ドアホのゴラン高原イスラエル主権承認→クリミアロシア主権承認→北方四島ロシア主権承認→因果は巡る小車となる危険性

2019-03-28 11:32:55 | Weblog


楽天KOBO電子書籍 価格800円


2019年7月28日任期満了実施参院選で

安倍自民党を大敗に追いつめれば

政権運営が行き詰まり 

2019年10月1日の消費税10%への増税を

断念させる可能性が生じる



 「goo辞書」【因果の小車】(いんがのおぐるま)

 「原因と結果が永久に繰り返されるさまを、いつまでも止まらない車の輪にたとえていう。因果はめぐる小車」

 トランプのドアホが2019年3月25日、1967年第3次中東戦争でシリア領ゴラン高原を占領したイスラエルに対してその占領地の主権を正式に承認する文書に署名した。と言うことはゴラン高原をイスラエルが軍事的に占領しているという否定的な歴史的事実から否定的要素を抹消、正統的な歴史的事実へと転換させることを意味することになる。

 各マスコミ記事も伝えているが、「コトバンク」を参考にすると、この第3次中東戦争戦後処理の1967年11月22日採択国連安全保障理事会決議242は戦争による領土取得の否認、占領地からのイスラエル軍の撤退と中東各国の主権、領土保全、政治的独立及び安全かつ承認された国境内での平和に生存する権利の尊重と確認を謳い、全会一致で可決されたという。

 この「戦争による領土取得の否認」とは軍事力を以ってして強行する領土取得――軍事的占領の否認を言うはずである。この否認が全ての国の主権と領土保全と政治的独立とその国民の生存権の尊重と確認を保障することになる。

 トランプのドアホは単に国連決議違反を侵したと言うだけでは済まない。国連が世界各国間のルールとして成り立たせた国際規準を大国としての力を背景に傍若無人にも踏みにじった。大国だからできるこのゴリ押しは傲りなくして叶わない。いくら大国であっても、世界各国が協同して成り立たせた世界的な規範を順守する謙虚さを持ち合わせていたなら、このようなゴリ押しはできない。

 ドアホトランプは北朝鮮の国連決議違反を非難する資格を失う。ウソつきが自分のウソを棚に上げて、他人のウソを非難することと同じになる。

 同じ大国の傲りからくるゴリ押しが2014年の2月、ウクライナのクリミア自治共和国でロシアによって演じられた。ロシア軍兵士を混じえたロシア系武装勢力が地方政府庁舎や議会や空港を占拠、後にロシア軍が加わって、自治共和国を占領、成立させた傀儡自治共和国政府と謀って2014年3月18日にロシアに編入させることになったこの軍事的占領に対するクリミアの主権はドアホトランプのゴラン高原軍事的占領国イスラエルへの主権承認によってロシアが右へ倣えして自国にありと主張、その正統性を、アメリカ以外の欧州五カ国はイスラエルの主権を認めないと声明を発表している関係上、少なくともアメリカに要求する資格をロシアに与えたことになる。

 但しロシアは「重大な国際法違反」だとして、ドアホトランプの決定に反対する姿勢のみを見せている。この姿勢はロシアがイスラエルと対立しているシリアやその友好国イランと密接な関係にあるからだろうが、アメリカにクリミアの主権をロシアにありと認めさせる折角のチャンスを見逃すことになる。認めさせることができれば、クリミア編入問題でのアメリカの対ロシア経済制裁や金融制裁を中断させるチャンスともなるのだが、将来的にはアメリカがそうするなら、クリミアに於けるロシアの主権も認めろという要求となって現われない保証はない。

 では、この問題での日本の立場はどうなのか。2019年3月26日の官房長官菅義偉の閣議後記者会見での発言。2019年3月26日付「NHK NEWS WEB」

 菅義偉「我が国としては本件を巡る動向を関心を持って注視していきたい。いずれにしろ、我が国はイスラエルによるゴラン高原の併合を認めないという立場であり、変更もない」

 日本の立場は「イスラエルによるゴラン高原の併合を認めない」、いわばイスラエルへの主権移譲を否定する日本の姿勢を示したことになる。となると、日本から見た場合、このことはドアホトランプの独善的な決定だと見ていると解釈しなければならない。にも関わらず、「本件を巡る動向に関心を持って注視」するのみで、世界に於ける大国の一員として示すべき日本のアメリカに対する是非の意思表示に関しては何ら触れずじまいとなっている。

 つまり、「イスラエルによるゴラン高原の併合を認めない」と言っていることは日本一国に限った宣言であって、トランプの決定に関しては何ら制約を与える発言ではなく、何も物申さない姿勢を示したことになる。何も物申さない姿勢とは無条件容認の姿勢を意味する。

 父親が息子や娘のやることなすことを「何も物申しません」と言ったとしたら、全てを容認していると言っていることと同じになるようにである。

 政府を代表する一人である官房長官の発言は首相である安倍晋三の意思代弁者である以上、安倍晋三の言葉として受け止めなければならない。

 当然、外務大臣の河野太郎も安倍晋三の意思を代弁した発言を見せていることになる。2019年3月26日付「時事ドットコム」記事が、〈河野太郎外相はイスラエルのゴラン高原併合を「無効」とした1981年の国連安全保障理事会決議に米国の承認行為が反するかどうか会見で問われ、「日本が説明するべきものでない」と明言を避けた。トランプ政権の一方的な行動に国際社会から批判が相次ぐ中、一定の配慮を示した形だ。〉と伝えていたから、会見のテキスト版が記載される頃合いを見計らって「外務省」サイトにアクセスしてみた。

 会見日時は2019年3月26日15時25分。

 共同通信江藤記者「トランプ米大統領はゴラン高原のイスラエル主権を承認する文書に署名しました。この署名は国連安保理決議に整合するとお考えかどうか。また,今日午前の記者会見で菅長官は『我が国はゴラン高原の併合を認めない』と述べています。この日本の立場を米側に伝えるお考えがあるかどうか教えてください」

 河野太郎「日本の,ゴラン高原の併合は認めないという立場はこれまでもそういう立場でございますし,何ら変わりはございません。米国がどのような考えでこうしたことに踏み切ったかというのは,日本政府が説明をする立場にはありませんが,安保理決議その他との関係に関しては,米国政府がしっかりと説明されることと思っております。

 朝日新聞鬼原記者「ゴラン高原の話で今お答えがなかったですけれども,米国の安保理決議に違反しているかどうか,整合するかどうかについては改めてどうお考えですか」

 河野太郎「それは別に日本が説明するべきものでもございませんので,米国の説明をしっかりと聞きたいと思います」

 朝日新聞鬼原記者「2017年にエルサレムを首都に承認したときには,その直後に国連総会が緊急に開かれて,米国の撤回を求めるという決議がなされたと思いますが,今回も同様に国連で何らかの対応が取られた場合の日本政府の対応について見通しを教えてください」

 河野太郎「まだそうした動きがあるかどうかも定かではありません」

 予想される中東の混乱を一切頭に置かない素っ気ない発言となっている。日本の立ち場には触れているが、トランプの決定に関しては「日本政府が説明をする立場にはない」、「米国政府がしっかりと説明されることだ」、ドアホトランプのイスラエル主権承認は「米国の安保理決議に違反ではないか」の記者の問いに対しても、「日本が説明するべきものでもない」、「米国の説明をしっかりと聞きたい」と、トランプの決定には菅義偉同様に何も物申さない姿勢を見せている。勿論、同じ穴のムジナだから、当然の姿勢である。

 また、誰がどう問い質そうと、トランプは自らの決定を正当化する說明しか口にしないのは分かりきっていることである上にその說明如何よってはその承認と安保理決議との間に整合性を生み出すことは決してないのだから、何も物申さずに待つ必要もない說明を待つということはアメリカに対して何らかの猶予を与える意識がなければできない相談となる。

 要はトランプの說明云々ではなく、日本自身がトランプの承認を国連決議と照らし合わせてどう判断するかが求められているのであって、日本の立ち場だけを述べて、求められている判断を口にしないのはアメリカに対して何も物申すことができないことからの何も物申さない姿勢であって、こういった関係からは対米従属の姿勢しか見えてこない。

 元々言われている対米従属だが、安全保障理事会決議242に於ける軍事的占領に関わる主権問題、領土保全、政治的独立の問題、平和に生存する権利の尊重と確認の帰趨についてまでトランプの承認に従属して何も物申さないでいると、旧ソ連の軍事的占領を経て不法占拠状態にある北方四島に対する主権がトランプの承認を見習って占領国側のロシアにあることを日本に対して新たに求めた場合、そのことについても何も物申すことができない因果は巡る小車となりかねないことになる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする