後部座席シートベルト着用義務化に反対

2008-06-04 05:29:18 | Weblog

 従順な国民養成を一環とする一種のファシズム――全体主義とならないか

 08年6月1日より「改正道路交通法」が施行。車両後部座席でのシートベルト着用が義務化された。一般道路での違反は注意のみだが、高速道路や自動車専用道路での未 
着用違反は「行政処分点数」が一点減点の罰則付きとなる

 対象は自家用自動車のみではなく、タクシーや観光バスまで含まれるというが、タクシーの場合は注意が行き届くが、観光バスの場合は常に車内全体に向けていなければならなくなって、ガイドの負担が増えることになるに違いない。社内旅行などで酒に酔った元気でやたらと席を立ち上がって同僚に話しかけて回る人間が席に戻るたびにシートベルトをきちんとかけるとは考えにくいから、ガイドがうるさく注意した場合、トラブル発生といったことも起こり得る。「二度とお前の会社なんかに頼むもんか」と。

 だが、自家用車、タクシー、観光バス等の各後部座席に乗る子供から大人まで、男女老若関係なしに、最終的に誰からの注意を受けるまでもなく車に乗ると同時に一人残らず自分からシートベルトを締め、車を降りるまで一人残らずシートベルトを締めたままの状態でいる姿を想像した場合、それは空恐ろしい光景とはならないだろうか。誰一人何も文句を言わずに判を押したようにすべてが黙々と同じ姿勢を取ることになるのである。

 このことは後部座席に乗る者の安全を守るというもっともらしい名目はあるものの、警察権力によって同じ姿を取らせることで国民個々の自発的個人性の管理・統率を謀ってそれら自発的個人性を剥奪・喪失させ、全体性(同じ姿)へと意識を向かわせようとする一種のファシズム――全体主義とはならないだろうか。

 そういった従順な姿に統率し、それ以外の姿の去勢である。

 元々権威主義を行動様式として上は下を従わせ、下は上に従う動員社会の日本である。運転席と助手席でのシートベルト着用も同じだが、後部座席共々取締りや罰則によって誰に対してもシートベルトを着用する姿へと持っていく訓練の過程を経て最終的には国民を言うことを聞く同じ従順な存在へと仕立てる動員意識がそこに作動しているように思えてならない。例え意図していなくても自然に下を従わせる権威主義の行動様式に促されて。

 こういった勘繰りが大袈裟な的外れの穿ち過ぎ、悪意な解釈であったとしても、少なくとも個人の自発性を奪い、自発性を抑圧する訓練とはなり得るはずである。人殺しや強盗といった第三者に迷惑・被害を与える犯罪ではない。法律の形を取った命令に従うことに慣れさせ一つの鋳型(一つの姿形)にはめることで、はめられた側の自発的存在性の否定を型取っていく。シートベルトで自らを抑えつける構図が最もよく自発性の抑圧を象徴する絵柄ともなる。

 例えば自分の家と用事のある家が同じ道路の側にある場合、そこに直接歩いて向かうには左側通行となって歩行者は右側通行の原則に反するからと、目的の家とは反対方向に一旦右側通行を取って横断歩道のある場所まで歩き、その横断歩道を渡って反対側の道路を右側通行で後戻りして目的の家を通り過ぎた横断歩道まで進み、その横断歩道を渡って右側通行を取ると、いわばぐるっと遠回りに一回りすることで歩行者は右側通行の原則に反することなく目的の家に到達できる。

 だが、遠回りになったとしても、誰に危害を加えるものでもないにも関わらずこのような歩行者は右側通行の原則をすべての国民が守って同じ姿を取るとしたら、人間の自然の行動に反して誰もが規則で動く人間と化す。そうなったとしたら、やはり空恐ろしい光景となるだろう。

 幸いなことに道路交通法は歩行者は右側通行の原則を掲げつつも、さまざまな例外規定を用いて人間の自然な行動を妨げない配慮を示している。それは人間の自然な行動に照らして、それを法律に反映させたもので、法律によって人間の自然な行動をつくり出したわけではないはずである。人間の自然な行動とは自発性を大きな要因とする。

 それゆえに例えそれが法律であっても、社会的な秩序を乱すわけではない人間の自然な行動を奪い、自発性を抑圧する規則の絶対的強制は一種のファシズム――全体主義と化す。

 意図しない動員意識が働いた一種のファシズム――全体主義ではないかと言ったが、多分そのことに薄々気づいているから、一般道路での未着用に対して罰則を設けることができないのだろう。但し「一般道では今秋まで指導期間として罰則は適用されない」と「毎日jp」(引用後出)記事が伝えているから、ゆくゆくはファシズム(全体主義)が作動することを無視するということではないか。

 同じ「毎日jp」記事が「妊婦やけが人は着用義務はない」としているが、シートベルトをせずに車の外の振り出されて母子もとに死亡するか、それとも締めたシートベルトに圧迫されて胎児は死亡しても、シートベルトのお陰で母親は助かるるケースもあり得ることを考えた場合、矛盾した規定となる。

 確率から言ってまずあり得ないということなら、常に確率を免れる者も存在するはずで、それが誰か分からなくても、そのことを無視してすべての人間に着用を義務付けるのはやはり一種のファシズム――全体主義に当たるだろう。

 例えそうではなくても、後部座席でのベルト未着用で事故が起きた場合の死亡率は着用時の3倍になるといった統計をもとに法律によってシートベルト着用を義務化するのは事故を前提とした自発性の抑圧を意図するものであることは間違いがないことで、それ以前の問題として事故を前提としない安全運転に期待してこそ、自発性を損なわずに済むのではないだろうか。

 第三者による、特に警察権力といった上からの力による自発性の抑圧によってではなく、個々人の自発性に責任を持たせる事故対策である。

 例えば血圧や尿検査、その他の診断値が一定基準を満たす健康状態にある場合に適用され保険料が割り引かれる「優良体保険料率」制度、非喫煙者の場合はさらに保険料が割引れる「非喫煙者優良体保険料率」制度は個々人の自発性と自己責任に期待し、依存した制度であって、誰の強制が働いているわけではない。

 それと同じようにシートベルト着用に於いても、事故が起きて負傷する、あるいは死亡した場合、シートベルトをしていなかった者は受け取る保険金が割り引かれる制度にしたら、法律によって個々人の自発性を抑圧する権威主義を抹消して、逆に自発性と自己責任に期待し、依存する制度とすることができる。

 このような制度にすることで、シートベルト着用義務化が権威主義的行動様式を受けた国家権力による国民支配の一環としての一種のファシズム――全体主義ではないかといった疑いを持たせることからも距離を置かせことができる。警察はどのような疑い、勘繰りからも青天白日を確実にモノにすることができる。

 大体が経済は風が吹けば桶屋が儲かる式に相互性を原理とし、相互的に循環している。死者が出れば葬儀社が儲かるし、寺も葬儀で潤う。病院も利益が出る。警察官の仕事もできる。警察官が事故がなくなって給料を貰ってばかり、暇を持て余すでは困る。雇用の問題にも関わってくるから、事故が減ったなら、警察官の頭数を単純・即座に減らせば済むという問題でもないだろう。

 もし親が交通事故死で子供を交通遺児にしたくなかったなら、あるいは若者が交通事故死して親を悲しませるようなことをしたくなかったなら、常に安全運伝を心がけることである。シートベルトしていなくても、安全運転に終始していたなら、たいした事故を起こすことはないだろう。但し他人が運転する車から事故を貰った場合、防ぎようがないことで、事故を与えた者を厳しく罰するしか手はない。滅多にないことだが、貰った事故でシートベルトをしていない場合は車の外に放り投げられる恐れがあると考えるなら、自分からシートベルトを締めればいい。すべて自発的行為とすべきだと思うが。―― 


 改正道交法:後部座席シートベルト、きょうから着用義務 /長崎(毎日jp/2008年6月1日 地方版)

 車の後部座席のシートベルト着用や75歳以上が運転する車に「高齢運転者標識(もみじマーク)」表示を義務付ける改正道交法が1日から施行される。
 警察庁と日本自動車連盟(JAF)による昨年10月の調査では、県内のシートベルト着用率は一般道(98・9%)、高速道(99・9%)とも全国1位。しかし、後部座席の着用率は8・2%で、全国平均(一般道8・8%)を下回った。

 着用義務化の背景には事故時の死亡・負傷率の高さがある。後部座席の人が負傷した07年の県内事故で、シートベルト着用者は173人だったが、非着用者は849人で、約5倍に跳ね上がった。

 県警交通企画課は「後部座席と言っても安全ではない。被害軽減のためきちんと締めて」と呼びかける。

 違反すると、行政処分の点数1点が運転者に科される。一般道では今秋まで指導期間として罰則は適用されないが、高速道路は1日から適用される。妊婦やけが人は着用義務はない。もみじマークの表示義務違反は、違反金4000円と行政処分の点数1点が科されるが、指導期間の1年間は罰則適用はない。

 ◇タクシー、バス、心配の声も

 改正で最も影響を受けるのはタクシーや高速バス。長崎県営バスは、高速バス運転席の上にステッカーを張り、利用客が乗るたびに「着用お願い」アナウンスを流し、周知に躍起だ。長崎市内のタクシー運転手(53)は「客が酔っぱらいだと、絡まれることもあるので着用を呼び掛けにくい」と渋い表情だった。【阿部弘賢】〔長崎版〕

コメント (2)
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