現場知略

株式会社自動車情報センター、白柳孝夫の取材メモです。

自動車保険料率の変化と補修部品市場

2012年10月29日 23時34分26秒 | 補修部品市場

昔から自動車保険料率が変わると、補修部品市場に大きな変化があった。
今回の改訂は、かなり大きな改定であるから、補修部品市場に大きな変化をもたらすだろう。
ただし、今年10月の新規契約・更新から適用される新たな自動車保険制度なので、新契約の車輌が事故を起こしてから影響が出てくる。
具体的な影響時期は少し後ろにズレルと思われる。

 昨年の秋、自動車保険料率算出機構は金融庁に自動車保険参考純率の改正を届出、受領された。
それから1年、大手損害保険各社が、今年10月以降の自動車保険契約分(継続契約含む)からノンフリート等級別料率制度を改定した。ノンフリート等級というのは、大量に自動車を保有しない等級で、ごく一般ユーザーが対象だ。

基本的に自動車保険は、損保会社にとって赤字の部門であり、これを改善するために、やむなく今回の改訂を行なった。
内容は全体的な保険料水準を値上げするだけでなく、保険等級の運用見直しまで伴った大きな改定となる。

特に自動車事故を起こしたドライバーに対して自動車保険料を大幅に引き上げる。
その結果、事故を起こしても、保険で車を修理すると、懲罰的に保険料が上昇するので、保険を使わずに修理するケースが増えると思われる。

<制度改正の概要>

自動車保険の契約者には20段階の等級が割り当てられている。
毎月支払う保険料は、基本契約の内容や車種、契約者の条件、特約の内容などで変わるが、
事故リスクが等級で管理され、等級が高いほど保険料の割引率が高くなるという仕組みは各社共通している。
また、この等級は1年間無事故ならば1等級あがり、逆に事故を起こせば3等級下がって月々の保険料が高くなる。

今回の制度改定では、この「等級」を運用する仕組みが大きく変わる。
その中でも大きなポイントになるのが、“事故有係数”と呼ばれるペナルティーの新設だ。
従来の制度では、事故などで自動車保険を使った契約者は、これまで積み上げてきた等級が「3等級ダウン」して保険料が高くなった。
しかし新制度では、この3等級ダウンに加えて、事故後3年間は事故有係数という特別に割高な保険料体系が適用される

この事故有係数による値上げ率は、事故なし係数と比較して最大50%に達する。
また、この3年間の事故有係数の適用期間中に再び事故を起こして保険を使えば、
ペナルティー期間は最大6年間にまで延びてしまう。

その結果、自損事故を中心に軽微な損傷ならば保険を使わず、自腹を切ってクルマを修理した方がトータルでお得になる。
新制度では30〜40万円くらいまでの修理であれば3等級ダウンと事故有係数適用を避けるために自動車保険を使わない方が結果として安くつくだろう。
また、「等級据え置き事故の廃止」の決まった。これまで保険が使われていた飛び石によるフロントガラスの損傷なども、保険会社のペナルティーを避けるために自費修理をする人が増えそうだ。

修理で自腹を切るとなると、少しでも安く修理したいと考えるオーナーが増えるのは自明。
・・・となれば、その結果、考えられることは。
・中古・リビルト部品のさらなる普及
・中古・リビルト部品を使用し高く請求するのではなく、安く請求するようになる。
・新品イミテーション部品市場の拡大
・そして、考えられないが純正部品値下げ

さて、どうなるか?