玄文講

日記

選挙には行かない

2005-09-05 20:25:59 | バカな話
今日、知人と話していて「来週は選挙がある」と言われ、私は「何の選挙?」と答えてバカにされた。

選挙に興味がなかったので、投票日なんてまるで覚えていなかったのである。
もちろん私は投票にも行かないつもりである。

このように選挙に行かないと言うと、「民主主義を軽んじているのか!」と怒る政治意識の高い人がよくいる。

しかし選挙権は「権利」であって「義務」ではない。私には権利を放棄する権利がある。

たしか民主主義というのは「人権」を信仰する思想であり、「自分の権利を守り、かつ他人の権利を尊重する」思想であると私は理解している。

ということは、選挙に行かないことを怒る人は他人の権利を尊重しない人間であり、民主主義を愚弄する大悪党ということになるのではなかろうか。

そんなに選挙が好きならば「民主主義的な手続き」を踏んだ上で選挙を「権利」ではなく「国民の義務」に法制化すればいいのだ。
実際、国によっては選挙は「権利」ではなく「義務」であり、選挙に行かない者は罰金を課される。選挙が国民の義務ならば私も投票に行くだろう。

また明治から昭和にかけての普通選挙制度が確立されるまでの歴史を語り、「選挙権の尊さ」を説く人もいる。

しかし過去に価値があったからといって現在も価値があるとは限らない。
今回の選挙に価値があるとは、私にはどうしても思えないのである。

それにこんな話もある。

全員が投票しなければいけないという発想がそもそも古い。
これはギリシャの直接民主制を引きずった考えである。

統計力学の教えるところによれば、選挙のサンプルは有権者の1%(任意抽出)でも十分正確な結果が得られる。

現在の投票率は50%前後もあり、多すぎるくらいである。テレビの視聴率なんか数百万世帯の動向をわずか数百世帯のサンプルで測定しているのである。


みんなにあげるな選挙権」より引用

だから選挙も各地域、各世代、各職種から数世帯を選んで投票させれば十分である。それならば管理も楽であるし、先のアメリカ大統領選のような不毛な混乱も起きずにすむ。

前にこの話を同僚にしたところ、「それでは国民は納得しないでしょう。そんな選挙で選ばれた政治家は支持されませんよ。選挙は全員を参加させることに意義があります」と言われたことがある。

確かにそうだろうと思う。
国民全員が参加できた選挙で選ばれたということが政治家の権利の正当性を保証しているのだろう。

しかし私はそんな保証には興味がない。
「自分の1票の軽さ」と「選挙に行くことで要する時間と費用」を比較すれば、家でゴロゴロしているほうが私には有意義なことなのである。


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もちろん私は選挙に行く人をバカにしてはいない。

しかし選挙に行かないと怒る人には、少しヘキエキしている。
そんな私には「みんなにあげるな選挙権」での以下の発言は愉快であった。

「自分の一票で政治を変えるために投票する」と本気で思っている人がいたら、失礼だがよほど確率計算のできない人であろう。
「この一票で政治が変わる」と考えるのは一種の信仰か妄想である。


選挙とは脳への名前刷りこみの結果でしかない。その程度の感覚で投票する者がシタリ顔で「政治に無関心はよくない」とか「棄権するのは無責任」などとのたまっている。

選挙制度最大の問題点は、棄権することよりも棄権しないことにある。みんなが投票するなんてまちがいなのだ。

政治に関心もない、主張もない、政策も知らない人が投票に行くのは無責任な行為だとハッキリ言おうではないか(ボクなんかそんな無責任なことは一度もしたことないぞ)。選挙はよく考え、よくわかった者だけが投票すればいいのである。


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全員参加する選挙制度だけが民主主義を正しく機能させるものなのだろうか?と私は思う。

山形浩生氏は選挙権の売買制度を(半ば冗談、意外と本気で?)提言している。「市場制民主主義――選挙権を売ろう!
とても面白いので、是非御一読を。

訂正とお詫び

2005-09-05 20:01:14 | 
高安秀樹「経済物理学の発見」の記事で「購買力平価」について「高」と書くべきところを「安」と書いていたので、修正、加筆いたしました。

意味がまるで逆になっていました。
嘘を書いてしまい、もうしわけありませんでした。





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それにしても、これだけ間違えたことを書いたのに、誰からも指摘されないだなんて、自分の文章はよほど読まれていないのだろう。

これが大きなサイトだったら、「なに偉そうに大ウソこいてんだ、バーカ」だとか「知ったかカッコワルイ」と罵詈雑言を浴びれただろうに残念である。

ああ、誰か私をもっとののしってください、疎んでください、怒ってください、呪い、さげすみ、責めて、石を投げてください。