GEN事務局会田の大同活動日記

中国黄土高原でのGENの活動や、現地の人々の生活をお伝えします。

霊丘自然植物園の野鳥

2006年12月19日 | 南天門自然植物園
緑の地球ネットワークは、1999年から大同市の南端に位置する霊丘県で「自然植物園」プロジェクトを行っています。86haの土地を確保し、放牧や燃料伐採などを排除して植物の遷移を調査すると同時に、地元や隣接地の自生樹種の育苗と栽植の技術を蓄積してきました。すでにリョウトウナラ、シラカンバなどが最大のもので樹高10m、胸高直径15cm以上に育ち、草や潅木も急速に繁って、周囲とは異なった景観をつくっています。

その霊丘自然植物園で、会員の池本和夫さんが3年ごとに野鳥観察を行ってくださっています。
2000年春、2003年春、2006年春と、すでに3回分のデータと写真がGEN事務局にあります。その写真が大変素晴らしく、GEN事務局だけで独り占めしておくのは大変惜しいと常々思っていました。
そこでこの度、池本さんから許可をいただき、このブログで紹介させていただくことにしました。今回ご紹介する写真はすべて、今年の春に池本さんが自然植物園に一泊し、撮影された写真です。

この写真は、今年の4月18日に撮影した「自然植物園」の様子。常緑樹以外、まだ新緑はまったく芽吹いていません。こんな殺風景な場所に、果たしてどれだけの野鳥がいるのでしょうか。


調査方法:
①毎年、三日間にわたって調査。
②毎日早朝、午前、午後の3回、各々1.5時間程度。
③歩くコースを設定し、三回とも毎回コースを調査。
このように、一定のコースを決めてそこに出現する鳥を数える方法をラインセンサスというそうです。
集計方法:
②のうち、種ごとに、時間帯ごとの最大数を、その日のその種の数とする。


カワラヒワ②

2006年12月19日 | 南天門自然植物園
2000年春に2羽、2003年春に9羽、2006年春は15羽観測されました。中国語では、金翅雀。本当に美しい金色の羽です。(学名、中国語名、観測数データはすべて池本さんご提供の資料に基づいています)。

ジョウビタキ①

2006年12月19日 | 南天門自然植物園
ジョウビタキ(学名:Phoenicurus auroreus)のオス。春から初夏にかけて南方から渡ってきて、営巣、繁殖し、秋に再び温暖な越冬地に帰る夏鳥。2000年春に3羽、2003年春に4羽、2006年春に3羽観測されました。

ルリビタキ①

2006年12月19日 | 南天門自然植物園
ルリビタキ(学名:Tarsiger cyanurus)のオス。春から初夏にかけて南方から渡ってきて、秋に再び温暖な越冬地に帰る夏鳥。2000年春4羽、2006年春5羽。
こんな鮮やかな色の鳥があの黄土高原にいるなんて、信じられない思いです。

ルリビタキ②

2006年12月19日 | 南天門自然植物園
ルリビタキのメス。

このように、色とりどりの様々な野鳥がこの霊丘自然植物園で観測されています。
2000年春には11種31羽、2003年春には15種54羽、2006年春には14種70羽観測されました。このように植生が回復するにつれて、少しずつ野鳥の数が増えてきています。

放牧や伐採を排除すると、自生樹種がどんどん立ち上がってきます。またヤナギハグミ(サージ)などの実をつける木が増えると自然と鳥が集まります。鳥が集まれば、鳥がフンを落とすことで、遠くから様々な種を運んでくれます。こうして山の植生は自然と豊かになっていきます。ここに猛禽類が戻ってくれば、我々の天敵であるウサギの害の軽減も期待されます。ウサギにはちょっとかわいそうですが、こちらもそんなことは言っていられないくらい、毎年植栽している苗に大きな被害を受けています。

山全体の生態系のバランスが回復するには、この先いったい何年かかるのでしょうか。破壊するのはあっという間ですが、それを取り戻すのは気の遠くなるような年月が必要だということを改めて感じています。