現場知略

株式会社自動車情報センター、白柳孝夫の取材メモです。

自動車整備工場の整備士の給与について

2016年06月02日 02時55分58秒 | 自動車整備工場

昨日、ヤフーのニュースに以下のような記事がでた。
こういう記事は、しばらくすると消えてしまうので、以下引用する。
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自動車ディーラーの工場に整備士として7年務めたという静岡市在住の男性が、その給与明細の画像をツイッターに投稿して、悲惨すぎると話題になっている。
少し前に騒ぎになった保育士や図書館員と同じレベルだと言うのだ。
 「一年目の整備士の給料ですご確認ください。車好きなら整備士になるのやめましょう」。
きっかけは、自動車整備士になったばかりという人が
2016年5月24日に自らの給与明細をアップしたとしてこうツイートしたことだ。

整備士らの間で3000件リツイート

アップ画像では、手取りの月給が14万円強になっていた。
このツイートは整備士らの間で話題になったようで、現在は別のサービス業をしているという冒頭の男性は翌日、「多いほうやな」とツイッターで指摘。
男性は、2015年まで7年間務めたディーラーの工場における自らの明細だとする画像を投稿した。
そこには、手取りで11万円弱の給与が示されていたのだ。

残業なしのときのものだが、ガソリン代を1万円弱引かれたという。
このツイートも大きな反響を呼び、5月30日夕までに3000件ほどリツイートされた。

次々に質問も出て、冒頭の男性は、「整備士は残業が無いと辛いです」「バイトの方がマシですよw」と自虐的につぶやいた。
国家資格の整備士2級も持っているというが、手当は2000円だけだという。

職場では、忙しくなる月末に残業があるものの、月初めに早く帰らされるため、
結局、基本給しか支払われないことになるそうだ。
これだけだと年収100万円強にしかならない。
しかし、年2回のボーナスが1回20万円を超えることもあり、実家暮らしのため、なんとか生活していたと書いていた。
男性は、退職金15万円をもらって、整備士を辞めた。
給与が低いため、仲間も次々に辞めていったという。

ツイッターなどでは、同じ整備士だとする人たちから前出の2人と同様な投稿が寄せられている。
給与明細をアップして、「残業しーひんかったら 11万やで。笑 今月生きてかれへん ( ˊᵕˋ )」と告白する人がいたほか、手取りもバイト以下だとする人は、「残業しなかったら10万切るんだけどw おかしいいなぁ、整備士って国家資格なんじゃないの?」と疑問を投げかけていた。 
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引用中断

この記事は保育士や図書館員など最近、給与が悪いことが評判になった業種と並列して整備士を取り上げているが、
そういう捕らえ方は間違いである。
ここに書かれているのは「自動車ディーラーの工場の整備士」の話であって、独立系の整備工場勤務の整備士の話ではない。

そして・・・世間の常識的には・・・ディーラーのメカニック・・・良い給料
整備工場のメカニック・・・・給料悪い・・・とされてきた。
日整連の「整備白書」のデーターでも、そのようになっている。
記事は、日整連にも取材して確認しているようである。引用再開。
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こうしたネット上の書き込みは、どこまで本当なのだろうか。

整備士を雇う側の整備工場でつくる日本自動車整備振興会連合会は5月30日、J-CASTニュースの取材に事務局長が次のように話した。
“「手取りの月給が10万円ほどというのは、あまりないケースだと思います。9万の加盟事業所のうち2万ほどを調査した統計では、整備士の平均年齢43.5歳で平均年収は375万円ぐらいになっています。しかし、ほかの仕事より給与が低いという話は出ているのは事実で、こちらも様々な人材確保対策を行っています。道路運送車両法の改正で規制が緩和され、異業種からの参入も増えて価格競争が起きていることが背景にあるのではないかと考えています」

 整備士の数は、10年前より半減し、整備工場の約半数で人手不足状態が続いている。若者がきつい仕事を敬遠し、車離れが進んでいることもあるという。
国交省は、整備士の確保・育成に向けた検討会を設置し、4月15日に先進的な取り組みを事業所で共有するなどの対策をまとめた。また、厚労省では、外国人技能実習制度を4月から整備士も対象にするよう変えている。引用終了
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 しかし、このデータの引用も恣意的である。
整備白書では、デイーラー 平均年齢34.3歳 平均給与434万円
          専業整備工場 平均年齢 48.8歳 平均給与 350万円

・・・と明らかに差があるからである。
ここで問題になっているのはディーラーのメカニックの給与なのだから434万円と比較しないといけないのである。

何故に、整備士全体の話にしたいのか?この記事に答えが書いてある。

「また、厚労省では、外国人技能実習制度を4月から整備士も対象にするよう変えている。」

また・・ではなく、これが書きたいのでしょう?
保育士をはじめとして、お役人様が外国人労働者を入れたい業種については
「給料が安いのだからしょうがないでしょ」キャンペーンをやっているからだ。
しかし、業界そのもののイメージが悪くなるので、迷惑な話である。

さて、これからが本題である。

ディーラーのメカニックの給与がそれ程、良くはないのではないか?というのは、噂ではなく実態話としてある。
ディーラーを辞めて整備工場に職を求めて来るメカニックに、面接の時に前の給料を聞くからだ。

実は1995年の規制緩和以降、すでに20年が過ぎており、短時間車検が一般化し、
ディーラーの整備は「高いけど上質な仕上がり」という感じではなくなっているからだ。
そして、国産車メーカーの方針で殆ど整備する所がないハイブリット車や、電気自動車の新車販売比率が増えている。
その結果、整備では利益が取れない環境に変化しているのである。

一方で独立系整備工場の中で短時間、低価格を売りに価格競争を繰り広げている工場はディーラーと同様の運命にある。

しかし、整備技術を磨いて、顧客の声(ニーズ)を聞いて、不具合、故障に対応して来た工場は大丈夫なのである。
私が事務局長をやっているJISPAの会員工場にメカニックの給料を聞いてみた。

30代中盤の油の乗り切ったメカニックの年間給与 470万円
40代前半の工場長レベルの年間給与570万円

そんなに悪くないでしょう。

JISPAは輸入車整備推進協会という名称ではあるが、輸入車だけでなく国産車も、電子的な診断と職人芸により、
上質な仕上がりに整備することを目的に組織されたものである。
これだけの給料が払えるということは、それだけ付加価値の高い、稼げる仕事が入るということだ。

勉強中の整備士の皆さん「まずはディーラーに」就職しないで、JISPAの工場に直行しましょう。


アンドロイド・オート

2015年08月02日 13時57分05秒 | 自動車整備工場

Googleは車載システム「Android Auto」を正式リリースしたのは今年の3月。
これはAppleの「CarPlay」に対抗する車載システムである。

ここ数年、スマホのナビゲーション性能が大幅にアップ。
日本でもカーナビを買わずにアイフォンをダッシュボードの固定して、音声誘導を受けていた人達が多数いたのだが、
ついに自動車との連携が取られるようになった。
「Android Auto」はAndroid端末(スマホ)を接続することで、Androidのアプリをダッシュボードで操作できるようにしたもの。
まずは米、英、オーストラリアで正式公開された。Android端末をUSBケーブルなどで情報機器に接続することで、走行中もAndroidを車載ディスプレイ経由で利用できる。
ソフトはGoogle Playからダウンロードして使う。

日本はまだのようである。
 
昨年の発表段階ではホンダやAudiなど多数の自動車メーカーやカーナビメーカーがパートナーとして紹介されたが、最初の搭載は現代自動車の「ソナタ」であり、車載機メーカーはパイオニアであった(パイオニア、Android Auto対応製品を3月から北米などで販売)。

自動車用としたことで機能は付加された。

①カーナビ

②電話

③インフォメーション

④メディア/音楽

⑤診断

この中で整備業者が爆睡できないんのが「診断」である。

タイヤの空気圧や燃費などの情報をAndroid Autoでモニタリングできる他、お居る交換、バッテリーの状態、そしてダイアグ情報も取り出せるようになるだろう。


ボディパネルが売れない

2015年07月17日 19時45分11秒 | 自動車整備工場

 自動運転関係のセミナーに出ると、困ったことに眠ってしまうのだ。
アップルとかグーグルなどの巨大IT企業がこの領域に参入し、市場を奪ってしまうというのだが・・・

爆睡。

携帯電話の世界にアイフォンやアンドロイドが参入すると、今までのガラケーのメーカーが一挙にシェアを失ったように、
自動車でも、巨大IT企業が参入し、自動運転が2035年に実現すると言う。
この時代にはドライバーは運転手ではなくて乗客であり、
ファン ツー ドライブもズームズームも過去の夢となるとのこと。

整備工場の親父2人と3人で聞きに言ったのだが、3人とも爆睡。
「あんたテープに録音しなかった?」
「録音のボタンを押す前に寝てしまった」

ということで「さっきの、手紙のご用事なあに?」の状態であった。

周囲を見回すと、話している人も、聞いてる人も自動車業界の人ではないようなのである。
知らない人々の間で、自動運転が盛りがっているようである。

しかし、こういう道路環境で自動運転が可能であろうか?

飛行機は確かに自動運転であるが、操縦するのは特別に訓練を受けたプロのパイロットである。
しかし、自動車の方は運転免許の取得は必要とするものの、プロとは言えないのが現状だと思う。
普通の人の中に普通でない人も居て、さらに普通の人もハンドルを握ると普通でなくなることもある。

自動運転というのが、どうしても「あり」だとしたら高速道路の大型トラックと大型バスにアシスト機能として付加される程度ではないか?
この業界、完全に人出不足ですから、ニーズはあります。

そして・・・通常の道路では高齢者運転の事故が増えているので、この手の補助ブレーキのニーズは確かにある。

大衆車に装着されるのであれば、一挙に普及するだろう。
自動車整備が高度化してくると共に、補修部品でボデイパネルが売れなくなる。

今年になってボディパネルが一段と売れなくなったが、今後はさらに売れなくなり、回復することはないだろう。


次世代自動車に関する雑感

2015年06月22日 23時10分32秒 | エネルギー

原油先物市場の代表的指標であるWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)の長期的な動向である。
2008年には1バレル145ドルと・・・東京都内でも道路を走る自動車が減少したぐらいの馬鹿高であったが、
2009年のリーマン・ショックによって45ドルまで暴落。しかし、直ぐに上昇に転じて、2011年には再び100ドルに。
それから凸凹はありが110ドル~80ドルの間を上下していたのである。
これが去年の秋から50ドルまで暴落・・・半分になるのだから急落でしょう。
その後は60ドル前後で動いている。

この急落の理由は、サウジアラビアを始めとする産油国が減産して値を吊り上げるのを止めたということである。
昔2ドルだったことを考えれば100ドルなんて正気の沙汰ではないのです。
なぜに産油国が値の吊上げをやめたのか?
これは、彼らの高値戦略を追い風に新エネルギーの開発が進み、次世代エネルギーの目処が付いてしまったからに他ならない。
そこで、慌てて高値戦略を止めた。
このために米国のシェールガスの採掘が打撃を受けている。
地中の頁岩に穴を開けて化学薬品と水を高圧で送り込む採掘法は環境破壊のみならず、地震の頻発を招いたことは、米国の科学雑誌に多くの論文が発表されている。止めた方が良いのではないかと思うのだが。
フランスが逸早く、この工法を禁じておりますが、他の国でも規制されつつある。
もちろん、シエールガス以外にも多様な次世代エネルギーに研究が進んでり、原油が枯渇し、原油価格が暴騰するのを待っているのである。

日本の次世代自動車については一応は政府の計画通りに進んでいる。
しかし、実際に愛車を運転しているユーザーが、自分の車の実燃費を登録するe燃費がビックデータとして集積されたことで、色々、様子が変わってきた。

http://e-nenpi.com/

カタログ燃費と実燃費は違うのである。
実燃費については、今まで何のデータも無かったが、このサイトが出現したことで、目安になるようになったのだ。
この結果、従来型の内燃機関の燃費が年々向上し、次世代自動車に迫りつつあることが「見える化」されてきた。
確かにHVの燃費は良いが、それが一般車との価格差(50万円程度の差がある場合もある)を埋めることができるか疑問も出てきた。
実燃費でリッター24kmのHV車。年間に8000km走るとすると、333リットルである。リッター137円とすると4万5621円となる。
実燃費でリッター16kmのガソリン車。年間に8000km走るとすると、500リットルである。リッター137円とすると6万8500円となる。
差は2万3000弱であり。もし50万円の価格差があるとすると20年は乗らないと元は取れない。
HVやEVなどの次世代自動車は普通のガソリン車に比べて高価であるが、その差額を政府が補填することで良く売れているのである。

そしてEVであるが、小型コミューターやオートバイ等には可能性が大きいが、乗用車というのは無理なのではないか?
電気自動車がマスコミに注目されるのは、いつも米国が時々、思いついたように「ゼロエミッション」規制をやるからだ。
これは全ての車をゼロエミッションにする規制なのでは・・もちろん・・ないのです。
一定の地域に「ゼロエミッション車を何台か売って呉れや」という規制なのである。
行政府がこうした規制を思いつくたびに電気自動車は必要になるのだ。
電気自動車が発売されれば地域の環境オタクが購入する。
ですから一定程度の販売は可能である。その程度のものなのだ。
米国
テスラモーターズの電気自動車革命・・てな記事が多いけど、本当かしら?
今、予定されているゼロエミッション規制に対応したものではないのか?

実際に彼らが狙っているのは、家庭用の高性能低価格な蓄電池ではないか?
これが出来ればエネルギー問題が解決されてしまう。
日本でも既に省エネ法が改正されて、蓄電池の設置が一部には義務付けが始まっているのである。


専業工場と兼業工場の間

2015年03月15日 08時31分49秒 | 自動車整備工場

以前は国土交通省が実施していた「分解整備業実態調査」は、今は日整連が独自で実施している。
実は以前も日整連が国土交通省の委託により実施していたわけなので、調査そのものは大きくかわっているわけではない。

この調査で分解整備事業者は専業工場、兼業工場、自家工場、ディーラーに分かれている。

自家工場は運送会社、タクシー業者等の自家工場であり、ディーラーは新車販売業者のサービス工場である。

問題は専業工場と兼業工場である。

専業工場は全売上の中で整備売上が50%を超える工場、兼業工場は50%以下の工場である。

私が、この調査報告書を最初に読んだのは1980年であるが、この50%のラインの意味することについて疑問に思い、
あちこちに電話を掛けて聞いてみた。

この時代はカーショップやガソリンスタンドなどが分解整備市場に参入する前であったので兼業工場と言えば、新車及び中古車を販売している整備工場を意味していた。

新車はディーラーが販売するものだと思っていたが、調べるとそうでもなかった。

まずはサブディーラーというものがあった。
これは都道府県庁所在地にはあまりなかった。
県下に二番目、三番目の都市にもなかった。
都市の郊外のさらに外側で郡部との境あたりにある中小都市で、独自の文化を持った歴史のある町に存在した。

こういう都市には、ディーラー網ができる以前に、メーカーと直接、新車の販売契約している整備工場があった。
訪問してみると、社長はその地域の名士であり、趣味人で魅力的な人物が多かった。
メーカーも「ディーラー網が出来たので、もう契約やめる」とは言えない何かがあった。

このメーカー直のサブディーラーとは別にディーラーと契約しているサブディーラーがある。
ディーラーより「この地域の新車販売はあんたに任せる」ということでスタートしたのだが、
やがて、ディーラーの規模が大きくなると「100%任せるわけにはいかないもんね」とどんどん営業マンが攻め込んでくる。
訪問すると、ディーラーに不満たらたらの経営者が多々居た。
その後、盛んに吹聴される「ディーラー脅威論」は、この人達が発祥ではないかと思う。
整備工場とディーラーとは客層が違う。過度な脅威論は無用の混乱を招く。

さて、この2つのサブディーラーは、ディーラーであるから新車販売のノルマがあり、達成すれば報償、達成できなければ立場を失う。
整備工場であっても、ディーラーと同じ感覚を持っている。

この他に、軽自動車については業販店制度がある。
以前も見たデータでは軽自動車の新車の50%程度は業販契約をした整備工場で販売されている。

これらの工場は、ノルマを達成すれば兼業工場になるだろう。
整備の1台の売り上げは4万円程度だが、新車1台売れば100万円は超える。
100万円として売上面では25台の車検と同じになる。
150万円なら38台である。
もちろん年間1台では「業販店馘首じゃ」となる。それなりに売らねばならぬ。
こうした工場の経営者に話を聞くと
「車両販売の売上は整備に比べると驚くほど大きい。でも、経費を差し引いた利益は、驚くほど小さい」と嘆く。

これらのサブディーラー、業販店の下に「紹介マージン」の世界がある。
工場の顧客に新車を紹介してマージンを戴く。
これは手数料収入であり、雀の涙と言われる。
手数料だけで兼業工場になるのは、無理だと思う。
この紹介にもノルマがある。

「兼業工場と専業工場の境は曖昧で、ある年はクルマが売れたので兼業工場、ある年は売れなかったので専業工場になる」と言う人もいるが、理屈ではそうなっても、実際にはそうならない。
専任の営業マンを雇い目標を決めて確実に売らなければ、相手にされないし、良い条件での販売はできない。
ある年は専業工場で、ある年は兼業工場になるレベルというのは????である。
小規模の中古車販売業者の工場では考えられるが、小規模の中古車販売業者は整備工場を併設していない。


やはり専業工場と兼業工場の間には、深くて暗い河があるように思う。
1995年の規制緩和でカーショップ、ガソリンスタンド等の異業種が参入してから、この傾向はさらに明確になった。

専業工場と兼業工場は別の業態なのである。
実数として兼業工場は6500工場弱である。
今ではカーショップ拠点の殆どが車検をやるので、そのうち1000工場はカーショップであろう。
後は一部の昔から整備を取りこんでいるガソリンスタンド。
別にGSS併設とは限らない。
GSSの経営を辞めて、その土地で整備工場をやってる例もある。
場所が良いからリース車専門工場になっている場合もある。
そして、伝統的なサブディーラー、業販店、中古車販売店である。

 

 

 


駅前商店街「丸山食堂」の肖像

2015年03月14日 10時24分03秒 | 自動車整備工場

私が毎日、乗降している東京都内の私鉄駅。
その駅前商店街に出店した飲食店の盛衰は実に激しい。
個人営業の飲食店は1990年代に消え始め、その跡地に全国チェーンのFC店が出店した。
しかし、多くは長く続かないで閉店して、その跡地に別のチェーンのFC店が入る。
その店も、しばらく頑張るのだが、ある日、突然に「閉店のお知らせ」が貼り出され、静かに消えさる。
しばらくすると工事が始まり、また別のチェーンのFC店が入る。
これだけ盛衰が激しい中で、1980年頃から30年以上、生き残っている店がある。
間口一間半のカウンターだけの定食屋である。
全国チェーンのFC店のような、お洒落な外観では全くない。
殆どの人が気付かずに通り過ぎてしまうのではないかと思うような、しみじみ地味な外観である。
いったいどんな客が入るのか?
このような定食屋を好む実質本位の顧客層が確実にあり、その固定客だけで長年、続いている。
宣伝も、キャンペーンもやったことがない。
それでも、新規の顧客はやってくるし、古い顧客は移転とか死去で、去っていく。
新しい顧客の増える数と、古い顧客の減る数が、不思議と同じなので、いつも適当に空いている。

古くから続いている商売の顧客はこのようなものである。
もしも丸山食堂が評判になり店の前に行列が出来たら、まずは従業員を増やさねばならない。
調理人を増強して厨房も改装する必要がある。
すると、採算が合わなくなり、従来通りの商品を提供できなくなる。
ひっそりと、目立たぬように存在することが生き残りの秘訣なのである。

自動車整備工場も長年にわたり、ひっそりと目立たぬように存在している。
工場の外観は全国チェーンの自動車ディーラーやカーショップにように、意匠を凝らしたデザインでは全くない。
「いったい誰が入るんだ」と思われる地味な外観である。
しかし、このような工場を好む実質本位の顧客層(全整備市場の37%程度)が確実にあり、
その固定客だけで長年続いているのである。

この自動車整備工場の地味すぎる佇まいを見て、
これらの工場は必ず滅ぶであろうと言っていた人は1980年代から居たのであるが、
2015年になっても、そのままの佇まいで存在し続けている。

さて、丸山食堂であるが、外観からも親父さん一人で切り盛りしているところからも、
個人経営に雰囲気が濃厚に出ているのであるが、実はチェーンに加盟しているのである。
個人では、豊富なメニューを安価で提供するには苦労する。
食材はノンブランド(会社名・チェーン名が書かれていない)のバンで毎日、届いている。
食材を調理するのは料理人の腕であるが、食材の部分は共同購入・共同配送がおこなわれている。
個人経営の良さを生かしながら、これをサポートするシステムができているのである。


車両のOBD情報を電波で飛ばす

2015年01月10日 17時59分29秒 | 故障診断装置

OBDとは車載式故障診断機のことである。
このシステムの活用法については平成15年(2003)から国土交通省を中心検討されている。

国土交通省の広報資料では排気ガスの異常がメインとなっているが、これは米国のOBD規制が排気ガス規制としてスタートした名残である。実際にはブレーキ、ABS、エアバックなどの安全装置を始め、車両の様々な部位の故障情報がOBDに蓄積される。

この車に搭載された故障診断装置へのアクセスは、車が整備工場に入庫した時にスキャンツールと接続して行うわけだが、ユーザーが工場に来て戴けないと取り出すことができない。

そこで、OBDとスキャンツールを繋ぐ部分に通信機を取り付けて、故障情報を電波で飛ばせばリアルタイムに車に状態が把握できる。
ボッシュはBCSを対象に展開中だが、まだ本格的な普及状態ではない。
整備工場としては「入庫したらスキャンツールに繋げば良いんじゃないの」ということで「ディーラーがテレマテックスを活用し整備情報を収集し、営業攻勢を掛けてきたら考えるわ」という状態だ。

なお、ランチテックの商品は電波では飛ばさない。小型のカプラー内に記録するというものである。



この手のシステムのひとつではあるが・・・・

2015年01月05日 21時48分06秒 | 故障診断装置

こういうシステムは理論的には数年前から考えられており、既にスタートしているのもあるが、未だに「実験的に・・」スタートしている段階で、次に進まない。

その理由は極めて簡単である。

OBDに蓄積された情報を読み解き、修理できるメカニックが圧倒的に不足しているからである。

この米国のシステムも、最後はメカニックのリストに至る。

実力のあるメカニックが求められている。


三菱商事のシェールガス開発

2015年01月03日 20時20分20秒 | エネルギー

大阪ガスと住友商事が「スカ」を引いたことばかりが報道されているが、
三菱商事の開発の経緯は以下の記事にくわしい。

http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/mclibrary/business/vol2/


水素の値段が決まった

2014年12月26日 09時27分14秒 | 燃料電池車

当社商用水素ステーション1号店の開所および水素販売価格の決定について.

  当社(社長:杉森 務)は、本日、神奈川県海老名市に当社の商用水素ステーション1号店を開所するとともに、水素販売価格を「1,000円/kg(消費税抜き)」とすることに決定しましたので、お知らせいたします。

   当社はこれまで、次世代自動車振興センター「燃料電池自動車用水素供給設備設置補助事業」の採択を受けて、23ヵ所の商用水素ステーションの開所に向けた準備を進めてまいりました。

  本日、「Dr.Drive海老名中央店」において、サービスステーション一体型の水素ステーションとして、水素の販売を開始いたしました。

  「Dr.Drive海老名中央店」は全国初のサービスステーション一体型の水素ステーションであり、燃料電池自動車(以下「FCV」)への水素充填をはじめ、洗車やタイヤ交換などのカーメンテナンスを行うことが可能です。

 今年度内には「Dr.Drive海老名中央店」に加え、東京、神奈川、埼玉、千葉および愛知の1都4県に合計11ヵ所(単独型水素ステーションを含む)の水素ステーションを順次開所し、水素販売を開始してまいります。

   水素販売価格につきましては、先般販売が開始されたFCVと同クラスのハイブリッド車に必要なガソリン代と同等の水準に設定いたしました。お客様の経済性を考慮した価格設定とすることで、FCV普及を積極的に後押ししていきたいと考えます。


水素販売価格 : 1,000円/kg(消費税抜き)

※本価格は、ENEOSの水素ステーションすべてに適用いたします。

※販売数量単位はkg(小数点以下2桁まで表示)です。

※水素価格は、経済状況や販売環境などの諸条件により変更する場合があります。

※お支払いには、現金、ENEOSカード、各種クレジットカードなど幅広い決済手段をご利用いただけます。

   水素は様々なエネルギー源から製造することが可能であり、エネルギー効率が高く、利用段階でCO2を排出しないことから、エネルギーセキュリティの向上や環境負荷の低減に貢献する、次世代の有力なエネルギーとされています。
   当社は、水素製造ならびに自動車用燃料供給に関わるインフラやノウハウを活かし、水素の「製造」・「輸送」・「販売」の効率的なビジネスモデルの構築を通じて、水素社会の実現に向けて貢献してまいります。

【Dr.Drive海老名中央店 水素供給設備 概要】

所在地 神奈川県海老名市中新田398-1
運営者 株式会社ENEOSネット
敷地面積(※1) 3,300m2(1,000坪)
水素の製造・輸送方法 オフサイト方式(圧縮水素を水素トレーラー等で輸送)
水素供給設備 圧縮機、蓄圧器(カーボンファイバー複合容器)、冷凍機、充填機など
供給能力(※2) 300Nm3/h
充填圧力(※3) 70MPa(メガパスカル)
充填時間(※4) 約3分間

※1サービスステーション部分面積を含む総面積。
※2FCV1台に充填できる水素量は最大50Nm3とした場合、1時間当たり5~6台に充填可能な能力。
※3現在販売されているFCVに搭載のタンク使用圧力に対応したもの。
※4国際標準規格に基づく70MPa(満タン)までの充填時間。
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EVへの電気の充電値段はなかなか決まらなかったが、水素の値段は直ぐに決まった。
膨大な設備投資の費用を入れたら、とてつもない価格になるだろう。
どうするのかな?と思ったら、同クラスのHV車に必要なガソリン代と同等の水準ということで、
議論の末に「エイヤッ」と決まったものと思われる。

1回充電したら650km走行可能ということは、次はいつ入庫するのでしょうか?と心配してみる。