木村 和美 Architect

建築家木村和美の日常活動とプロジェクトについてのブログ

●弱者の兵法・・・野村克也

2009-08-11 18:21:10 | Weblog

 

昨日から今日にかけて大雨や地震があったりで、大きな天変地異の前触れかと恐ろしくなるが、生憎の天候で昨日は溜まった雑用を片付けた。

何か余り難しくなく、面白い本を読みたくなりちょうど楽天の野村監督が、最近表した”弱者の兵法”が目に付いて買って目を通してみた。

 

氏が、若くして南海ホークスのプレーイングマネジャーを経験してから、ヤクルトスワローズを日本一にし、更に阪神、そして今楽天イーグルズの監督として現在も引き続く、監督業という修業を通して見つめ続けた、人間観察の面白い一冊となっている。

 

氏の現役時代には、王、長島と言うどんなに頑張っても超えられないスーパースターがいた。監督になってからも同様であった。

その中で自らのハンディを克服し、這い上がる努力の中から独特の”弱者の兵法”を身に着けて行く。

 

弱者の兵法とは一言で言うと”無形の力”だという。

常識的に野球は体力、気力に優れた人間が勝つスポーツで、有形の力の作用するゲームであるが、一方でチームプレーによる、意外性のあるスポーツでもある。

そして100%強者が勝つものでもない。

野村監督はここに注目し、体力気力に劣るものは”知力”を使えと言う。

ここにデーター野球と言われる氏の原点があるようだ。

 

結局人間が相手のスポーツだから、相手をよく研究して、勝つ工夫をすることに尽きる。

孫子に言う。”敵を知り、己を知らば百戦危うからず”である。

 

知力というのは、研究ばかりでなく駆け引きもある。

舌戦も弱者の武器で氏はよく王・長島にフェイントを仕掛けたと言う。

一種の奇策であろう。

これまた孫子の言う”正を持って合し、奇を持って勝つ”の通りである。

 

これらの経験を基にして積み上げられた、野村監督の弱者の兵法は、最終的には一人間としての完成に向けての努力そのものが、弱者の兵法となることを匂わせている。

 

必ずしもスターとして入団したわけではない、氏のこれらの努力のあとは、氏自身から見ると弱者の兵法かも知れないが、私からみると、立派な勝者の闘う哲学に見える。

孫子の良く言う情報戦、リデルハートの言う間接的アプローチの要諦がここに記されているように思う。

 

とにかく弱者は色々な事を工夫して何とか戦う。

そして負けてもすぐにあきらめず繰り返し挑戦する事に尽きる。

 

楽天の三木谷オーナーは、来期は野村監督に変え、新監督を招く事を公言している。

74歳の老監督は、ここでおめおめ引き下がるのだろうか?

 

ここでこそ持ち前の弱者の兵法で、オーナーに一泡吹かせてくれることを期待したいと思う。