木村 和美 Architect

建築家木村和美の日常活動とプロジェクトについてのブログ

●セプテンバー・メモランダム

2009-09-28 22:39:31 | Weblog

 

先週2日は、ウイークデイだったが、実質的には今日28日が休み明けの感じで、しかももう9月も終わりのラスト・マンデーとはなった。

毎年9月は雨が多かったように記憶しているが、今年は珍しく雨が少ないと思っていたら、又今週から少し降ってくるようである。

 

休みが続いたり、政権交代で様々な新しいことが起こる気配だが、この一ヶ月は実質的には何も進んでないような感じがして仕方がない。

私が関係している小さな公共工事もあるのだが、これも先行き不透明である。

これと平行して民間関係の話も、何となく進み具合がパッとしないように思う。

 

民主党内閣が始動し、八ツ場ダムやJALの経営はじめ多くの問題点が浮き彫りとなっているが一連の大臣の発言を聞いていて、これはいわゆる社会主義政権ではないかという印象を個人的には受ける。

 

休み明けにドル/円が90円を切り、一気に88円台をつけた。

藤井財務相の発言がきっかけと言う人もいるし、亀井金融相の徳政令発言で銀行の株価が下落、円高とあわせて日経平均株価は一時1万円を割り込んだと言う。

経済問題が急を告げる中、いささか心配ではある。

 

一昨年の日本の政界大連立のモデルと言われるドイツの連邦議会選挙が27日行われ、メンケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟が第一党となった。

FDP(自由民主党)とあわせ過半数となり、今までのSPD(社会民主党)との大連立は解消された。

ヨーロッパでは、フランスのサルコジ、イタリーのベルルスコーニと中道右派勢力が左派を抑えてきたが、これでドイツも右派政権となり、EUの流れもより市場主義へと加速されるだろう。

日本は、一周遅れの感が無きにしも非ずではないだろうか。

 

28日今日、自民党の総裁選挙が行われたが、余り盛り上がらずまずは妥当な結果となったようだ。

自民党政権が残した負の遺産を毎日流される中で、自ずから注目度は低くなっていかざるを得なかった。

しかしある意味中傷合戦の趣で、前向きな総裁選ではなかったと思う。

 

そんな中で、石原都知事と鳩山首相が環境問題で呉越同舟、オリンピック招致のためコペンハーゲンのIOC総会に立ち会うとの事である。

民主党はオリンピックに反対ではなかったか

 

呉越同舟の意味は本来単なる同床異夢ではなくて、立場を超えて助け合うことを言うのだそうだ。

 

危機に直面すれば団結する。

三党合意の民主党政権も、新しい自民党も中々まだ呉越同舟と言うところまでは、行かないような気がした昨今の情況ではあった。


●政治を科学する

2009-09-25 20:06:36 | Weblog

 

シルバーウイークもあっという間に終わってしまったが、今週の話題はなんと言っても、鳩山首相夫妻の国際外交デビューのニュースだったと思う。

”政治を科学する”と言うのは、鳩山家の長男として生まれた由紀夫氏が、当初政治家志望でなく、スタンフォード大学の大学院を経て、専修大学助教授職から、政界へ転出した際漏らした言葉だそうだ。

 

宇宙人とか言われ、夫人と共にそのユニークなキャラクターで、話題を提供して来た鳩山首相だが、今回の外遊では自らの哲学を国際会議の場で堂々と披瀝し、最近にない喝采を浴びているのは大変喜ばしい事である。

 

夫人も宝塚出身らしいタレントぶりは十分すぎるほどの内助の功で、いたるところで評価が高い人気ぶりだと言う。

 しばらくこの好回転が続く事を祈りたい。

 

私は、この連休前半は仕事をしたが残り2日間はのんびり過ごす事が出来た。

テレビやDVDを見たり、音楽を聴いたりして過ごしたがこの時期はどうしても仕事のことが気になり、落ち着かない休日だった。

 

連休中のことで、頼んだ見本や宅急便が届かずトラブルに見舞われたが、怒っても仕方がないこととは言え、何か現在の不況感とまったく関係がないとは言えない感じがしたものだ。

 

今日も不動産関係の知人と夕刻に会い、色々議論をする中で改めてその感を強くする。

先日も私が関係した土地の売買が値段が合わず破談となったが、地価下落のうわさとは別に、実際の取引では余り下がってないのが実情ではないだろうか、、、。

 

友人曰く、日本の不動産取引は、政治と同じく科学になっていないと言う。

本来はもっと下がってよいのに下がらない。

ドーンと下がったほうが早く回復するのだとの事だった。

 

しかし、そろそろ政治と同じく変化があってよい頃ではないかと思う。


●一番町から千鳥ケ淵周辺

2009-09-21 19:11:36 | Weblog

 

シルバーウイークとやらが始まって、お天気も良く行楽に出かける人も多いように聞くが、一方ですべて仕事だと言う人もいて、それぞれの秋の日々が経過している。

私は、先々週から歯に原因不明の痛みが走り、どうにも憂鬱な日々が続いて、この連休は少し静に静養しようと思っていたが、結局何となく仕事をする羽目に陥ってしまった。

 

今日月曜日は、午前中住宅の改修工事現場により午後から所用で一番町に行って来た。

休日の番町界隈は静かなものであるが、雰囲気のよい街を番町中央通りから千鳥ケ淵へと歩いてみる。

 

数年前、千鳥ケ淵のそばに、フェアモントホテルというこじんまりしたホテルがあり、隠れたファンがたくさんいて桜の季節は特に人気がありレストランなどは常に満席であった。(写真)

 

千鳥ケ淵戦没者墓苑からお堀沿いに緑道を歩いて行くと程なく左手にその場所が見えてくるが、現在は、三井不動産によりパークマンション千鳥ケ淵というマンションになっている。

有名な億ションで、読売新聞の渡辺会長などが住まわれていると聞いた。

お堀端やその周辺が良く見えるように、大きな羽目殺しのピクチャーウインドウが設置されている。

外壁は石張りのようにも見えるがセラミック系の新建材のようにも見える。

 

前の道は一方通行となっており、お堀の側の小道は中央に桜の木を植えた幅4mに満たない緑道となっている。

時折、子供連れや、老人夫婦の散歩する姿が目にはいるが、この並木道は景色はよいが静過ぎて物足りないこの周辺の環境に一服の暖かさを与えてくれるように思う。 

 

ある時期の丸の内周辺は、一流企業の事務所が建ちはしたが、休日はまるで死んだような街になり、結局新しい再開発で、ショップや他の用途の施設を入れることで活力を取り戻したが、高級住宅地である番町界隈も、高級住宅やオフィスに特化した機能ゆえ街自体が寂しくなってきているように思う。(それが良いのだという人もいるだろうが、、、)

 

このような桜並木や、以前のフェアモントホテルのようなパブリックな場所を少しでも加味していくことで、街に番町らしい明るく華やかな雰囲気を作り出していけるのではないかと思いながら人通りの少ない道を歩いていた。


●官僚主導から政治主導へ・・・鳩山政権の発足

2009-09-17 17:43:31 | Weblog

 

昨晩の鳩山内閣の新閣僚による記者会見は、深夜にも係わらず視聴率が7%を越えたと言う。

自民党の閣僚記者会見とは相違して、自らの言葉で喋る会見だったが特別なミスはなく、緊張感に溢れたよい記者会見だった。

 

むしろマスコミ諸氏のほうが陳腐な質問が多く、歴史的な政権交代にふさわしいやり取りとは言えなかったと思う。

これからが本番だが、首尾よく政治主導、国民主体の政権運営となってくれる事を祈りたい。

 

中央政府はチェンジしたが、さて地方自治体はどうだろうか

まちづくり活動や、商業振興を通じて、ショッピングモールなどの設計をしてきた経験で言うと、まだまだ地方では官主導で物事が進んでいく事が多い。

地方で一生懸命やられているお役人の方には大変申し訳ないが、特に公共事業や、道づくりなどは、住民の人たちの意見が十分反映された物が出来てきたとは言い難い気がしている。

 

何回か経験した事だが、これは住民側にたって意見を取りまとる人達、例えば市会議員さんなどが今まで少なかったからだろうと想像している。

議員さんはむしろ供給側、建設側でとにかく進めることでメリットがある人達が多かったのではないだろうか

 

2年前、逗子市の池田通りと言う道のデザインで協力した時、ある市会議員さんが取りまとめや協力を行っていた。

商店会の人も多く、皆で生活や買い物のための楽しい道を造っていく意欲を感じたものだ。

 

住民だけで、行政側と対等に交渉するのはその情報量や専門性において難しい場合は、やはり地域の政治家である例えば議員さんと協力をして、自分達の主張を計画に反映して行くという変化が、地域自治体でもたくさん出てきて欲しいと思っている。

 

そんな動きが広がっていけば、地域社会にとって今度の政権交代の意味も、より大きく有意義なものとなって行くのではないかと思う。


●原宿詣で

2009-09-15 19:22:35 | Weblog

 

昨日、目黒にショップと住宅を建てた施主から住宅の床をカーペットからフローリングにしたい旨の連絡があり久し振りに原宿のショールームへ行って床の見本を眺めてきた。

以前は何かあると表参道から明治通りのショップや、町並みを眺めて歩いたものだが最近はご無沙汰で久し振りの原宿詣でとなった次第である。

 

原宿の駅から竹下通りを抜けるが、午前中とは言え結構人出が多い。

しかし何となく以前のような独特の熱気と雰囲気は感じなくなったように思う。

私の感性の方が鈍くなったのかも知れないが、、、、。

 

竹下通りと明治通りの交差点にあった、”パレ・フランセ”のビルの後が空地のまま塀に囲われている。 

原宿のファションショップを象徴するようなビルだったが時代に合わなくなり、現在建設中で完成が平成24年というビッグプロジェクト。

その隣にはセコムの超高層ビルが出来ている。

 

この通りもこうして段々と超高層の並ぶ町になっていくのだろうか。

表参道のケヤキ並木の通りに比較して違う雰囲気の通りになって欲しいと思う。

 

 私が随分前に設計した原宿のファッションメーカーのビルが北参道にある。(写真)。

残念だが最近施主の手を離れ、他のメーカーに渡ってしまった。

せっかく原宿に来たので近くまで行って見るが、 外装もリニューアルされ丁寧にメンテナンスされており一安心である。

 

小さい建物だが、コンペで勝ち取った作品で曲線が多く、施工者泣かせのものだったが、そのままの形で残っている。

最初の計画は、アルミパネルに覆われたもっと複雑なもので、コストがどうしても合わず、現実に合わせてデザインもし直した、思い出の多い小作品である。

 

その時に色々な材料を選択した、原宿のアドヴァンのショールームに寄って見る。

当時から比べると、随分大きなショールームになった。

しかし当時の方がユニークな材料がたくさんあったような気がする。

どうしても、この時代定番の材料が多くなるのはやむをえないのだろう。

 

以前は先端ファッションというと原宿と言うイメージがあったが、現在は銀座への集積、六本木や恵比寿・代官山の躍進で多核化の様相を呈しているようだ。

 

何となく原宿らしさというものを失いかけているような今日のまちの印象ではあったが、今後は明治通り沿いの変貌が待たれるところではないだろうか。


●ランドスケープ・デザイン・・・戸田芳樹・風景計画

2009-09-12 21:43:18 | Weblog

 

今日は、日本のランドスケープ・デザイン界で、活躍する戸田芳樹・風景計画の30周年記念展覧会とパーティーが東京農業大学の”食と農の博物館”で開かれ、少し遅くなったのだが出席し、これまでの多くの作品を見せてもらった。

 

戸田芳樹氏は、私が黒川さんの設計事務所に在所中、関連会社のアーバンデザインコンサルタントに籍を置き、仕事を通じて色々と議論した仲である。

出身が尾道と私の郷里と近いこともあり良く話をしたが、大学卒業後京都で作庭の実務に従事しただけあって、その造園知識の豊富さに感心した思い出がある。

 

黒川さんは、建築だけでなくその周辺の色々なことに興味があり、極めて幅広い活動をしていたが、取り分け大規模な建築には欠かせないランドスケープに対する思い入れが強かった。

 

当時、ニュータウンの仕事が多かったのだが、同じ仲間に、東京芸大の建築科を卒業し、道路設計の事務所に勤めてから黒川さんのところに来たと言う変わり種の八木健一君がいて、喧々諤々の議論をしながら仕事をしたものである。

 

写真は戸田芳樹氏の事務所が、造園学会賞を受賞した伊豆修善寺の”虹の郷”の風景である。

樹木や花に対する柔らかい感覚が伝わってくる。

私が、平塚駅前の宝町商店街のショッピングモールの設計をした時、街路樹に黄色い花が咲く”ハンカチの木”を進めてくれたのも彼だった。

ハンカチの木は中国でバイオテクにより製作された新種だったが、当時評判を呼んだものだ。

 

又、佐倉市に地元のバイオ企業、常磐植物化学研究所の本社ビルを設計した時、本社の前庭のデザインをしてくれたが、数年ぶりに協力して氏や氏の事務所のスタッフの確かな力量に感心した思い出もある。

 

話を聞くとこれから中国の仕事が多くなるようだが、環境問題を含めてランドスケープデザインの取り扱う分野がどんどんと広くなっていくことだろう。

 

若い時の気安さで、逢うたびに”造園界のホープ”と呼ぶと、今更ホープでもないでしょうと、あの人懐っこい笑顔で答えてくれる氏だが、これから益々のご健闘ご活躍、そして事務所のご発展を祈りたいと思う。


●最近の六本木、西麻布界隈

2009-09-09 19:02:56 | Weblog

 

今日は、恵比寿ガーデンプレイスと東京ミッドタウンという、代表的な大規模開発を一緒に見ることが出来て感じることが多々あった。

ガーデンプレイスは、住宅の改装工事のアフターケア、ミッドタウンはサントリー美術館に所用があり伺った訳である。

 

私は、先年2年間住宅の改装工事と三越の中の店舗設計でガーデンプレイスに通い詰めたので、こちらの方により愛着を感じるが、ミッドタウンはまだ数回しかいったことがない。

計画された時代背景が違うので、目指すものがそれぞれ異なることはよく理解できる。

 

ミッドタウンは、”環境とデザイン”がテーマだと聞いた。

確かに周辺の広い緑化面積や雨水利用を兼ねた水の循環システム、建築的にも立面に日射しを遮るルーバーや、複層ガラスを使用し、省エネルギーを目指している。

更に、水蓄熱システムやNAS電池、コジェネレーションシステムなどエネルギー有効利用システムを採用し流行の温暖化防止、温室ガス削減を目指している姿勢である。

 

デザインは、案内板などのグラフィックデザインに特徴が見られ、環境彫刻などが置かれアーティスティックな雰囲気を醸し出している。

建築家もアメリカのスキッドモア・オーイングス・メリル、安藤忠雄、隈研吾などを起用している。

対して恵比寿は久米設計と住宅都市整備公団である。細かいデザインは色々あるが、建築空間としては、ガーデンプレイスの方が、私は豊かに感じる。

 

 ”日本建築は線が多すぎる”と言ったのはかの有名なル・コルビュジェであるが、ミッドタウンの建物は、ルーバーやサッシュの線で覆われ、隈研吾の美術館など線だけと言った感じである。

コルビュジェが見たら何と言うだろうと、、、。

 

せっかく六本木に来たので、以前事務所を置いていた西麻布方面に足を伸ばしてみた。

懐かしい西麻布の千利庵でお昼をと思ったが、今は昼は営業してないようで、近くの権八・・小泉元首相がブッシュ大統領夫妻を接待したところ(写真)・・で胡麻タレソバを食した。 

外人の団体客が多く観光レストランの雰囲気だった。

 

元の事務所周辺は、建築的にはそれほど変化がないが、飲食業がほとんど変わっている。

高松宮さまの元シェフがやっていた小料理の”一すじ”も今は三井不動産の手で、マンションに工事中。

イタリアン・レストランの”マッジョ”や”ダヴィンチ”も新しいテナントビルになって様変わりである。

ミッドタウンや、六本木ヒルズの完成で、この当たりの飲食地図も変わったのだろうと思う。

 

何となく味気ない町になったような気がして仕方がなかった。

私がいた頃の雰囲気が最も、西麻布らしかったのだろうと思い出にふける。

 

懐かしい和風サロンで昔話をしようと思ったが、女主人が足を怪我してしばらく休むと張り紙がしてあり、これも休業中であった。


●炭酸飲料と健康

2009-09-07 17:20:50 | Weblog

 

夏の暑い日には、普通の水よりも、炭酸の入った飲料水のサイダーなどの方が、味覚を刺激し、清涼感を与えてくれるのでもう随分前から私は三ツ矢サイダーのファンであった。

 

作家の宮沢賢治や夏目漱石などもサイダーのファンであったらしく、漱石の小説”思い出す事など”の中に平野水として紹介されている。

この前聞いた話だが戦艦大和の乗員にも、サイダーが配られていたようで、気分をシャキとする効果があったのだろうと想像する。

 

私が初めて海外に出たころは、まだミネラルウオーターなるものは日本にはなく、ヨーロッパで初めて飲んだ。

当時の南ヨーロッパ、スペインでは高級ホテルに泊まっても水道から出てくる水は、白く濁っていて吃驚したものだが、当然のように飲料水は皆ミネラル・ウオーターであった。

水を注文するのもガス有りか、無しかと聞かれ多少刺激的なウイズ・ガスが気に入り、常用した。

 

もっとも炭酸の殺菌作用は昔から知られており健康上もよいと聞いた。

今はどうか知らないが、当時はドイツなどはほとんど鉱泉から水を採取しており、ウイズ・ガスが多かったように思う。

 

以来、私は泡の出る炭酸飲料水を愛用してきたのだが、最近夏風邪にやられのどを痛めて、中々完治しない。 

ある有名な耳鼻科の先生に診てもらったところ、のどのイガイガ感は胃酸による影響が大きいと聞いた。

炭酸飲料は胃酸を上方に押し上げのどに決してよくないと言う。

 

又、コーラが歯を侵食することは前から知っていたが、最近の調査では炭酸も歯を侵食するデーターが出ているらしい。

何だか炭酸水に悪い評判ばかりが入ってきて、秋になった事もあり、残念だがもう炭酸飲料を飲まないことにした。

 

今日鳩山民主党代表は、都内で講演し2020年までに温室ガスを1999年比で、25%削減する事を明言したそうだ。

16日の組閣に向け、人事や政策にどんどんと新鮮な考えを表明して欲しい。

 

こんな鳩山氏に国土交通省の幹部はまだ会ってもらえないという。

残念だが、国交省は今までそれほどおかしなことをやってきたのだろうか、、、、。


●神奈川県立音楽堂と図書館・・・有名建築のメンテナンス

2009-09-02 19:53:51 | Weblog

 

本日調べ物をしたく思い、横浜西区の紅葉ケ丘にある神奈川県立図書館に行った。

県立図書館は、有名な建築家前川國男氏設計の神奈川県立音楽堂と連続した建物として設計されている。

私は何度もそばを通ったことはあったが近くで見るのは今日が初めてであった。

 

この建物の竣工は1954年と言うからもう55年の歳月が経過している。

県立音楽堂は、出来た当初から日本のモダニズムの傑作として評価が高い建物であった。 (写真)

1999年にドコモモ国際委員会から、”モダンムーブメントの建築作品20選”にも選ばれている。

 

 しかし、近くで、その建物を見ると痛々しいまでに老朽化しており、使い勝手に支障はないのかいささか心配になる。

柱の太さも当時のコルビュジェ流そのままで細く、耐震性能にも疑問が残る。

図書館もまったく同様で、どうにも古くて私はエントランスから中に入るのさえ躊躇した。

更に狭いので新館が増築されているが、新館とは言えこれもかなり古く、外観は一世代前のプレコン、ショック・べトン仕上げで出来ており、旧館とはまったく似つかわしくない。

勿論設計は前川事務所ではない。

 

同一敷地に、青少年センターが併設されており、これは1960年代に前川事務所により設計されている。

しかし横浜の高台にある文化施設ゾーンという観点から見て、残念ながら調和の取れた環境を形成している印象は受けなかった。

この音楽堂のホールで音を聞いた経験がないから、私は何とも言えないのだが今日はホールで、天台宗についての作家五木寛之氏の講演会が開かれていた。

過去に東洋一の音楽ホールと言われたそうだが、六本木のサントリーホールでさえ10年たたないうちに内装を更新して音響効果に気を配るものである。

外から見ただけだが、インテリアもかなり痛んでいる感じであった。

 

公共建築は、特に有名建築であるほどメンテナンスが難しい。

何かしようとすると一言クレームをつける人が多いからである。

 

一般的に建築家と言われる人達は、建築が出来た後にそれを変えたり、改装する事を嫌がるように思う。

 

今日音楽堂の建物を見て、有名建築であろうと老朽化していくのは常であり、

メンテナンスの面からも意見を言い、デザインだけでなく使い勝手を維持していく事が設計者又はその周辺にいる建築家の主要な役割ではないかと思ったりした。