GEN事務局会田の大同活動日記

中国黄土高原でのGENの活動や、現地の人々の生活をお伝えします。

うれしい知らせ

2006年12月01日 | Weblog
 今年の8月、サントリー労組ツアーに参加したメンバーから嬉しい知らせが届きました。
 8月22日、サントリー労組ツアーは、大同市にある希望学校を訪れました。帰国後に、写真に、メンバーががんばって中国語で書いた手紙を添えて希望学校に送ったところ、生徒さんからたくさんの返事が届いたとのこと。それを知り、しみじみ嬉しくなりました。
 ツアー参加者の皆さんが、帰国後にお世話になった農家に写真や手紙を送ってくださることは、よくあることです。ホームステイ先の家族が、「過去に泊まった日本人が送ってくれた写真」といって、嬉しそうに私に写真を見せてくれたことが何度もありました。そのたびに、大同でのツアーを通じて、中国の人と日本人の心が、遠く離れた地でつながったのだとしみじみ嬉しくなります。
 でも、今回のサントリーツアーのメンバーの話には、また特別な思いがあります。
 今年のサントリーツアーが大同に入ったのは、8月15日の靖国参拝の直後でした。大同はご承知のとおり日中戦争の激戦地であり、戦争の生き証人がまだたくさん生存しています。普段はあまり表面に表れませんが、日本人に対する様々な感情が存在するということも事実です。実際に、8月15日の靖国参拝が一部の人の感情を害し、この希望学校訪問が難しくなりました。それを大同事務所のスタッフが奔走して、ようやく訪問できることになり、ツアーは予定通り希望学校を訪れ、サントリー労組のツアーの皆さんと希望学校の生徒さんは、ともに楽しい時間を過ごすことが出来ました。
 ここ数年、特に昨年の反日デモ以来、「政冷」の影響を受けて、日中間の国民感情は一気に冷めました。こういうときこそ草の根の交流が大事だ、とよく言われますが、国民感情は政治の雰囲気に常に左右され、流されます。そしてその雰囲気は、当然草の根交流にも影響を及ぼします。
 8月15日からツアー受け入れまでの数日間の大同スタッフの苦労話を、サントリーツアー終了後に聞きました。このような話を聞くと、いつも私はとてつもない無力感、徒労感に襲われます。何よりも、大同スタッフに大変な思いをさせてしまうことに対して、いたたまれない気持ちになります。
 サントリー労組ツアーが希望学校を訪れたときは、サントリー労組ツアーの皆さんも希望学校の生徒さんも、お互いにたくさんの出し物を出し合って、常に笑いが絶えない本当に楽しいひと時を過ごすことが出来ました。そしてサントリーツアーのメンバーは、帰国後に、中国語で手紙を書き、写真をたくさん焼いて希望学校に送ってくれました。その後、こんなにもたくさんの返事が生徒さんたちから届きました。「来てくれて、本当に嬉しかったです。またぜひ遊びに来てください。その日を今から心待ちにしています」。  
 この話を聞いて、しみじみ嬉しかった。人と人との真心というのは、政治の世界とはまったく別の次元で、ちゃんと伝わるものですね。当たり前のことですが、人と人との関係は実際に会ってふれ合うことで、初めて相手の等身大の姿が見え、そしてそこから相互理解の第一歩が始まるのだと思います。
 もちろんサントリーツアーのメンバーも、希望学校の生徒さんたちも、あのふれ合いの裏にこんな話があったことはまったく知らなかったのですが。今回の希望学校訪問が実現して本当によかった。
 非常に感慨深い思いがしたので、初めてツアー裏話を書いてしまいました。