私なりの解釈をもう一度。
長い間心の中に残っている作品だから、もう一度読み返して、良さを確認したかったです。
彼のデビュー作ですが、私の中では村上春樹氏の作品はこの作品と、二作目の「1973年のピンボール」しかないと言っても
過言ではありません。魅力的な作品として、この二作が私の心の中に長い間生きています。
今回読み返してみて思ったのは殆ど内容については忘れていたということでした。
心の中にいい印象だけが残っていて、それが私に再読を促したわけです。
冒頭から終わりまでまるで初めての作品を読むような感覚でした。
自分のこと、本のこと(著者のこと)、ガールフレンドのこと、男の友人のこと、
音楽のことなどがほぼ同じレベルで扱われ、同じ地平線で書かれているような印象が強かったです。
私としてはこの小説のどこからどこまでが経験なのか、勿論察することは出来ませんが、
雰囲気的にはこれを書いた時の作者は「幸福であった」と感じられました。仮に、この小説の世界がそのまま作者の実経験に
基づいているような世界であればですが。
幸福な経験をしていたのだなあと思いました。
これがこの小説のひとつのセールスポイントかと思われました。(セールスポイントという言葉は悪いかもしれませんが)
敢えて言うのであれば、陽性の良さとでも言いますか。
自分はこんな幸せな10代20代を送っていなかったなと思いました。
この小説を裏返したような実生活しかしてなかったのではないかと。
この小説で核となるストーリーの一部分は、或る少女との出会いを含めての成り行きとでも言いますか、
そのあたりだったと思います。恋愛に発展する訳でもなく、予想外の人間関係だった訳です。
やはり小説或いは書き物は、
読む者に対して最後の最後まで予想を裏切ることが大切で、このセオリーを外しては、
創造は、ありきたりになってしまい、つまらないものになってしまうのだと思います。余談ですが、
性的な描写も殆どなかったのが良かったです。
最近よく思うのは、小説は筋(構成)かなということです。
若い頃はストーリーではないと思っていましたが、やはり想像も出来ない筋は創造に通じるのだと思います。
結論から言えば、音楽、本、哲学、交友、思い出など、それらの各々を創作の中に縦横に散りばめた内容は、
今もとても魅力的で清潔な感じがします。
このように色んな要素を寄せ集めて縦横に書けばいい小説が書けそうな気がします。
それが認められるかどうかは別にして。
真似で良ければ書けるでしょう。真似でしか書けないでしょう。
ここを超えて行くには何が必要かと言えば
私の結論から言えば、筋(構成)だろうと思うのです。
これが一つの方向だと思います。
「風の歌を聴け」はいい空気を運んでくれました。
幸せな読書空間を与えてくれました。
ありがとうございます。
**********************************************************************
# ここに書かれてあるのは正直な私の思いであって、他の方に強制する思いでは決してありませんので
ご容赦下さい。
TWITTER/anotherbeatle/https://twitter.com/anotherbeatle
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます