2018/1/12、〇ロコモ、〇血管力、〇ミルキング作用 =田中美香=、=南和友、ドイツのボッフム大学永代教授で、冠心会大崎病院東京ハートセンター顧問=健康寿命を延ばすために日々の運動は不可欠――。食事だけでなく、日々の運動も大切ということは、多くの方が認識されていると思う。最近では、ロコモティブシンドローム(ロコモ*1)という言葉も認知されるようになり、要介護のリスクを避けるためにも「運動しなければ!」という意識がミドル、シニア層の中で高まっている。*1 加齢により、立ったり歩いたりするのに必要な運動機能が低下して、日常生活に支障をきたしている状態。運動器症候群とも呼ばれる。 運動は、血管や心臓などの循環器系の若さを保つために極めて重要だ。南先生は、「血流をつかさどる心臓が規則正しく動くようにケアすることで、血管力も高まります。その柱となるのが『運動』です」と話す。「運動をすれば、脈拍量が増え、血管も筋肉に血液を送ろうとするので心臓も血管も鍛えられます。酸素の豊富な血液(動脈血)が手足の筋肉に送られます。そして酸素の消費された血液(静脈血)はミルキング作用(*2)で末梢から心臓へと送り返されます」(南先生)*2 ふくらはぎの筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことでポンプ機能を果たし、脚の血液を心臓へと押し戻す。この働きが牛の乳搾りと似ているためにミルキングと呼ばれている。https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/18/120800001/122100003/
2018/11/27 〇動脈硬化、〇脳卒中や心筋梗塞のリスク、〇酒を減らさない、タバコをやめない、メタボを改善しようとしない、〇血管年齢、=伊藤和弘=、=池谷敏郎、池谷医院(東京都あきる野市)院長=編集部 今回、最も多かったのは「動脈硬化」や「血管年齢」に関する質問でした。そもそも高血圧や脂質異常症などの生活習慣病がなぜ問題になるかといえば、動脈硬化を進めるため。動脈硬化が進行すると、脳卒中や心筋梗塞で命を落とすリスクが高くなります。 会社などで受ける健康診断でも、血圧やコレステロール値は調べますが、ズバリ動脈の硬さを教えてくれることは基本的にありません。自分で動脈硬化の具合を知ることはできないのだろうか、という質問です。池谷 残念ながら、脈拍を調べるのとは違って「動脈の硬さ」は外から手で触ってみても分かりません。専用の測定機器で測るしかないですね。池谷 従来の健診は、動脈硬化ができあがる材料(動脈硬化を進行させる要素)をチェックしていました。コレステロール、高血圧、タバコやストレスや寝不足といった悪しき生活習慣などです。 ところが、血管はもの言わぬ臓器で、破れたり詰まったりするまで無症状なんですよ。動脈硬化を進める生活習慣病も同様に無症状です。血圧やコレステロール値が健診で引っかかっても、本人は痛くもかゆくもないでしょう。医者に注意するように言われても「交通事故に気をつけましょう」と言われているようなものです。ほとんどの人は「自分は平気だろう」と思って、前向きに治療しようとは思わないんですね。編集部 確かにそうですね。多くの方は、「血圧が高いと動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まる」と頭では分かっています。しかし生活面では何の不自由もないので、本気で血圧を下げようとは思いにくいですよね。池谷 我々医者は実際に血管の病気で倒れる人を見ていますから、この状態だと危険だということをよく分かっているんですが、患者さんは危険な状態にさらされてるという意識を持てないんです。すると酒を減らさない、タバコをやめない、メタボを改善しようとしないといったことになってしまう。 医者はよく「病識」という言葉を使います。病識とは、自分が病気であるという自覚を持ち、自分の病気について正しく認識し、適切に対応することを指すのですが、患者さんはなかなかそういう意識が持てません。患者さんと医者はそこがズレているのです。 患者さんの病識を高めるには、血管側から病気を伝える方法論がいいのではないか――。そこで「血管年齢」という指標が出てきたんです。一般に年を取るほど血管は硬くなっていく。血管が何歳相当の硬さかを示すものが血管年齢です。単に「動脈硬化が進んでいる」というより、「あなたは40歳ですけど、血管年齢は50代ですよ」と言われたほうが分かりやすいでしょう。https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/18/020200005/111200035/?waad=abLZtgAl
2018/11/27 〇動脈硬化、〇脳卒中や心筋梗塞のリスク、〇酒を減らさない、タバコをやめない、メタボを改善しようとしない、〇血管年齢、=伊藤和弘=、=池谷敏郎、池谷医院(東京都あきる野市)院長=編集部 今回、最も多かったのは「動脈硬化」や「血管年齢」に関する質問でした。そもそも高血圧や脂質異常症などの生活習慣病がなぜ問題になるかといえば、動脈硬化を進めるため。動脈硬化が進行すると、脳卒中や心筋梗塞で命を落とすリスクが高くなります。 会社などで受ける健康診断でも、血圧やコレステロール値は調べますが、ズバリ動脈の硬さを教えてくれることは基本的にありません。自分で動脈硬化の具合を知ることはできないのだろうか、という質問です。池谷 残念ながら、脈拍を調べるのとは違って「動脈の硬さ」は外から手で触ってみても分かりません。専用の測定機器で測るしかないですね。池谷 従来の健診は、動脈硬化ができあがる材料(動脈硬化を進行させる要素)をチェックしていました。コレステロール、高血圧、タバコやストレスや寝不足といった悪しき生活習慣などです。 ところが、血管はもの言わぬ臓器で、破れたり詰まったりするまで無症状なんですよ。動脈硬化を進める生活習慣病も同様に無症状です。血圧やコレステロール値が健診で引っかかっても、本人は痛くもかゆくもないでしょう。医者に注意するように言われても「交通事故に気をつけましょう」と言われているようなものです。ほとんどの人は「自分は平気だろう」と思って、前向きに治療しようとは思わないんですね。編集部 確かにそうですね。多くの方は、「血圧が高いと動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まる」と頭では分かっています。しかし生活面では何の不自由もないので、本気で血圧を下げようとは思いにくいですよね。池谷 我々医者は実際に血管の病気で倒れる人を見ていますから、この状態だと危険だということをよく分かっているんですが、患者さんは危険な状態にさらされてるという意識を持てないんです。すると酒を減らさない、タバコをやめない、メタボを改善しようとしないといったことになってしまう。 医者はよく「病識」という言葉を使います。病識とは、自分が病気であるという自覚を持ち、自分の病気について正しく認識し、適切に対応することを指すのですが、患者さんはなかなかそういう意識が持てません。患者さんと医者はそこがズレているのです。 患者さんの病識を高めるには、血管側から病気を伝える方法論がいいのではないか――。そこで「血管年齢」という指標が出てきたんです。一般に年を取るほど血管は硬くなっていく。血管が何歳相当の硬さかを示すものが血管年齢です。単に「動脈硬化が進んでいる」というより、「あなたは40歳ですけど、血管年齢は50代ですよ」と言われたほうが分かりやすいでしょう。https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/18/020200005/111200035/?waad=abLZtgAl