先日、日経テクノロジーにアゥディが軽油を精製するプロジェクトをスタートさせたと記事がでていた。
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ドイツAudi社は、スイスClimeworks社とドイツsunfire社と協力し、合成燃料を生産する試験工場をドイツのドレスデンReickに開設したと発表した。
CO2と水と電気を原料に合成した燃料「eディーゼル燃料」を生産する。
Audi社は、ドイツの連邦教育研究省から資金を得て2年の準備期間を経てこのプロジェクトを進めた。
このプロジェクトには二つの重要な技術が組み合わされている。
一つはClimeworks社の保有する、周囲の空気からCO2を抽出する技術。もう一つはCO2から合成燃料を作る、sunfire社の「power to liquid」技術だ。
再生可能エネルギーにより作られた電力を使用し、水を水素と酸素に電気分解する。
水素を220℃で二つの化学反応でCO2と結合させ、2.5MPaの圧力をかけて炭化水素化合物の液体を作る。
この液体は「Blue Crude」と呼ぶ。
試験工場では、1日当たり160LのBlue Crudeを生成できる。
この80%が合成ディーゼルに変換できる。合成したeディーゼル燃料は、硫黄および芳香族化合物を含まない。
さらに高いセタン価を有し、容易に発火する。
こうした化学的性質により、化石燃料のディーゼル燃料と任意の割合で混ぜることができる。
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政府の補助金を得て、わずか2年の準備期間で目処がついたということだが、軽油を精製するプロジェクトはこれだけではない。
エプソンとシェルは天然ガスから軽油を作るプロジェクトを2000年頃からやっている。
軽油の市場価格が、まだ安いので商売にならないので、さしあたり灯油を精製している。
その内容は昭和シェルのホームページで説明されている。
http://www.showa-shell.co.jp/products/gtl/about_gtl.html
ガソリン、灯油などの石油製品は原油から作られていますが、GTLは天然ガスを原料として作られています。
ガスから液体燃料を作るので「Gas To Liquids(ガス・トゥー・リキッド)」、頭文字を取ってGTLと呼ばれています。
硫黄分や芳香族分をほとんど含まないクリーンな液体燃料です。
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軽油の市場価格が上昇すれば、いつでも製造できる技術である。
実はエプソンとシエルは、これだけではなく、藻を利用して軽油を精製する研究もやっている。
日本の研究者も「みどり虫」などを利用した燃料の生成を研究しており、この分野の競争が激化している。
現状ではリッター500円程度とのことだが、量産が可能になれば価格も下がるであろう。
軽油というのはガソリン程、精製されてないので、人工的な精製油はまずは軽油であろう。
一方、ブラジルではバイオ燃料車がすでに稼働している。
日本では食物となる植物ではなく、雑草や廃材を使ったバイオ燃料の研究が進んでいる。
これらの市場投入は原油価格の急騰でガソリン、軽油価格が上昇すれば実現するだろう。
しかし、原油価格は1ガロン100ドルから70ドルへと急落している。
当分は出番が来ないかもしれない。