「朝は4本足、昼は2本足、夜になると3本足になるものとは何か」
有名な「スフィンクスの謎かけ」、ご存じの方も多いでしょう。
答えはもちろん「人間」。
生まれた時(朝)は四つん這いでハイハイ、やがて成長(昼)して2足歩行、
晩年(夜)になって杖をついて3本足で歩く。
3本目の足は杖じゃなくて「人生の英知を得る」という意味もあるそうだが、
こちらの方の答えは哲学的なもので、いわば「心の杖」とでもいえようか。
私は今、まさにその「スフィンクスの謎」でいう夜(晩年)になり、秋口から
杖を頼りに3本足の生活に入った。
3月ごろからコロナ自粛で巣ごもり、ほとんど外出しなかったこともあって、急
速に足腰が弱体化したためだ。
杖をついて歩くようになって、同じような杖頼り人が結構多いことに気が付き、
「こんなに杖を頼っている人が多かったのか」と、ちょっと驚いている。
健常な足の時はあまり関心を払わなかったので、気付かなかっただけかもしれ
ないが。
同じ境遇に身を置くことで、違った視界が目に入るようになったということだ
ろうか。
わずか数か月の経験だけど、杖をついて歩いていると「優しい応対」にもよく
出会う。
交差点で車を避けるために立ち止まっていると、スピードを落としてくれる車、
わざわざ一旦停止して横断するのを待ってくれる優しい運転者もいる。
そんな時、こちらも感謝の挨拶をしてゆっくり横断させてもらうのだけど。
今年80歳、傘寿を迎えた。
父や兄、カミさんたちが60代で早世したのに比べ思わぬ長寿に恵まれた。
この先は車いすの厄介になるかもしれない。
そのときは車いすから、どんな世界を見ることになるのでしょうか。
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2020年が間もなく閉じます。
新しい年は、コロナを圧制してた希望の年を祝うことができるのか。
ぜひそうあってほしいものです。
皆様、よいお年を!