昨年の秋に「車載式故障診断装置に係る情報の取扱指針(案)に関する意見募集」が実施された。(9月24日から10月25日)
スキャンツールに関わる情報公開については
「自動車メーカーはディーラーへの顧客囲い込みを完璧に行うため情報を出さないのではないか?許せん」
「ディーラーと整備工場の情報格差が広がるばかりだ」
と騒がれていたので、多くの意見が寄せられたものと思っていた。
ところが・・・・寄せられた意見は35 個人・団体のみ。
業界の関心(危機感)が高いわりには極めて少なかった。
何故なんでしょうか?
気を取り直して・・・・3月2日にパブリックコメントの結果が発表されたので紹介する。
情報開示の範囲
〇リプログラミングに係る情報や、
提供することによりスキャンツールが車両故障等につながる可能性のある機能を有することになる情報についても、
制限なく提供すべき。
<国土交通省の考えかた>
ご意見のとおり、リプログラミング等の機能は、専用外部故障診断装置又は外部故障診断装置開発情報で提供されることとしており、
特に制限を加えておりません。
今回の指針が適切に運用されるよう、努めて参ります。
〇情報提供を行う措置について、排気に係る装置等だけでなく、
エアバッグ、ABS、エンジン制御、かじとり装置、空調装置、パワーウインドー等さらに拡大すべき。
<国土交通省の考えかた>
今回の指針は、欧米の規定を参考に、国際的な整合性の観点から、同程度の内容を定めたいと考えています。
ご意見を頂戴した内容については、引き続き関係者とも相談し、検討して参りたいと考えています。
〇修正プログラムのバージョン等、現在公開されている修理書の情報について、
あいまいなものがあるため、厳密な情報提供をお願いしたい。
<国土交通省の考えかた>
規定に従って厳密に情報提供が行われる等、今回の指針が適切に運用されるよう、努めて参ります。
〇リプログラミングに係る情報を提供するようにして欲しい。
<国土交通省の考えかた>
リプログラミングの実施に関する情報は、提供されることとなっており、
ご意見を頂戴した内容が実現するものと考えています。
情報提供する車両の範囲
〇対象車種が乗用車及びGVW3.5t以下の自動車となっているが、
大型車両や電子制御を搭載する全ての車両、EV、HV、PHVを対象とすべき。
<国土交通省の考えかた>
今回の指針は、欧米の規定を参考に、国際的な整合性の観点から、同程度の内容を定めたいと考えており、
対象をJ―OBDⅡが義務付けられた自動車としています。
ご意見を頂戴した内容については、引き続き関係者とも相談し、検討して参りたいと考えています。
〇本邦における販売台数が2,000台以下であっても輸入車等にあっては、
世界への販売台数が相当量あると思われるので義務付け対象とすべき。
〇年間販売台数については「2,000台以下」ではなく「100台以下」とすべき。
<国土交通省の考えかた>
国内での販売台数が少ない自動車の取扱については、他の法令における取扱や、その費用対効果を踏まえ、
慎重に検討する必要があると考えています。
今後とも、確実に取組みを進めて参りたいと考えております。
汎用スキャンツールの機能
〇汎用ツールにも専用スキャンツールと同程度の機能を持たすべき。
〇必要最低限の機能を有するスキャンツールと、オプション機能を有するスキャンツールの2つを設定すべき。
〇使用方法等の統一された汎用性のあるスキャンツールを開発して欲しい。
<国土交通省の考えかた>
今回の指針は、欧米の規定を参考に、国際的な整合性の観点から、同程度の内容を定めることとしたいと考えており、
汎用スキャンツールの機能に関しては汎用スキャンツール普及検討会で検討しております。
ご意見を頂戴した内容については、同検討会での参考とさせていただきます。
〇スキャンツールが無くても診断できるようにすべき。
<国土交通省の考えかた>
自動車の新技術に対応した適切な点検整備の実施体制を確保していくためには、
スキャンツールの活用を促進することが有益と考えています。
〇専用スキャンツールの提供について、技術力等を条件にできるとあるが、条件を付けるべきではない。
また、仮につける場合でも条件は明確にすべき。
<国土交通省の考えかた>
専用外部故障診断装置は取扱に注意を要する機器であることから、
その提供に一定の条件を付けることが適当と考えています。
なお、条件については、明確にする等、今回の指針が適切に運用されるよう、努めて参ります。
〇専用スキャンツールの提供について、道路運送車両法第78条に定める自動車分解整備事業の「認証」
を受けていることを条件とすべき。
<国土交通省の考えかた>
適切な条件の設定等、今回の指針が適切に運用されるよう、努めて参ります。
〇専用スキャンツールの提供については、一見、良いと思えますが、
ユーザーの点検整備の依頼を受ける整備専業事業者にとっては、
高価な各々のメーカー専用機を入手する必要があり、絵に描いた餅に過ぎない。
<国土交通省の考えかた>
今回の指針制定により、専用外部故障診断装置を有償で提供する場合は、適切な価格で行うよう規定しており、
今回の指針が適切に運用されるよう努めて参ります。
その他
〇点検整備情報の提供は、改修等があった場合(排気に係る装置等)その改修後6ヶ月以内に実施とありますが
環境保全に悪影響を与える恐れがある為改修と同時に提供(可能な限り早期)とするべき。
<国土交通省の考えかた>
今回の指針は、欧米の規定を参考に、国際的な整合性の観点から、同程度の内容を定めたいと考えています。
頂戴したご意見の内容については、自動車製作者等に周知させていただきます。
〇情報提供については、公害防止、安全確保の観点から本来、無償にて提供が望ましいが
開発間接費用等、若干の費用発生は、致し方ないと思われ、なるべく安価な提供となるよう配慮されたい。
<国土交通省の考えかた>
有償で提供を行う場合は、適切な価格で行うよう規定しており、今回の指針が適切に運用されるよう、努めて参ります。
〇OBDの規格に関する意見(8件)
〇現在提供されている情報や機器の問題点に対する指摘(8件)
〇車検時の検査や、整備工場の認証基準に含める等のスキャンツール活用に係る検討を行うべき(5件)
<国土交通省の考えかた>
いただいたご意見は今後の業務の参考とさせていただきます。