現場知略

株式会社自動車情報センター、白柳孝夫の取材メモです。

トヨタのエリア販売戦略

2010年12月20日 20時52分14秒 | 新車販売

トヨタ自動車は来年から関東、中部、近畿など全国ロック別の地域戦略を担当する
エリア統括部長を新たに置き、4チャネルをまたいだ営業施策展開を目指すという。

トヨタの場合、トヨタ、トヨペット、カローラ、ネッツ各店営業本部の地区担当員が各チャネルの営業施策を受け持ってきた。
メーカーから販売会社の営業店舗に至る縦の流れを重視したものだ。
「トヨタの敵はトヨタ」・・・といわれるように、
各地域でトヨタ、トヨペット、カローラ、ネッツが競争していたのである。

この地区担当員を残しつつ、チャネル間を横断する専門員を置くという。
トヨタの販売力は、この地区担当員が優秀だからであるが、これを残しつつ、
地区全体を見る担当者を置くというのは「過渡期」の処遇であろう。

この話を聞いて日産自動車が地区販売体制を採用した1990年代初頭のことを思い出した。
日産はチャネル別の販売体制を、一挙に特別の販売体制に変革した。
その後に来たのは、チャネルの統合、販売会社の合併、営業所のリストラ、そしてメーカーの販売車種の削減である。

トヨタも同じ道を行くのだろうか?
確かにトヨタの車種は「多すぎて何だか分からない」といわれる。
「売れない多くの車種より、売れる少数の車種を」との声もある。
ハイブリッド車「プリウス」は4チャネル併売車となり、これが販売台数を伸ばしたことも事実である。
日産に続き、マツダ、三菱、そすてホンダも、すでに複数チャネルを解消し、現在は1チャネルに集約した。
トヨタだけが、独自路線を取り、また、これが成功していたのであるが、今後は同じ道を進むのか?
これは自動車整備や補修部品販売(共販チャネル)にも関係する戦略転換であるため、注目し推移を見守りたいと思う。