2016年オリンピック、東京落選を歓迎する

2009-10-03 06:51:27 | Weblog

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 理由は簡単、二つある。

 一つは「閉経して子供を生む能力を失ったババァは文明がもたらした最も悪しき有害なる存在だ」と見なす「ババァ有害論」、中国人犯罪がさも中国人の「DNA」に植えつけられているといった「中国人犯罪DNA論」、重度障害者に対して「ああいう人ってのは人格あるのかね」と口にした「重度障害者無人格論」に見ることができる人権意識を欠如させた人間、生命軽視の人間にオリンピック開催の責任者足り得ないからだ。

 もう一つの理由は東京と福岡が立候補を表明したとき、東京反対、福岡開催賛成のブログを書いたが、そのときの理由と同じで東京一極集中を加速させて都市と地方の格差を拡大一方に方向付けることになると思ったからだ。

 鳩山首相が開催地最終決定の国際オリンピック委員会(IOC)総会に出席するためにデンマーク・コペンハーゲンに乗り込んで東京招致のプレゼンテーションを行ったが、東京招致は民主党が掲げる地方格差の是正をより困難とする矛盾した行動のように思える。東京開催と決定した瞬間から、日本は活気づくだろうが、その多くは心理的なもので東京が位置する首都圏以外は長続きせず、2016年に向けて人もモノも情報もすべてに亘って東京に流れ込んで、地方格差を拡大させるに違いない。

 2016年の世界経済がどのような状況にあるかは分からない。もし不況下にあれば、東京開催による経済効果は景気刺激策となるだろうが、現在でも目に余るものがある地方格差を東京開催によって逆に拡大させていた場合、例え民主党が地方分権を推し進めたとしても、差引きゼロに持っていくことは現在でも困難なのだから、より一層困難になるに違いない。

 「YOMIURI ONLINE」(2006年8月31日)が東京開催が実現した場合の第一生命経済研究所の経済効果試算を6.4兆円と伝えている。

 〈開催直前の13~16年の4年間で、国内総生産(GDP)を計6・4兆円押し上げ、09~12年の4年間に比べて、年平均0・3%のプラス効果があるとしている。〉――

 その内訳を〈東京都は今回、新たな用地取得は一切行わず、施設建設を極力抑える方針を打ち出しており、経済効果は観光収入などが中心となる模様だ。〉としているから、人と情報の東京への流入を主とした経済効果ということだろう。 

 「YOMIURI ONLINE」が伝えていた第一生命経済研究所の経済効果試算6.4兆円に対して「NSJ日本証券新聞ネット」(09年4月21日)が伝える経済効果は2.8兆円と控え目になっている。

 〈五輪開催の経済効果について、道路などの社会資本整備を除き、競技施設などの建設投資で4900億円、観光客の消費支出などで7800億円と、計1兆2700億円の需要が増加するといわれ、これに雇用増加などの波及効果を加えると、都内で計1兆6000億円、都外で計1兆2000億円の総額2兆8000億円が見込まれている。関連ビジネスへの期待も膨らむだろう。〉――

 ここで言う「都外」とは首都圏を指すのだろう。東京一極集中促進を決定づける内訳となっている。

 国際オリンピック委員会(IOC)総会は1回目の投票でマドリード(スペイン)28票、リオデジャネイロ(ブラジル)26票、東京22票、シカゴ(アメリカ)18票で先ずシカゴをふるい落とし、2回目投票でリオデジャネイロ46票、マドリード29票、東京20票で東京がふるい落とされ、決選投票の3回目でリオデジャネイロ66票、マドリード32票でリオデジャネイロに決定した。

 これまで一度もオリンピックが開催されたことがなかった南米での初の開催だと言うことだが、オリンピック開催についてはそういった劇的な要素――意外性こそが必要なのではないだろうか。

 前評判で最有力候補だったシカゴが最初に落選したことと、同じく前評判で圏外と言われていたマドリードが最後まで残ったことは意外な結末と言える。
 
 民主党政府はなお一層の東京一極集中を約束させる確率の高い東京オリンピック開催よりも、より困難な地方格差の腹を据えた確実な是正を目指すべきだろう。東京やそれ以下の大都市だけが生き残って圧倒的多数の地方都市が沈み、国の富が偏った状態が続くようなら、決して正常な国家とは言えまい。

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