昨日の午後3時過ぎ、夕方の打ち合わせの前に少し時間ができたのでテレビのスイッチをつけると麻生首相と小沢民主党党首の党首討論が始まったばかりであった。
偶然の機会だったが、45分間その議論をすべて聞くことができた。
私は別に民主党シンパではないが、この議論を聞く限りどちらが総理大臣なのかわからない印象を受けた。
麻生総理の落ち着きのない目付きや表情をを見ているとこの人は、自分を本当に総理大臣だと思っているのかとも思う。
日本の党首討論はその場で自分の意見をぶつけ合い、議論を深めていくと言うものではなくて、はじめから結論は決まっていてその言い訳を一生懸命話しているようで、麻生総理はメモ持参の討論会であった。
自民党は再三党首討論を申し込んだが受けてもらえない、今回初めて国民の前で違いがわかったとか自画自賛していたが、最初から組織の結論ありきでは、余りやる意味はないのではなかろうか
その日のTVメディアはこの討論のニュースを流していたが、NHKやその他のニュースでも、議論が平行線とかどちらも疑問とか当たり障りのない解説ばかりで討論について的確なコメントをしていないことが気になる事ではある。
ドキュメントのニュース番組が増えたが興味本位のニュースと党首討論のような重要なニュースが同じような扱いのものが多いのも何か奇異な感じがしないでもない。
石原慎太郎都知事は、この討論の感想を”福田総理よりは良い”と援護射撃していたが、自らの新銀行東京の参考人招致の問題があるので、援護射撃をしているとしか思えないし、いつもの石原氏らしい辛らつな意見は聞こえてこなかった。
山本七平氏の興味ある著作に”人望の研究”がある。氏は古今東西の集団内におけるリーダーの資格について様々な意見を述べているが、結局人望を勝ち得る人物の要素とは、個々のテクニカルな知識や行動ではなく、それらとは違う”徳”の存在にその帰結を求めている。
それは別に難しい事ではなく基本的には自己抑制から始まる事だと説いている。
現状の社会の状況や、自分の身の回りの仕事を見ていて今回の党首討論を聞く限り、とても麻生総理を”徳”のあるリーダーとは認めがたく思った。
45分間の討論をつぶさに見て昨日は色々な事を考えさせられた日であった。