2019年7月28日任期満了実施参院選で 安倍自民党を大敗に追いつめれば 政権運営が行き詰まり 2019年10月1日の消費税10%への増税を 断念させる可能性が生じる |
政府は常々辺野古基地は世界一危険とされる普天間飛行場を撤去・返還するための代替施設だと辺野古移設を正当化しているが、辺野古基地建設反対派は移設をストレートに反対するのではなく、現代の戦争に於ける先制攻撃は先ず敵国土に接近した巡洋艦・駆逐艦・フリゲート艦・潜水艦等搭載の巡航ミサイル攻撃と爆撃機搭載の巡航ミサイル攻撃で敵基地を相当程度に打撃を与えて戦力を喪失させてから、海兵隊や地上部隊のお出ましという順番になっていて、こういった艦艇攻撃の重要度が増す一方での先制攻撃時での海兵隊の即応性・機動性の重要度の低下との関係、さらに急場の場合の兵員輸送は大量輸送の大型軍用機を利用する短時間での大量輸送が可能である関係から、普天間返還後にその地の海兵隊員を9000人グアムに移動させる計画があるが、それがオーストラリアであってもさして変わらないわけであって、普天間基地でなくても、米海兵隊の沖縄での有事以外のプレゼレンスは必ずしも必要ではなくなる。
この不必要性に依拠した場合、普天間基地の不必要性に自ずとしてリンクすることになり、結果として普天間の代替施設の不必要性を最終的な回答とするところに進んでいく。このことを前面に押し出した辺野古基地建設の論理的な反対運動とすべきように思える。このように戦術を転換しないと、辺野古基地建設反対に対して世界一危険と言われる普天間の全面返還には辺野古を代替基地とする以外に方法はないとする政府側の主張との堂々巡りが続くことになる。
辺野古基地建設が見切り発車だと分かる、自由党森ゆうこ追及の象徴的な国会論戦をNHK中継で見た。
2019年3月3日の院予算委員会 森ゆうこ「普天間代替基地の辺野古の沖縄県民の意思・思い、県民投票で示されました。だが、次の日に埋立工事を強行する、次の日ですよ。神経を疑いますね。何でちょっと止めることぐらいできなかったんです」 委員長「岩屋防衛大臣」 岩屋毅「事業を行っているのは沖縄防衛局でございますので、私の方からお答えさせて頂きます。私共は沖縄の負担軽減を1日も早く目に見える形で実現をしていかなければいけないと思っております。沖縄県さんとも会話の機会を累次持っております。沖縄県知事さんとは私は4度、お目にかからせて頂きました。これからも丁寧な説明を行って、ご理解を頂きつつ、沖縄の負担軽減、ひいては普天間基地の全面返還に向かって一歩づつ前に進ませて頂きたいというふうに思っております」 森ゆうこ「公共工事の観点から伺います。来年度の当初予算、辺野古移設事業はいくらですか、総額」 岩屋毅「平成31年度予算案に於いては契約ベースで約707億円、歳出ベースで611億円を計上しているとろでございます。細目は必要ですか。その内訳はですね、環境影響評価経費として契約ベースで約134億円 歳出ベースで約37億円。埋立工事に要する経費として契約ベースで約405億円、歳出ベースで約271億円。キャンプ・シュワブ再編成工事に要する経費と致しまして契約ベースで約265億円、歳出ベースで約301億円、その他の事務経費(?・・・・・)契約ベースで1億円、歳出ベース1億円を計上しております」 森ゆうこ「これまで掛かった経費の総額、そしてこれから事業費はいったいいくら掛かるのか教えてください」 岩屋毅「これまでの執行の総額は1270億円だと思いますが、全体の経費がいくらかかるかというご質問ですが、それがですね、この段階では確たることは申し上げられません。先般、軟弱地盤の改良工事が進んだということも、申し上げておりますが、詳細な設計が済み、概要が分かり次第、報告をしてまいりたいというふうに思っております」 森ゆうこ「ここ予算委員会なんですけど。総額、いくら掛かるか分からない。いつできるかは分からない。そんな公共事業の予算てあるんですか。一体いくら掛かるんですか。一体いつになったらできるんですか。見通しぐらい言わなければ、皆分からないではないですか」 鈴木敦夫防衛省整備計画局長「お尋ねの件ですけどれも、普天間飛行場の移設にかかる経費につきましては平成21年に約3500億以上という全体見積りを出しました。また、既に復帰(?)いたしました普天間飛行場への移設にかかる平成18年度から平成29年度までの支出、準備額でございますが、これは先程大臣からお話がございましたように約1270億円でございます。 その内訳を申しますと、環境影響評価経費と・・・約180億円、埋立工事の遣り繰り経費として約752億円、キャンプシュワブ再編経費・・・・として約332億円となってございます。今後の全体の経費につきましては先程大臣がお話がございました、今後沖縄防衛局に於きまして地盤改良にかかる具体的な設計の検討等、行うなど、これに当たりましてはより合理的な設計・施行が工事本体(?)に資するということから十分な検討を行うこととしております。 そのため現時点では確たることを申し上げることは困難でございますけども、然るべきときにしっかりと整理させて頂きたいと思います」 森ゆうこ「然るべきときにとはいつのことでございますか」 鈴木敦夫「今回の設計等につきまして十分な検討を行い、より合理的な設計・施行、これがきちんと検討が終えた時点ということでございます」 森ゆうこ「ちゃんと答えてくださいよ、いつまでなのか。公共事業でしょう?軟弱地盤については3年前から指摘されてるんですよ。それをないないって言って。で、設計もできなくて、これ本当にできるんですか?もんじゅ(高速増殖炉)なんかと一緒じゃないんじゃないんですか? 散々税金使って、できないっていうことじゃないんですか。いつできるんですか。いくら掛かるんですか。本当にできるんですか?」 岩屋毅「今、先生、3年前から軟弱地盤は分かっていたと仰っいましたが、そうではありませんで、最初に24本のボーリング調査を行ないました。その中にN値ゼロ、完全なN値ゼロ(試料採取用の筒を地中に沈めるのに何回打撃を与えたかを示す単位)が1本、それに近いものが3本ございましたが、ボーリングを行なった地点を今、数が少なかったものですから、それだけでは判断をし難いということで、追加の52本のボーリング調査を行なった結果ですね、大浦湾側には確かに軟弱地盤があると。 従って改良工事が必要だということになりましたが、衆議院の審議のときにですね、お答え申し上げたんですけれども、70メートルのサンドコンパクション、あるいはサンドドレインという工法を使えばですね、十分安定的な工事は可能だと、しかも70メートルをやらなければいけないのは全体の数パーセントにとどまる、約7割は40メートル以下の施行で済むちゅうということを私共確認をして致しておりまして、工事はできます。 しかし詳細な設計が終わらなければですね、工事費や工期についてこの段階では確たることは申し上げられませんけど、分かり次第、ご報告をさせて頂きたいとおもいます」 森ゆうこ「資料の4ページを御覧ください。4月26日の地質調査報告書。結果、結論、右側のページ。読んでください」 岩屋毅「この4ページの右っかわですか。『前述したようにC1護岸計画箇所等には大きく凹む谷地形が形成されており、そこには非常にゆるい、軟らかな堆積物、えー、これ(「谷埋〈タニウメ〉堆積物))は何と読むんでしょうか、すみません、砂質土、粘性土が堆積している。N値が上位の砂質土、AVF、ちょっと専門用語で(Avf2-s1層)、0~18(平均5.4)、下位の粘性土Avf2-c1層で0~13(平均1.6)を示し、N値0を示すものも多い。以上のことから、特に当該地においては、構造物の安定、地盤の圧密沈下、地盤の液状化の詳細検討を行うことが必須と考える』でございます」 森ゆうこ「防衛省、これいつ作った報告書ですか」 鈴木敦夫「平成28年3月に纏められた報告書でございます。公開されましたのは平成30年3月ということでございます。これは平成29年2月に公開請求に基づき、開示されたものです」 森ゆうこ「平成28年に分かっていったんですよ。だけど、隠していたんです。で、事務方でいいですから、今の資料の左側、下の方、何テ書いてありますか。『谷地形が形成され』たところ、読んでください、そして説明してください」 鈴木敦夫「黄色い部分(マーカーを付してあるのか)だと思いますけど、えー、『谷地形が形成され,えー、非常に緩い・軟らかい、えー、えー、谷、堆積物、えー、えー、砂質土,粘性土が、えー、じゅう、たいせい(?)40メートルで堆積している』と言うことでございます。 ただ、先程大臣から申し上げましたように、そもそもそのときの報告書では、この内容のみでは地盤の強度を十分に評価でき可能性にはございませんでした。従いまして、(以下聞き取れない。「追加調査を行う予定でございます」とでも言ったのか)」 |
審議は続くが、辺野古建設が見切り発車であることはこの質疑応答で十分に理解できるから、文字起こしはここで中断。
森ゆうこが資料4ページの一部を読んでくれと要求したとき、防衛省の岩屋毅も、防衛省整備計画局長の鈴木敦夫も、読むことのできない漢字に突き当たっている。要するに国会答弁に重要な資料でありながら、二人とも目を通していなかった。岩屋毅は防衛省の役人が野党質問者の質問通告に対応して作成した大臣用答弁書に適宜従って答弁し、鈴木敦夫にしても部下の役人が作成した同様の答弁書に応じて答弁している程度なのだろう。
目を通さない理由は基地建設を進める政府側にとって不都合な事実があまりに多過ぎるからだろう。目を通して頭に叩き込むと、不都合な事実に気持が煩わされることになる。結果、不都合な事実から目を背けたい心理が自ずと働く。知らぬが仏の方が不都合な事実を押しのけて建設を強引に進めることができる。
岩屋毅はこれまでに辺野古建設にかけた「執行総額は1270億円」で、以後必要となる「全体の経費」は「この段階では確たることは申し上げられない。詳細な設計が済み、概要が分かり次第、報告をする」と答弁し、防衛省整備計画局長の鈴木敦夫も、「現時点では確たることを申し上げることは困難でございますけども、然るべきときにしっかりと整理させて頂きたい」と発言している。だが、工事は進んでいる。見切り発車ではなくて何であろう。
一般的には調査・工事方法の設計・工事費用の見積もりがあって、初めて工事にかかる。この一般的なルールを無視し、工事に掛かった点も見切り発車を窺わせることになる。
以上の質疑と安倍政権が辺野古に土砂投入に至ったこれまでの経緯を簡単に見てみる。
2010年11月28日の沖縄県知事選挙では前回2006年11月知事選で普天間の県内移設容認を主張し、初当選を果たした現職の仲井眞弘多が主たる対立候補伊波洋一を破って、再選を獲ち取った。仲井眞弘多も伊波洋一も、「Wikipedia」によると、普天間の県外移設を公約としていたが、仲井眞の方は前回の県内移設容認を玉虫色に彩って、県内移設反対は明言しなかったという。なかなかのタヌキ親父である。
次回2014年沖縄知事選の約1年前の2013年12月27日に仲井眞弘多は記者会見して、政府の名護市辺野古沖埋め立て申請を承認したと表明した。県内移設反対を明言せず、県内移設容認を玉虫色に彩った甲斐があったのだろう。
この仲井眞弘多の埋め立て申請承認を受けてなのだろう、先の防衛省整備計画局長鈴木敦夫の答弁から分かるように沖縄防衛局は2013年と2014年に辺野古基地建設予定地の地質調査を開始し、その報告書を2016年3月に完成。2017年2月に情報公開制度に基づいた公開請求に応じて、報告書を開示。
当然、報告書に満載の不都合な事実、その情報は開示に応じて世間に洩れることになる。例え洩れたとしても、鈴木敦夫が発言しているように「地盤改良にかかる具体的な設計の検討等」を必要することから、その検討の終了と、岩屋毅が「詳細な設計が済み、概要が分かり次第、報告をする」と答弁しているように見積もりまで含んだ「詳細な設計」が完了しないことには工事に掛かることはできないはずだが、全体の建設費がいくら掛かるのかを算出もせず、工期も計算せずに2018年12月14日に安倍政権は辺野古沿岸部への土砂投入を開始した。
要するに工事進捗の既成事実を積み上げていって、基地建設反対の有効性を潰していく見切り発車に出た。辺野古建設反対の沖縄県民の意思表示が示された2019年2月24日の県民投票も無視することになった。岩屋毅が「70メートルをやらなければいけないのは全体の数パーセントにとどまる、約7割は40メートル以下の施行で済むちゅうということを私共確認をして致しておりまして、工事はできます」と答弁してることは2019年2月28日の衆院予算委員会で共産党の赤嶺政賢に対して軟弱地盤の深さが最大で90メートルある場所が一部に存在することを認めながら、「70メートルまで施工する必要がある場所は全体のうちの数%程度だ。全体の約7割は水面下40メートル未満の地盤改良工事によって所要の安定性が確保できる。水面下70メートルを超える深度では非常に固い粘土層に分類される強度を有していることから、十分に安定性を確保できていると確認をしている」としていた答弁の意味を取るが、これも既成事実の積み上げの一環で、どうにかなるという見切り発車の部類でなくて何であろう。
この根拠は防衛省が2019年3月15日に参議院予算委員会の理事会に提出した報告書にある。そこには埋め立て区域の軟弱地盤の改良工事に3年8か月程度かかるということだけで、全体の工期や総事業費は明示されていなかったという。全体の工期や総事業費等々の先行き不明確でありながら、工事を進めていく。見切り発車による基地建設完成に向けた既成事実の積み上げそのものであろう。
アメリカ側は普天間の代替施設は辺野古がベストだという姿勢でいる。対して安倍晋三は民主党政権下で崩壊した日米同盟の再構築と強化を謳い上げて、「民主党政権の3年間で著しく損なわれた日米の絆と信頼を取り戻し、緊密な日米同盟が完全に復活をしたと自信を持って宣言したいと思います」と2013年2月23日の内外記者会見で日米同盟の緊密化を誇り、似たような誇らかさを他の機会でも口にしている。もしここで辺野古移設に頓挫した場合、安倍晋三にとっては米国の日本に対する、あるいは米国の安倍晋三自身に対する認め難い信頼喪失行為に映るはずである。
要するに日米同盟の緊密化を優先させることが目的の辺野古工事の見切り発車だった。