空華 ー 日はまた昇る

小説の創作が好きである。私のブログFC2[永遠平和とアートを夢見る」と「猫のさまよう宝塔の道」もよろしく。

満月の映る湖

2024-06-01 20:46:21 | 文化
 満月の映る湖
      1
湖の波に映った月は
揺れるように、震えるように
君はあの森をざわめかす風の強い湖に映っていた。
そうだ、君は光のような可憐な瞳で、私の心に入ってくる
何よりも深い湖に金色の瞳を浮かべて

カワセミが魚をくわえて飛ぶ湖で
満月は全ての森羅万象を照らし、自らは湖に姿を現す
悲しみも苦しみも
やがて見る浄土の喜びの前触れではないか
何故なら、わが胸の奥に住みたる月は
とてつもなく美しい透明さで、
花のように、生き生きとして
青空に浮かぶ白雲のよう
森から見る広大な湖のよう

おお、胸の奥にありし月よ
今は水中に映っておられる
満天の星のまたたく大空の中に浮かび
地上の森羅万象を照らす、
生き生きと輝く慈悲の灯となって
この街角にたたずむ私の全身を照らす

おお、胸の奥にありし満月よ
私は今はあなたの光を心に取り込み
君は沢山の花や街角となり、
私は君の愛のささやきを耳にする

おお、桃源郷にいるような満月の味は
どこかの浄土の花びら落ちる里山の風景にもまさる
そこから、見るどんな優しい風景よりも
たとえ、山に落ちる夕日のようでも
たとえ 古い街角の澄んだ水路のようでも
神社や寺院も包み込むような風景でも
君の満月の美はまさる

どこからか聞こえてくる祭りの喜びの声
祭りの最中のような生き生きとした歌が
私の胸に今はおさまった満月に
生きる歓喜を与えている

月を見詰めている青年がいる
核兵器があるために、この自然が消えさる日が来ることを危惧する
彼は立ち上がり、
緑の森の中に入り、巨大な金色の鐘をつくり
それを鳴らし、神仏に祈った
全世界から、核兵器をなくそう


さすれば、胸の中の月の苦しみもやむだろう

街角にミサイルが飛び交うこと自体が異常で
いのちこそ いのちこそ 尊いという満月の旋律を
人類は忘れてしまい
武器の開発ばかり、夢中になっている

おお、胸の奥にありし満月よ
わが悲しみも苦しみも終わる時が来る
森から見る広大な湖のよう

それは慈悲が一番、平和が一番
高らかに喜びの鐘が鳴り
森と湖に喜びの鐘が鳴る 
小鳥はさえずり、澄んだ湖は生きる歓喜を歌い上げている

2
満月と湖。その時、満月と湖があるように思う。
満月が湖に映る。
その時の満月こそ、真理。

森羅万象が湖に映るとき、森羅万象と湖の二者があるように思うのでなく、
水中に映る月こそ真理だ

夕日が海の水平線に沈み、全てが溶け合った世界は
永遠という真理を示すように、

この世とあの世があるのかないのか、議論がある。
しかし、実はあの世はこの世に浸透している

我々の娑婆世界に聖なる場が浸透していて、一なる世界があるのみ。
これを全世界は一個の明珠であるという。


煩悩があるために、娑婆世界だけが見え、聖なる神仏の世界は見えない。

スピノザによれば、我々の娑婆世界はつまり森羅万象は神という実体が変身したものなのだ。

全てが神仏。
煩悩があるために、それが分からない
道元も同じ。座禅して、あちら側と思われる仏性がこちら側の森羅万象にあると悟るように、修行すると思われる。
仏性は既にこちら側にどっぷり一枚になってあるのだが、煩悩のために気がつかない。

湖に映る満月よ
君こそわが胸に秘めたる神仏の化身



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【久里山不識より】
1 この詩は 道元の言葉と道元の尊重する法華経の如来寿量品をヒントに書きました。
実践面では、「如来の室とは一切衆生の中の大慈悲心、是れなり。如来の衣とは柔和忍辱の心是れなり、」が重要になると思います。キリスト教のパウロの言葉にも似た言葉があります。
「たとえ、あらゆる神秘とあらゆる知識に通じていようとも、たとえ山を動かすほどの信仰を持っていようとも、愛がなければ無に等しい」
2 頭が西洋科学に染まっている人は 量子力学の天才、ボーアやシュレデインガーが東洋思想に傾倒し、アインシュタインが
スピノザを尊重していたことを思い出してほしいと思います。

3 小説「森に風鈴は鳴る」は パブ―(puboo)で電子出版されています。




 
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