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怪奇大作戦~呪いの壺~

2006年05月12日 | 怪奇大作戦
DVD 怪奇大作戦 Vol.6

ビクターエンタテインメント

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 いよいよ来ちゃいました。ラスト3話となりました。(くどいようですが、第24話『狂鬼人間』は永久欠番でない事になってます。いつの日か、復活してほしいと願うものであります。)この3話が傑作ぞろいと聞いていたので、大変楽しみにしていました。どんなもんでしょうか・・・まずは第23話『呪いの壺』です。脚本・石堂淑朗、監督・実相寺昭雄のコンビが描いた怪奇ロマンは、すげ!の一言です。まずは、あらすじをどうぞ。
 
京都で奇怪な事件が発生した。5人の老人が、掘り出しものの壺を鑑賞中、怪死を遂げたのだ。被害者の神経腺は赤く変色し、特に視神経は完全に破壊されていた。京都府警の依頼で京都に赴いたSRIは、日野統三という古美術商の青年の訪問を受ける。被害者は、皆、統三の勤める市井商会の得意先だったのだ。翌日、市井商会でSRIと町田が見たのは、統三と主人・市井の確執だった。市井の娘・信子は、統三と懇意であったが、そのことを市井は知らないようだ。統三は、三沢と野村が後を付けているのを承知で、信子を伴って故郷へ帰る車中の人となる。
 統三との幸せな結婚を夢見ていた信子は、日野家の秘密を目の当たりにしたとき、それが無惨にうち砕かれたことを知った。日野家、それは、市井家のために代々偽壺作りを強いられてきた「家」だったのである。そんな鬱屈した感情を秘めていた統三は、自分の余命が残り少ないことを悟り、市井家への復讐を始めたのだった。

 本エピソードが成立したのは、京都という街があってこそだと思いました。古典美、因習、抹香臭さ、そういったものが渾然一体となって独特の世界を作る街、京都。そこに実相寺昭雄の映像フィルターがかかって、異次元に迷い込んだ錯覚を覚えます。
 今回ばかりは、SRIの面々も完全な脇役です。何といっても、日野統三役の花ノ本寿(ハナノモトコトブキ)氏がすごいです。勤め先市井商会の娘信子を手玉に取り、リュート物質を贋作壺に仕込んでは成金趣味の老人達を殺し、それを発覚させることで主家市井を滅ぼそうと画策する男。肺病を病み、己に流れる血を呪い、滅亡へと突き進むことを楽しむ男、統三。
 彼が死に場所として選んだのは、市内のとある寺。「この寺は本物か偽物か・・・、わしの道連れやで!」そう言った途端に咳き込み、リュート物質が大気中にばら撒かれ、それによって寺の本堂が一気に燃え上がる!このシーンは実在の寺の1/6スケールのミニチュアを組み、それを炎上させたそうですが、すごい迫力です。屋根瓦の一枚一枚まで丁寧に作りこんであって、さすが円谷さんだ・・・とため息がでます。そのクライマックスシーンまで、緊張の糸を一人で引っ張っているのが日野統三なのです。彼無くして、この作品は成り立たなかったと思います。
 花ノ本寿さんは日舞の家元をなさっていて、最近はテレビドラマや映画への出演はないようです。しかし、この演技を見てしまうと、他の出演作品も見てみたい気が強くします。


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