久し振りに田原総一郎氏のサンデープロジェクトを見ていたら伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長が出て話をしていた。
丹羽氏は社長時代4000億円の不良資産を処理し、伊藤忠を再建した人物として有名であるが、むしろ歯に衣を着せぬ率直な物言いで評判の人で、今日もテキパキとした明確な回答でいつもの番組と違う面白さを感じさせてくれた。
其の中で、以前楽天の三木谷氏に財界の先輩としてマックス・ウエーバーを引き合いに出し、強引な株式買収を批判しているビデオが紹介されたが、やはり学生運動出身らしい正義感あふれる論法で、今のIT長者の輩に聞かせたいような骨のある内容であった。
マックス・ウエーバーといえば、”プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神”の中で近代資本主義の発展の基礎は、禁欲的な職業倫理のエートスが存在したからでありむしろ営利を否定した宗教的倫理観だからこそ、資本蓄積が可能であったという逆説を展開した近代社会科学の祖であるが、こんな言説があることをIT企業の人たちはどう思うだろうか
私に経済学をはじめて教えてくれた先生は、黒川事務所企画部時代に社会工学研究所と仕事をした時、研究計画委員長をされていた元一橋大学教授の坂本二郎氏であった。
学生時代から経済学の講義はあまり面白い物ではなかったが、坂本二郎氏の話しを聞いて、目からうろこが落ちる思いであった。
国鉄所有地の有効利用のプロジェクトに関連しての話であるから、学問が実践活動にこんなに説得力をもつものかと吃驚した。
それからは坂本教授に教えを請いアダム・スミスから勉強した。
もう一人の先生はペンション事業で協力したペンション・システム・デベロップメント社長であった小杉恵氏である。
彼はコロンビア大学で、スィージー、ドップといったマルクス経済学の先達に学び、マックス・ウエーバーに私淑する経営者であったが、そのあたりの話しをよく聞かされた。
おかげで専門ではないが、経済的な事象に興味をもって接することが出来るようになった。
テレビを見ていて丹羽氏のような、経験も積み人の痛みがわかり、グローバルな感覚を持ってしかも歴史認識がある経営者がリードしていけるような社会に早くならねばならないと思った。