三菱自動車の新世代電気自動車「i-MiEV」を市場投入した。ちょいとお高い、高性能の軽自動車「アイ」をベースにしたものだ。
<販売計画>
本年7月下旬より法人・官公庁・自治体を中心にリース販売する(整備も含めたメンテナンスリース)。
販売台数は1400台を見込んでいる。
個人向け本格販売は2010年4月より。ただし、本年7月下旬に受付を開始する。
リヤ・ミッドシップレイアウトのアイの特長であるロングホイールベースを生かし、
大容量の駆動用バッテリーを床下に、パワーユニットをラゲッジルーム下に搭載した。
独自の高度な車両統合制御技術「MiEV OS」を導入することで、新世代の電気自動車にふさわしい高性能・信頼性を実現した。
アイの車両総重量は900kg、電気自動車にすると1100kgで、200kg重くなった。大人4人分である。
電気自動車はモーターだけで駆動するので、走行時にCO2は排出されない。しかし、電気を作る時にはCO2は発生する。
発電時のCO2排出を含めても、アイの約1/3のCO2排出量であるという(日本の平均的な電力構成をもとに三菱自動車が試算)
<走行距離>
一充電走行距離は10・15モードで160km。
日常ユースに十分対応できる走行距離を確保した。
全国のドライバーアンケート調査の結果、1日の平均走行距離は、平日では約90%の方 が40km未満、休日では約80%の方が60km未満となっている。(三菱自動車調べ)
<充電方法>
自宅でも外出先でも充電できる3WAY充電システムを採用している。
AC200VおよびAC100V の一般用コンセントから手軽に充電ができる普通充電(標準装備の充電ケーブルを使用)と、
今後各所で設置が進む急速充電器での急速充電にも対応した。
家庭での普通充電
AC200V(15A)の場合、 約7時間(満充電)
AC100V(15A)の場合 約14時間(満充電)
急速充電スタンド
約30分(80%)
<駆動用バッテリー>
リチウムエナジー ジャパン製の、エネルギー密度の極めて高いリチウムイオン電池を搭載した。計88個の電池セルを直列に接続した、大容量の駆動用バッテリーを車体床下中央に配置。
リチウムエナジージャパンンは、 GSユアサ、三菱商事、三菱自動車の3社にて、大容量かつ高性能な電気自動車用リチウムイオン電池を製造する合弁会社。2007年12月12日に設立。
<モーター>
小型・軽量・高効率な永久磁石式同期型モーターを専用開発。
発進時から最大トルクを発生し、軽快でトルクフルな走りを実現した。47KW.
減速時には、回生ブレーキ機能により、モーターを発電機として働かせることで、回収した電気を駆動用バッテリーに充電する。
<メーカー希望小売価格>
460万円弱(車両本体、消費税込)
経済産業省が実施している「クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金」の対象になっており、一般社団法人 次世代自動車振興センターに申請し、交付決定されることにより、2009年度は139万円を上限として補助金交付が受けられる。
(車両登録前に、補助金交付申請を行い受理通知を受けていることが必要)
環境対応車普及促進税制に基づき、購入時の自動車取得税、および自動車重量税が免税となる。
なお、軽自動車アイの価格は2WDで146万円である。
----------------------------------
なお、トヨタが1997年に発売した電気自動車、RAV4EVは、出力50kWのモーターを搭載、最高速度は125km/hで1回の充電で継続走行距離は160km。価格は457万円だった。
これは、カリフォルニアの排気ガス規制(ゼロエミッション規制)に対応するために開発された。
モーター出力、一充電の走行距離、価格がほぼ同じなのである。違うのは電池が軽量コンパクトなリチウムイオンの変わったということだけだ。
電気自動車の未来に水を注すつもりはないが、一充電160kmということは、往復で160kmなのだから80kmしか遠くに行けないということだ。
一般ユーザーの一日の平均走行距離が40kmはわかるのだが、これは平均。
ある日は20km、ある日は5km、またある日は150kmと言うぐわいに平均すると40kmなのである。
自転車代わりに近所を走る時もあれば、裏磐梯の五色沼あたりにバードウォッチングに出かけようという日もある。
その平均が40kmということだと思う。
これだとEVは使えない。
近所の買い物はEVで、たまの遠出は新幹線で・・・とはならない。バードウォッチングの道具をどうやって運ぶのだ。
近所は自転車で良いので、遠出は自動車でというのがニーズであろう。
電気自動車に限界があったので、内燃機関が開発されたという歴史を忘れてはならない。
また、同様に電気自動車に限界があるので、ハイブリッドが開発されたのである