一時期マンション管理士試験という国家試験が注目を集めた時期があった。
戸建て住宅より圧倒的に多くの居住者を抱える事となった都市のマンションの問題点は、人が集まって住むための約束=規制、といずれは老朽化していく建築の管理や補修をどうスムーズに行うかだろう。
マンション管理士資格は管理組合の相談に乗り、それらの業務を専任として行うものとしてスタートした。
しかし建築設計における一級建築士のように、その資格がなければマンション管理はできないと言うことではなかったため、現在は極めて曖昧な資格となっているようだ。
数年前からマンションの個別の部屋の改装を行うことが何回かあり、管理組合と打ち合わせをする中で、いわゆる規約と言うものが、何となく生活の実態から離れているような印象を受ける。
一昨年超高層マンションのペントハウスの改修を行ったとき、部屋の中央にPSが1m角の大きさで位置しており、中は通気管1本で別に支障なく、この変更願を出したところ議論の余地なく拒否された。
管理組合の趣旨は、マンション居住者の快適で安全な暮らしを守るのが本来のものだろうが、一度規約を決めるとその違反の摘発に注意が向かい、しかも居住者の代表が理事となっているため、自ずと個別の物事を良くしていく事に警戒感があるように感じる。
日本的な変な公平感を持ち出すとそれこそ何も出来なくなり、居住者の改善意欲を失うように感じている。
本当の意味で、建築や法律の実務経験を持ちかつ一般常識に長けたマンション管理士が求められている事を痛感する。
写真はニューヨークの不動産王ドナルド・トランプの所有する世界一の高さ270m、72階建ての超高層住宅である。
日本では、出来たものの最高は207mの北浜タワーだと聞くが、計画中のものは250m級がたくさんある。
高層化すればするほど、戸数は多くなり、規約も複雑化するのだろうが眺めばかりが気持ちよくても、実際の生活の約束事が窮屈なものであれば、せっかくの超高層も味気ないものになりかねない。
超高層の場合、作った後の管理形態やその内容が特に重要だと思うし、時間が経って改造の話がが起こった時など、柔軟に対応出来るものが必要だと思っている。