現場知略

株式会社自動車情報センター、白柳孝夫の取材メモです。

物販業が滅びサービス業ばかりとなる・・・・その先に見えるのは?

2010年03月16日 20時54分09秒 | 競争政策

今日はお彼岸。菩提寺の彼岸供養会の出席して、それかはお墓参り。
そこから商店街を歩き、おはぎを買って帰る。

ほんの半月程で、商店街の風景は変わっている。
馴染みの喫茶店は閉店していた。
最後まで頑張って残っていたのに、ついに力尽きたか・・・・・。
馴染みの洋食屋は・・・建物そのものが無い。
両隣の店舗も消えうせている。
おそらくアパートが建つのだろう。

商店街を歩くと、まず物販業が最初に姿を消した。
寝具店、書店、履物店、酒屋、米屋、お茶屋、果物屋・・・消えてしまった。
続いて外食業が姿を消している。
その代わり増えたのは、マッサージ業と1000円床屋である。
今日、歩いた同じ商圏で1000円床屋は3軒もあった。
廉価販売の過当競争である。

価格破壊により物販業は成り立たなくなった。
そこでサービス業への参入が増えて、これも過当競争になる。
その先に見えるのは、共倒れである。
サービス業が過当競争で消耗すると日本には「職」が無くなると思う。

製造業の海外移転は明確になり、今後、日本では工場閉鎖はあっても、新たな工場は出来ないだろう。
労働賃金の高さだけではない。CO2削減も関係している。
昨年、施行された改訂省エネ法で、省エネ目標は、従来の「事業所別」から「企業別」へと変化した。
これにより、新たな工場を設立するのは、とてつもないハードルを越えねばならなくなった。

そこへ来て、1990年比25%のCO2削減である。
4月からタイ製マーチの輸入が始まる。

サービス業が安値競争を続ける中で、物販業はかなりヤバイ領域に入っている。
市場全体が縮小しているとは思わないが、強い業者と弱い業者・・・・体力に差が出ている。
今、問題なのは、弱小・零細な卸売業者への無理な押し込みである。
弱小・零細業者の顧客は、弱小・零細な小売店である。
これらの卸・小売は押し込まれても、商品を捌くことが出来ない。
すると飛蝗(バッタ)ルートや、見切り品市場や、倒産品市場に流れる。
それが通信販売ルートに流れ、とんでも無い価格で販売される。

通信販売のシステムが悪いのではない。
そこに仕入価格以下の捨値で商品が流れる構造が問題なのである。
弱小・零細の卸売り業者は、自分の仕入れ価格よりも安い値段で通信販売されているのを見て、ただただ暗澹となるばかりだ。
「押し込みのノルマが無ければ、私も通信販売で買いたいよ」
「でも、あの価格は業者向けとユーザー向けと区別が無いですね」
「そうなんだよ」

以前、「モノタロウの恐怖」という記事を書いた。
今度は部品番号検索システムをネットで公開した。
恐怖はさらに深刻化している。

以下は、同社の発表資料である。

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当社では、2008年5月に自動車関連業界向け商品販売事業に参入して以来、関連のPB商品開発をはじめ取扱商品の拡大に力を入れてまいりました。
それに伴い自動車業界のユーザー登録数も右肩上がりで増加しております。
今回ユーザーが更に購入しやすい環境作りのために、

MonotaROでは新たに自動車部品検索システムを導入し、自動車関連業界のユーザーの利便性を向上させます。
自動車部品検索システムとは、お客様自身が車両にあった部品情報の検索ができるシステムで、車検証情報の型式指定番号・類別区分番号、型式や純正部品番号、優良部品番号からの適合部品検索が可能となります。
全国規模の通信販売での自動車部品検索システムのWEB上への公開はMonotaROが初めての試みとなります。
自動車部品は、1車種で2万点以上、全自動車メーカーの部品数は数百万点にも及ぶと言われております。優良部品を探す際、ユーザーは販売店等に問い合わせをして回答を待つという時間と手間がかかっておりました。

そこでMonotaROでは、この検索システムを導入することで、ユーザーの部品検索時間を大幅に短縮し、個々のユーザーがMonotaROで快適かつスピーディーに商品を選択、購入ができる環境を提供いたします。

この検索システムは、型式指定番号・類別区分番号の入力で検索ができるだけでなく、型式のみを入力後に表示された一覧から車種を絞り込むこともできるようになっており、収録情報も随時最新データに更新されます。

お客様自身で検索いただける環境を提供することで、優良部品へのアクセスを容易にし、優良部品をご利用いただくことでコストの削減に貢献いたします。
今後も、新システムの導入や改良による新たなサービス提供を通じて、さらなる顧客満足度の向上に努めて参ります。

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これらの現象の大元は日本の競争政策の不備にある。
消費者利益ばかりを中心に考える競争政策は、消費者も働いて稼がないと、消費に回す金が無い事を忘れている。

金が上手く回転するには、消費者、販売者、メーカーの三者がバランス良く成長できる競争政策が必要である。
今、日本には、不当廉売の厳格な運用と米国のロビンソン・パットマン法のような規制が必要と思う。