反対を致しました。デニー知事を参考人としてお呼びできませんでした。先日我が会派、森ゆうこ委員の新基地建設に関する質疑に防衛大臣は『沖縄に聞いてくれ』との趣旨の答弁を致しました。

 その後理事会でデニー知事を参考人として要求。結局、自民党は反対。委員長、玉城デニー知事の参考人出席、自民党が理事会で反対をした理由、教えてください、委員長」

 金子原二郎「参考人の出席につきましてはね、・・・・協議が整わない場合は一応出席できないということになっている訳であって、その賛否についてはね、ある場合とない場合があるわけですから、合意するかどうかに掛かっているわけですから、合意に至らなかったんで、結果的に呼ばなかったということでございます」

 山本太郎「ありがとうございます。今お答え頂いたのはあくまでもルール、全会一致が原則ルールだということを主に説明して頂いたと思います。理由がないのに反対などあり得ますか。合理的說明がないのに反対などあり得ないじゃないですか。どうしてデニーさん、呼べないかっていう話なんですね。

 その際、野党は再度、検討を求めましたが、委員長はそのまま仕切って、参考人の話は打ち切り、公平・公正な委員会運営とは程遠いと思います。NHKのテレビ入りで、沖縄の実情をデニー知事に話されると、官邸の、政権側の印象、立場が悪くなる。本当の理由、これじゃないですか、自民党。

 参議院自民党、官邸の下請け、そういう仕事じゃないですか、今やっているのは。私はそう思いますよ」

 「下請け」という言葉を抗議するためにだろう、自民党委員が立ち上がって、委員長席に行く。野党委員も委員長席に集まる。与野党委員と委員長との協議。
 
 金子原二郎「只今の不穏当な言葉があるとのことがご指摘がありましたので、委員長と致しましては後刻、理事会に於いて速記録を調査の上、適当な処置を取ることと致します」

 山本太郎「いや、いや、玉城知事を呼ばない理由が、はっきりしないんですよ。合理的說明ができてないじゃないですか。反対理由、何ですか。政権に対してできるだけ打撃を与えたくない。デニーさんに本当のことを喋られたら困るっていう話以外、見つからないじゃないですか。だから、官邸の下請けじゃないかって言っているんですよ。

 ここは立法府であり、行政を監視することも仕事です。行政監視の一環として大きな問題を抱え、苦しみ続ける沖縄の皆さんに対して基地問題、当事者の代表デニー知事にお話を伺い、少しでも解決に導こうとすることも、立法府の仕事じゃないんですか。

 立法府にいながら、国民の代表でありながら、政権に忖度することが議員としての最優先課題であるならば、それは自分のキャリアアップや就職活動のための仕事でしかないじゃないですか。そんなことのために沖縄の声を直接聞き、解決の糸口を探る機会を奪わないで頂きたい。再度、玉城デニー知事の参考人出席を求めます」

 金子原二郎「後刻理事会で協議をさせて頂きます」

 山本太郎「今国会の中で私の事務所で調べただけで、10回ですね、10回、『沖縄に寄り添う』という言葉を発言されています。総理、これまで10回もご発言されたとおり、沖縄に寄り添うという気持は本物であると、それを確認させて頂きますか」

 安倍晋三「沖縄に米軍基地が集中をしてるという、この現在のこの現状をですね、これでは到底是認できるものではない訳でございまして、沖縄の米軍基地の縮小のためにこの6年間、我々も全力を尽くしてきたわけでございます。今後とも、その姿勢には変わりはないということを申し上げておきたいと思います」

 山本太郎「ありがとうございます。『寄り添う』、この『寄り添う』という言葉を調べてみると、『ピッタリと傍へ寄る』とあります。自分の感情を相手の気持と同化するようなこと?如何に相手の気持を汲み取れるか、それに自分の心を寄せていく様が『寄り添う』ということのようであります。

 沖縄県民投票の結果、辺野古に基地はいらないと、圧倒的な民意がはっきりとした翌日、埋め立ての土砂を積んだトラックなど約300台が資材搬入、ゲートを通過、琉球新報では、名護市粟にある桟橋で工事車両583台が運搬船3隻に土砂を積み込んだと。沖縄県民投票では72%が反対。超圧倒的明確な結果を完全に無視した、聞いたことがない寄り添い方であります。

 これ本当にどうやって寄り添っていくのかっていうことですね。この後、総理にも聞いていきたいと思うんですけれども、先日ですね、防衛省の方が軟弱地盤に関わる地質データーを含む約1万ページにも及ぶ報告書などが防衛省から出されたんですね。これ、やっと出したかって話なんです。先ず、聞くところによると、防衛大臣は随分出されることに抵抗をしていたというお話を聞いています。

 予算委員会が終盤に入ったこのタイミングで1万ページもの資料提供、出さないよりかいいですけど、このタイミングですかって、もう終わりますよ、予算委員会。防衛省が提出を(「しないように」か?)粘ばり続けたのは本委員会での議論を下げたい意図があるとしか考えられない。この短い間にもう3月、3月一杯でこの委員会終わっちゃうのに、1万ページ、これ詳細に検討するって、無茶苦茶大変な大変な話ですよ。

 こういうこと今までもありましたよね。森友学園の関係資料、ギリギリになって出してきた、大量に。他にもありましたよ。去年の入管法。その時に実習生の個人情報、マスクをして、いつものように黒塗りをして出して頂ければいいのに。それもせずに、手書きで写せと、野党は普段仕事をしなきゃいけない時間を削りながら、一枚、一枚、写経をするようなことずっと続けていたわけですよ。

 あまりにもあり得ないと言います、これ、国会の審議をまともにやろうという考えからかけ離れている。もっと正々堂々と遣りましょうよっていう話なんですね。

 これ軟弱地盤、地質データを含むこの報告書、1万ページを超えるようなもの、今全国の・・・・

 予算が成立したあとも、この沖縄問題、軟弱地盤の問題もあります。・・・・」

 (ここでNHKの午前中の中継放送が終了)

 山本太郎「日本とロシアの交渉について資料の9。昨年の11月14日、北方領土交渉を巡りロシア側が北方領土、北方領土を日本に引き渡した場合にアメリカ軍の基地を置かないことをプーチン大統領が日米の首脳の間で公式に合意するよう求めていることが分かりました。テレビ朝日が報道しました。

 ロシアが北方領土を引き渡した場合、米軍基地を置かない。これを日米首脳で公式合意するよう、プーチンさんから求められた件、総理、トランプさんにお話ししたんですか。了解を得られました?(河野太郎が手を上げる)違いますよ、違いますよ、ちょっと待って。違う、違う、違うでしょ」

 河野太郎「日露の平和条約は今現に交渉が行われていますので、政府の方針、あるいは交渉の中身について公にするのは、これまでも差し控えてきているところでございます」

 山本太郎「自分の言葉でお話し頂きたかったですよ、総理。だって、ドナルドと晋三の仲なんでしょ。ロシア側にしてみれば、これ、事実上、(日本政府は)主権を行使できない。国家代表と名乗る者と会談を25回も付き合わされてる状態ですよ。そう思いません?

 だって、米軍の基地を造るのか、造らないのかっていう話で、自分達が判断できないんだから。権限のない店長と25回も話しをさせるな、さっさとオーナー呼べっていった気持が
ロシア側ではないでしょうか。領土交渉で他国の大統領の同意がなければ、何も決められないという異常な現実、世界中に広く知れ渡った。ロシア側は日本政府はアメリカ政府に対して一切の交渉能力はないと判断したと思います。

 資料の11。今年3月15日付、ロシア・コメルサント紙記事。モスクワでロシア産業界との会合でプーチン大統領の発言。『日本との交渉は本当に行き詰まったのか』と聞かれ、『交渉は失速した』と答え、さらに『日本は先ず通知手続きによって同国軍事基地を創設する権利を持っている米国との条約から離脱しなくてはならない』と指摘した上で、ちょっと飛ばします。『安倍晋三は実際にウラジミールプーチンに対して島が返還された場合はそうした基地は一つも造らせないと請け合ったが、認可しないための現実的な手段はないのだとプーチンさんが語った』ことを報道されています。

 これ総理、プーチンさん、北方領土還ってきても、米軍基地渡させないという約束されたんですか」

 安倍晋三「交渉がうまくいくかは静かに交渉できるかにかかっているわけでありまして、交渉内容に関わることや我が国の交渉方針、考え方については交渉に悪影響を与えないためにも、このような場でお答えすることは差し控えたいと思います。

 いずれにせよ、プーチン大統領とはシンガポールでの首脳会談に於いて領土問題を次の世代に先送りすることなく、自らの手で必ずや終止符を打つとの強い意志を共有しているところで、政府としては領土問題を解決して、平和条約を締結するとの方針のもとに引き続き粘ばり強く渉していく考えであります」

 山本太郎「いや、いや、いや、交渉に影響があるから、私達はそんなに詳しいことは言えないっていう話なんですか。でも、全部、外国の首脳とか、そういうところから洩れているんですよ。と言うよりも、皆さん、お話になっているんです。

 その話は逆に言ったら、その交渉が前に進まない原因だっていうことですよね。どうしてそれを言わないんですか。うまくいってないから、言えないって話じゃないんですか?ロシア側は日本国内であっても、米軍は自由に振る舞える事実、ご存知のようです。島を返せば、米軍は基地を造ったり、演習をしたりするだろう、条約上、日本はノーとは言えない。完全にバレてます。

 その意味、簡単に説明します。資料の12、パネル4。戦争に日本が負け、米軍が日本を占領、それから6年経った1951年、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約。いわゆる旧安保が結ばれ、それに伴う駐留米軍の法的地位が書かれた行政協定が翌52年に結ばれた。占領から主権回復に向けて、それらの条約・協定を結ぶはずが、在日米軍に関してその使用施設、その区域、裁判権、経費の分担など全て米軍の思いのままになるような形で米軍の実質的占領状態がその後も続いた。この米軍の占領状態に終止符を打つべく、総理のおじいさま岸信介さんは、1960年新安保とそれに伴う駐留米軍の法的権利を定めた地位協定を新たに結ばれた。

 総理、現在、米軍が他国に攻撃をするために日本国内の基地から自由に出撃することは日本政府の許可がなくてもできるんですかね」

 安倍晋三「事前協議が必要であります。事前協議に於いて日本側が了承しなければならないと、いうことになっております」

 山本太郎「ハイ。常識では自国内の基地から外国の自由出撃、認めることはあり得ません。例えば米軍を中心とする有志連合に完膚なきまでにぶっ壊されたイラク。イラク戦争後の米軍はイラク国内に駐留。当然、米国とイラクの間にも地位協定、結ばれますが、イラクは国外への攻撃禁止を明記するよう強く要求。米側も地位協定締結のためにこれに譲歩せざるを得なくなり、結果、イラク国内の基地などから他国への自由出撃は許されていない。

 自分達の国の基地から外国軍の自由出撃、事実上認めるってことは普通じゃないってことが分かると思います。今、事前協議が必要になるんだということだと思います。それはおじい様がちゃんと事前協議をして、色んな意見もちゃんと擦り合わせてということをつくって頂いたということだと思いますけども、残念ながら、米軍が他国への出撃を日本から行う場合でも、米軍が新たな基地を作りたいと望んだ場合でも、現在日本側がノーということは難しい。それがおじい様の作られた日米安保と地位協定であると。占領の延長のような旧安保条約。

 日米行政協定を対等な日米関係に変えるんだと岸・ハーター交換公文によって事前協議制度を創設、これにより在日米軍が装備、配置などの重要な変更を行う場合、また日本国内の基地から国境を越えて他国へ出撃するような場合は、アメリカが日本と事前に協議することになった。対等な日米関係になったよねって話です。

 しかし実際は裏でアメリカ側が協議したくないときは協議しなくていいと密かに合意していた。資料の13。安保改定交渉に先立ち、。その前年、1957年6月21日に出された岸首相とアイゼンハワー大統領の共同声明には合衆国によるその軍隊の日本に於ける配備及び使用について実行可能なときは、実行可能なときはいつでも協議することを含めて、安全保障条約に関して生じる問題を検討するために政府間の委員会を設置すると書かれています。

 事前協議をするのはアメリカ側が実行可能なときだけでいいと合意しているんですよね。アメリカ国務省公式の歴史記録、フォーリン・リレイションズ・オブ・ザ・ユナイティドステイツ、略してFRUS(フラス)、この頭文字、F、R、U、Sと打って、アクセス、その先まで検索できれば、誰でもネットから今からご覧に入れる資料に辿りつけます。

 (この資料のパネルを出す)

 対等な日米関係の象徴であったはずの事前協議制度、実は米国が協議したくないときはしなくていい。

 その裏側です。資料の15になりますね。FRUSから1957年6月21日の記録、岸首相とダレス国務長官の記録にもその共同声明を出す直前、事前協議の定義を巡ってこんな遣り取りがあったことが書かれてる。ダレス国務長官『問題はこの共同声明の文言ではアメリカが軍を日本国内から朝鮮や台湾、グアムなどへ派兵する決定をしたとき、日本との協議が必要になるのかということなんです』。岸首相『その点に関しては実行可能な場合はいつでも協議するという言葉が入っているので、問題にはなりません。と言うのも、そうしたケースではアメリカは協議が可能とは考えないでしょうから』。

 つまりに他国に例を見ない自国の基地からの外国軍の自由出撃でさえ、アメリカが協議したくないときは協議なしで実行していいって話なんです。これを裏付ける話として資料の15、パネルの6になります。外務省公開文書。日米相互協力及び安全保障条約交渉経緯、1960年6月、東郷文彦外務省外務省北米局安全保障課長は『行政協定については、1958年12月16日の外務大臣とマッカーサー大使との会談の際も詳細討議されたが、アメリカ側は元々行政協定がそのまま存続することは交渉の前提条件であり、もし行政協定の内容に立ち入って交渉するとなれば、交渉の前提が崩れる上に一度手を触れれば、2年、3年の交渉となり、条約交渉の見送るのほかなしと強調して、前途極めて困難なるを思わしめた』と。アメリカ側は元々行政協定がそのまま存続することが新条約交渉の前提条件だという話。

 資料の16、パネルの7になります。先程のFRUSから、1959年4月29日、ダレス国務長官への報告でマッカーサー駐日大使が岸首相と藤山外務大臣について報告、資料左側、『彼ら』、岸と藤山のことです。『彼らの考える改定の多くは行政協定の見せかけ、アピアランス(上辺、外観)を改善するだけのものです』。

 資料の右側、『私は行政協定の実質的変更を避けるように岸と藤山に切れ目なく圧力をかけてきたし、岸と藤山はその見解を理解しています』。岸総理が表向きには対等な関係を築くために安保条約結ぶって言ってたものの、実はハナからその表向きの条文は変えても、その内容、以前と変わらないっていうことになってしまったという話です。そして現実にここでの合意は新安保条約が調印される約2週間前、1960年1月6日、資料の17、パネルの8ですかね。

 岸内閣の藤山外務大臣とマッカーサー駐日大使との間で米軍の基地の使用に関しては旧安保時代の権利がそのまま引き継がれるという基地権密約によってサインされたと。日本に飛びますね。『日本国に於ける合衆国軍隊の使用のため、日本国政府によって協議された施設及び区域内での合衆国の権利は』、こっから大事です。『1960年1月19日にワシントンで調印された協定。第3条一項の改定された文言の下で1952年2月28日に東京で調印された協定のもとで』と、『変わることなく続く』。つまり新しい地位協定、文言変わるけど、前の行政協定のまんまだからねって話なんですね。

 行政協定イコール地位協定だよってことです。アメリカでは絶対に出来ない、絶対に出来ない市街地上空での米軍機の訓練飛行。小学校、幼稚園に窓枠などの危険物を落下させても、何もなかったようにすぐ訓練飛行を再開させる米軍。それに抗議ができない日本。止められない日本。なぜですか。米軍機が学校、保育園の上を飛ぶために運動場で遊んでいた子供達、校舎に避難しなければならないような生活。普通ですか。

 アメリカ国内ではやれない訓練、なぜ米軍は日本でできるんですか。総理、辺野古の建設にいくら沖縄県民が反対しても、日本政府がその声を受け止められない本当の理由。または総理が北方領土交渉に於いて25回会談しても、何一つ交渉進展させられない本当の理由。それ、おじい様が密かに結んだ先程の米軍基地権密約。米軍の日本国内での行動に日本側が歯止めかけられない密約にあるんですよ。

 おじい様が結んだこの密約、根本から見直して破棄する。米軍の行動を日本がきちんとコントロールする。日本国首相として沖縄県民の民意に応えて、また軍事主権を持つ独立国の首相として、堂々と北方領土返還交渉に臨む。やって頂けませんか、総理」

 山本太郎(席に座ってから)「何で出てくるんですか」

 河野太郎「日米行政協定と今度の地位協定に於いては表現は変更されておりますが、施設・区域に於ける米軍のいわゆる管理権の実質的内容が変わったわけではございません。こうした経緯・考え方につきましては昭和35年の日米地位協定締結に当たっての国会審議の場で繰り返し申し上げていることでございして、これは当時国会で議論をされておりますから、密約でも何でもございません」

 山本太郎「じゃあ、何で密約文書、出てくるんですか?総理、今言ったこと、やって頂けませんか。基地権密約、これ破棄して、もう1回、日本、出直した方がいいでしょ。戦後レジームからの脱却なんじゃないですか。やってくださいよ」

 安倍晋三「政府としてですね、米国に於いて公開されたとされる文書の中身について一つ一つコメントすることは適当ではないと考えております。米国の一般に公開された文書につきコメントを行わないものと承知をしています。この文書から離れてですね、施設・区域に於ける米軍の管理権について申し上げれば、この権利権(言い間違い)、管理権の自主的内容が1952年に締結された日米行政協定と(現行の安保条約と同時に)1960年締結された日米地位協定の間で異なるもではないことはですね、日米地位協定の締結に当たって国会審議の場を含め、政府から既に說明をしていることであります。

 なおいわゆる密約問題について2009年から外務省に於いて4000を超えるファイルを対象にした徹底した調査を行ない、その結果及び多数の関連文書を2010年に公表したところ、これは民主党政権時代でありますが、この文書はその調査及び結果、これらの関連文書の中には含まれておりませんでした」

 委員長「時間がありません」

 山本太郎「総理自身がこの植民地状態から脱するって決意しないと、何も終わらないんですよ。おじいさんの作った売国条約はあなたの手で変えてくださいよ。それがあなたがやるべき仕事じゃないですか」

 委員長「時間が来ております」

 山本太郎「沖縄に基地は造らせない。以上で終わります」

 山本太郎は2019年3月15日付のロシア「コメルサント紙」記事を取り上げて、プーチンが北方領土の帰属問題を進めるためには返還した場合のいずれの島にも米軍基地を置かないことが必要で、このことを日米の首脳の間で公式に合意するよう求めたことを紹介している。

 プーチンのこの際の発言を2018年12月21日付「asahi.com」記事が伝えている。

 プーチン「(返還した島々に米軍基地設置の可能性について)日本の決定権に疑問がある。日本が決められるのか、日本がこの問題でどの程度主権を持っているのか分からない。

 平和条約の締結後に何が起こるのか。この質問への答えがないと、最終的な解決を受け入れることは難しい。(日本の決定権を疑う例として沖縄の米軍基地問題を挙げ)知事が基地拡大に反対しているが、何もできない。人々が撤去を求めているのに基地は強化される。みなが反対しているのに計画が進んでいる」

 同じ「コメルサント紙」の記事から紹介している2019年3月16日付「NHK NEWS WEB」記事のプーチンの発言は、「日本はまず、日米同盟から抜けなければならない。安倍総理大臣は島の引き渡しに際して、アメリカ軍の基地が設置されることは決してないと約束したが、現実的とは思えない」となっている。

 山本太郎はプーチン発言に一理があること、いわば正当性を見る観点から米軍の行動に関わる「事前協議制度」を取り上げたのだろう。そして「米軍基地権密約」の存在を指摘、「事前協議制度」が死文化していると主張している。

 但しプーチンは条約や協定が自国国益に従ってどうとでも変え得る非絶対性を併せ持っていることを見抜いているだろうから、日本政府が主張するどおりに「事前協議制度」が言葉通りに機能しているかいないかなどには重きを置いていないはずで、日本政府には逆立ちしても出来ない相談である「日米同盟の解消」を持ち出すことで、いわば日本政府にクリアできない条件の突きつけによって返還なしで済ます一便法と取れないこともない。

 山本太郎は日米の「事前協議制度」は「米国が協議したくないときはしなくていい」密約によって成り立った不完全な制度であることを厳しく指摘している。対して外相の河野太郎は、「昭和35年の日米地位協定締結に当たっての国会審議の場で繰り返し申し上げている」ように「施設・区域に於ける米軍の管理権」は協定の文言どおりであるといった趣旨の答弁を行ない、安倍晋三にしても河野太郎と同様なことを答弁、そして「いわゆる密約問題について2009年から外務省に於いて4000を超えるファイルを対象にした徹底した調査を行ない、その結果及び多数の関連文書を2010年に公表したところ、これは民主党政権時代でありますが、この文書はその調査及び結果、これらの関連文書の中には含まれておりませんでした」ことを理由に日米行政協定にしても、日米地位協定にしても、暗に密約の類いではないといった趣旨のことを主張している。

 先ず、「国会審議の場で繰り返し申し上げている」と言っている点について見てみる。民主党政権によって非核三原則を蔑ろにして核持ち込みがなされていた、いわゆる"核密約"が明るみに出されたが、それ以前の歴代首相や外相が「事前協議がないので核搭載艦船の寄港はない」と虚偽の政府答弁を繰り返していたことを鑑みるならば、森友学園疑惑や加計学園疑惑、あるいは厚労省統計不正問題の例から言っても、政府側国会答弁が常に事実を述べている保証はどこにもない。

 それをさも常に事実を述べているかのように言う。面の皮の厚さ、ここに極まれりである。

 2009年11月27日に民主党政権時代の外相岡田克也の委嘱により発足した、《いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書》には、「第3章 朝鮮半島有事と事前協議」のところで、「日米両国は1960年の新安保条約締結の際、岸・ハーター交換公文により、在日米軍が日本から行う「戦闘作戦行動」を事前協議の対象とすることで合意した。それと同時に、両国は非公開の「議事録」(Minutes、以下「朝鮮議事録」とする)により、朝鮮半島有事の際、国連軍の指揮下で行動する在日米軍が在日米軍基地を使用して直ちに(つまり場合によっては事前協議なしに)出撃できることで合意していたことが今回の調査で確認された」としていて、いわば山本太郎がアメリカ国務省公式の歴史記録「FRUS」(フラス)を用いて明らかにしたように事前協議に関わる密約は存在していたことになるし、安倍晋三がこの文書を「民主党政権時代調査及び結果に含まれていない」ことを以って暗に密約の類いではないといった趣旨の主張をしていることも事実に反することになる。

 但しこの報告書は、「佐藤栄作首相はニクソン米大統領と沖縄返還で合意した同年11月21日、朝鮮半島有事の際に在日米軍が出撃することについて、事前協議において「前向きかつすみやかに態度を決定する方針」と表明した。首相によるこうした公式の表明にもかかわらず、朝鮮議事録の失効・置き換えに関して日米両国は明確な合意には達しなかったが、現状では、事前協議なしの出撃という密約は事実上有効性を失っているとみられる」とも述べている。(文飾当方)

 先ず、「みられる」との表現は可能性の推測に過ぎない。密約の存在の事実上の消滅にまで至っていない。このことは「現状では、事前協議なしの出撃という密約は事実上有効性を失っている」という表現そのものに現われている。

 要するに「有効性を失っている」というだけのことで、「密約」そのものは残っていることを意味している。例えるなら、岸・ハーター交換公文は何年何月何日を以って廃棄処分とする、あるいは無効処分とする取り決めを日米両国が行わない限り、「事前協議はアメリカ側が実行可能なときのみ」の密約は消滅することなく、密約として残ることになる。

 賞味期限を過ぎた食品を廃棄しない限り、その食品自体は冷蔵庫内等に残ることになって、気づかずに食す家族が出ないとも限らないのことと似ている。

 日米地位協定に於いて日本側が何事も主体性を持ち得ず、アメリカに対して専ら従属的であるのは日米安保条約取り決めに関わる日本側の精神の反映であって、日米安保条約そのものに深いヤミが存在することを窺わせて余りある。

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