現場知略

株式会社自動車情報センター、白柳孝夫の取材メモです。

スズキの低燃費化技術に注目

2012年08月10日 10時22分00秒 | エコ

スズキは、燃料消費を抑制し燃費向上に貢献する技術として、
減速時エネルギー回生機構ENE-CHARGE(エネチャージ)
蓄冷材を通した冷風を室内に送るECO-COOL(エコクール)を開発した。

9月に発売予定の「新型ワゴンR」に搭載する。

ENE-CHARGE
・既存のアイドリングストップ車専用の鉛バッテリーに加え、リチウムイオンバッテリーと高効率・高出カのオルタネーターを併用したスズキ独自の減速エネルギー回生機構。
・リチウムイオンバッテリーに蓄えた電気をメーターやストップランプ、燃料噴射装置など、車の走行に必要な電装品の電力に利用する。

・アイドリングストップ車専用の鉛バッテリーに加え、効率よく充電できるリチウムイオンバッテリーを搭載し、より多くの電気を蓄えることができる。
・従来の約2倍の発電能力を持つ高出カのオルタネーターを採用し、必要な電力の大部分を減速時に集中して発電し、2つのバッテリーに効率良く充電する。
・通常走行時は、2つのバッテリーに充電した電力を電装品に供給するため、オルタネーターの常時発電が最小限に抑えられ、発電させるためのエンジン負担を軽減し燃料消費量を抑制するとともに、加速も軽やかになる。

・リチウムイオンバッテリーは、助手席の下に収納できる軽量・コンパクトな設計とした。

 ECO-COOL
・エアコン空調ユニットの中に蓄冷材を採用し、アイドリングストップ中の車室内に蓄冷材を通した冷風を送る機構である。この冷風により室温の上昇を抑え快適性を保ちながら、エンジン再始動時間を遅らせることで燃料消費抑制に貢献する。
・アイドリングストップ中、エアコンが停止し送風状態になった時、蓄冷材を通した冷風を室内に送ることで車室内の温度上昇を抑制する機構を軽自動車で初めて搭載。
・エアコン空調ユニット内のエバポレーター(冷媒の気化によって冷却を行うエアコン部品)の中に短時間で凍る蓄冷材を採用。

・アイドリングストップ時の快適性を保つとともに、エンジン再始動時間を遅らせ、アイドリングストップ時間を長くすることで燃料消費を抑える。


水素供給・利用技術研究組合 2015年に向けて

2012年08月08日 07時36分45秒 | 燃料電池車

水素供給・利用技術研究組合は、水素供給事業と燃料電池自動車普及を目指す民間企業により2009年に設立された。
2015年での一般ユーザへの普及開始を目指し、 実証試験での水素供給を通じて水素供給ビジネス成立のための課題を検証し、解決することを目的に設立された技術研究組合である。

ハイブリッド、プラグインハイブリッド、電気自動車に関する記事は多いが、燃料電池自動車については、殆ど情報が出てこない。
しかし、すでに今年は2012年。2015年は3年後である。

燃料電池自動車の情報が外部に出てこないのは、この技術がガソリン・軽油などを燃やす従来のエンジン技術の延長にあるからだ。
電気自動車の場合は自動車メーカーでなくても参入が可能だが、燃料電池自動車は自動車メーカーが競合他社の動向を推察しながら独自で研究・開発を推進している。そのため開発状況は極秘扱いなのである。

なお、水素供給・利用技術研究組合の加入企業は以下の通り。
こちらは共通事項である燃料電池車の発売後の水素ステーションの運用について研究している。

JX日鉱日石エネルギー株式会社
出光興産株式会社
岩谷産業株式会社
大阪ガス株式会社
川崎重工業株式会社
コスモ石油株式会社
西部ガス株式会社
昭和シェル石油株式会社
大陽日酸株式会社
東京ガス株式会社
東邦ガス株式会社
トヨタ自動車株式会社
日産自動車株式会社
日本エア・リキード株式会社
株式会社本田技術研究所
三菱化工機株式会社
一般財団法人エンジニアリング協会
一般財団法人石油エネルギー技術センター

産業技術に関する試験研究を共同して行うことを目的に、技術研究組合法(昭和36年5月6日法律第81号)に基づいて設立された法人。

平成21~22年度は、経済産業省による公募事業「平成21年度水素利用社会システム構築実証事業」を受託し、都心、成田空港周辺、羽田空港周辺に3か所の水素ステーションを配置し、燃料電池自動車・バスの定期運行を行う「水素ハイウェイプロジェクト」、北九州市に水素のパイプラインを敷設し、定置用燃料電池の面的実証を行う「水素タウンプロジェクト」の2つの実証事業を推進している。

 

 

 


日産セレナにハイブリッド車追加

2012年08月02日 10時36分05秒 | ハイブリッド車

日産自動車は「セレナ」にハイブリッド車を設定し、8月1日より発売した。

今回、「セレナ」に採用したS-HYBRID(スマートシンプルハイブリッド)は、
従来から搭載しているECOモーターの
エネルギー回生発電量と出力を高めて補助原動機化し、
蓄電容量を高めるためのサブバッテリーをエンジンルームに追加することで実現した
シンプルでコンパクトなハイブリッドシステム。
ハイブリッドシステムのすべてをエンジンルームに収めることで、
「セレナ」の特長であるクラス最大の室内空間や使い勝手の良いシートアレンジはそのままに
低燃費(15.2km/L:JC08モード燃費/2WD)を実現し、
自動車取得税と自動車重量税がクラスで唯一免税となる。

全国希望小売価格(消費税込み)238万円より


低年式車に課税?の前にやることがある

2012年08月01日 09時22分47秒 | 自動車整備

今日の日刊自動車新聞によると

国土交通省は、2013年度税制改正で自動車取得税・重量税の廃止に加え、電気自動車(EV)など次世代車に対する優遇措置の拡充を優先的に求める。
また、自動車取得税の廃止に伴う「見合い財源」として、低年式車に対する自動車税の割増税率や対象を拡大することも検討。
今後、関係業界からの意見聴取を経て、経済産業省や環境省などと正式な要望事項を月末までに詰める。

・・・とある。

自動車取得税を廃止するが、低年式車のユーザーには割増課税するという案。
これは酷いのではないか?

高価なハイブリッド、プラグインハイブリッド、電気自動車を購入する富裕層には補助金を付けて購入を支援。
一方、新車を買い換える余裕の無いが、自動車は生活に必要なので手放せない貧困・生活困窮層には重税を課す。
これを悪政と言わずして、何を悪政と言うのか?

何故、新車に買い換えないのかとアンケート調査すれば、
「まだ乗れるから」
「気に入った新車が無い」
「今の車を気に入ってるから}
等の意見がでる。

こういう人も居ない訳ではないが、大部分は「新車を買い換える余裕が無い」というのが本音である。
夫婦で月に14万円程度の年金しか入らない老夫婦が、どうやってプリウスのプラグインハイブリッドを買えるのか。

財務省から車体課税の年間税収約9千億円分(取得税約2千億円、重量税約7千億円)に相当する「見合い財源」の提示を求められる。
これは新車を買えない貧乏人への重税で解決・・・・と結論を出して、良いわけは無かろう。 

そしてもう1つの問題がある。
自動車整備の位置付けを無視している。

新車であってもメンテナンスを怠れば、その環境性能はダウンする。
古い車であっても適切に整備すれば、高い環境性能を維持する。
「古い車は環境に悪いから重税を掛けてやる」と言えるのか?

そもそも日本の車検時(継続検査)の排ガス検査は、相変わらずCOとHCだけである。
欧米ではCO、HC、CO2、O2、NOXの4ガス検査(O2、NOXの選択は国により差がある)が、かなり前から定着している。

さらに検査基準(ガソリン車)も、日本は全車種共通で2ランクしかないが、
ドイツでは、車種ごとに基準が異なり、それも各車種の工場出荷の状態から少し悪くなればアウトである。
環境への影響で重税を掛けるなら、ここまでやらないと説得力が無かろう。
当然、欧米で車検時に行なっているOBD検査を早く導入する必要がある。
ドイツではOBD検査を導入した時にアイドリング状態の排ガス検査は不要とした。

低年式車への課税の前に、やるべき事がある。