麻生太郎の「G7で我々は唯一の有色人種」発言のベースは前近代的な日本優越民族思想、国会議員・閣僚の資格を失う

2018-09-10 09:56:02 | 政治


 《麻生氏「我々はG7唯一の有色人種」 安倍氏応援の会で》朝日デジタル/2018年9月5日20時58分)   

 麻生太郎副総理兼財務相は5日、盛岡市内で開かれた「安倍晋三自民党総裁を応援する会」で、「G7の国の中で、我々は唯一の有色人種であり、アジア人で出ているのは日本だけ」と述べた上で、「今日までその地位を確実にして、世界からの関心が日本に集まっている」と語った。日本以外のG7構成国にも様々な人種がおり、かつてはオバマ氏も米大統領としてG7サミットに参加していた。

 麻生氏は、リーマン・ショックの際も日本が国際通貨基金(IMF)に多大なお金を払って金融危機を乗り越えた、と主張し、日本が世界から注目されていると話した。そんな中、「問題はトランプの発言、行動。これに振り回されている」と述べる一方、トランプ米大統領の信頼を勝ち得たのが安倍氏だとして、総裁選での支持を訴えた。

 会合は岩手県選出の国会議員4人が開き、党員ら約1100人が集まった。(大西英正)

 文飾は当方。

 この発言に対して共産党委員長志位和夫と社民党投手又市征治が9月6日の記者会見で批判している。

 志位和夫「とんでもない認識違いだ。米国もイギリスもフランスもいろんな人種がいる。世界のことをご存じないのか」

 又市征治(麻生氏は失言や暴言が多いと指摘)「こんな人だから、森友問題などのけじめをつけられない」(毎日新聞

 カネに困ったことのないボンボン育ちゆえに何事も天下御免で、天下御免が行き過ぎて失言も多い麻生太郎の記事中の発言を纏めてみる。「G7の国の中で、我々は唯一の有色人種であり、アジア人で出ているのは日本だけ。今日までその地位を確実にして、世界からの関心が日本に集まっている」

 意味を取ると、白人種国家が多いG7にアジア人の中からメンバーとなっている「唯一の有色人種」国家は「日本だけ」で、世界的にも「その地位を確実」にして、「世界からの」注目度が高まっているということになる。

 このような発言が示すことになる麻生太郎の思想は日本はアジア各国の中で最も優秀な有色人種国家であり、有色人種ながらも、他のG7メンバーの優秀な白人種国家に対等に伍していると見ていることから、アジアに対しては絶対的日本民族優越主義、欧米に対しては相対的日本民族優越主義を形作っている。

 いわばアジア各国の中では、アフリカ各国に対しても同じでなければ矛盾することになるが、日本は最優秀の有色人種であり、欧米の白人種に対しても劣ることはないという優秀性を日本人に見ていることになる。

 この手の日本民族優越主義を相互に共存を図っている欧米各国内の有色人種に当てはめると、アジアの有色人種に対する絶対的日本民族優越主義が自ずと応用されることになって、彼ら有色人種を優秀でも何でもない取るに足らない存在と見ていることになる。見ていることによって、日本人が有色人種ながら、アジアやアフリカの有色人種に対して取っている絶対的日本民族優越主義は紛れもない正当性を帯びることになる。

 但しアジアやアフリカの有色人種に対しては絶対的日本民族優越主義を取りながら、欧米の白人種に対しては一歩引いた相対的日本民族優越主義しか取ることができない、人種を優劣で価値づける順位づけの精神構造は些か情けない。

 日本人の白人コンプレックスはこのような精神構造から出ているはずであるし、麻生太郎はこの類いの精神構造を代表している一人となる。

 人種を優劣で価値づける人間は人種や国籍に関係なしに誰もがそれぞれに持つ多様な可能性に価値を置かず、当然、個々人が備える何かしらの可能性の価値に目を向けることもない。ただ闇雲に人種でその人間の優劣を見る。そしてその不当性に少しも気づかない。

 麻生太郎のこの日本民族優越主義思想は根深く、小泉内閣下の総務大臣時代の2005年10月15日の福岡県太宰府市の九州国立博物館開館記念式典の来賓祝辞での発言でも飛び出すことになった。

 麻生太郎「一文化、一文明、一民族、一言語の国は日本のほかにはない。今は(世界各地で)人種、地域、宗教で色んな争いが起きている。日本は一国家、一文明、一文化圏で、そういう国はあまりない」(Wikipedia

 一概には優劣で価値づけることのできない文化・文明・民族・言語のそれぞれに価値を持った多様性を認めず、日本に於ける現実世界はそう単純ではないにも関わらず、日本の文化・文明・民族・言語が一つであることが原因で色んな争いが起きないことを以って暗に日本民族を優秀だと価値づけている。

 このような前近代的な日本民族優越主義思想を安倍晋三の盟友であり、自民党と安倍内閣のナンバー2を占めている麻生太郎は自らの精神に根づかせている。その精神性に於いて二人は似た者同士だが、「G7の国の中で、我々は唯一の有色人種であり、アジア人で出ているのは日本だけ」だと日本民族優越主義思想を口外することを憚らない人間は、日本国憲法第14条で「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とした規定に反する言論の流布に当たり、即刻、国会議員の資格ばかりか、閣僚の資格を失う。

 いや、日本国憲法を持ち出すまでもなく、人種平等の世界を目指すことを心掛けなければならない時代に心がける集団の先頭に立たなければならない政治家が日本民族優越主義思想に取り憑かれて人種を優劣で価値づけることは集団から離れた場所に位置していることになって、このことだけでも現在の時代の議員や閣僚の資格はない。 

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