現場知略

株式会社自動車情報センター、白柳孝夫の取材メモです。

政府がインセンティブを払う構造

2010年07月07日 21時58分00秒 | 新車販売

昔から自動車の販売にはインセンティブが付き物であった。
ライバルメーカーと競合した時、ディーラーで10万円、20万円規模の値引きを条件に出す。これはメーカーが支払う販売報奨金(インセンティブ)が原資である。

しかし、これは正常の状態ではない。
当時、メーカーの地区担当員と話すと「インセンティブ依存の販売体制は異状である」という認識である。
「では、何故に止めないのか?」と問うと「ライバルメーカーが止めないからである」との回答だ。
当時は、販売正常化にために業界横断で、様々な話合いがなされた。
「インセンティブで値引きだけの販売になってはまずいからね」
「営業マンの販売力が落ちてしまう」
「車の性能を説明し、ユーザーにその価値を評価して頂き販売するのがディーラーの役割でしょ」というような話合いがなされた。

海外がバブル経済に踊っていた2003年以降は、この事情が少し変わってきた。
「メーカーは環境対応技術の開発に注力するので、インセンティブも、もうあまり出せんと言っている」
「工場は海外からの注文が殺到しフル稼働だ」
「注文者の住所・氏名を言わないと、車は回せんといっている。もう、激安新古車で釣る商売はできん」・・・てな話が、販売現場では囁かれていた。
それでも、インセンティブはディーラーの利益の25%程度はあった(乗用車の場合)。
そして、今は政府がインセンティブを払う時代となっている。
でも、そのインセンティブも秋になると終わる。
そこで、自動車業界は秋以降の販売を心配している。

JAMAの国内需要見通し2010年度については、日本経済の緩やかな回復が見込まれるが、補助金が年度前半で終了することもあり、四輪車総需要は4,65万台・前年度比95.1 %が見込まれる。
登録車は300万台・前年度比94.3%
軽四輪車は165万千台・前年度比96.4 %

最近、思うことだが自動車に限らず、多くの商品が値引き、破格のオマケ付き・・・になった。
これは、政府がインセンティブを払う構造の影響と思われる。

販売力の衰退は深刻である。

 



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