改正労働者派遣法 (2015年9月30日施行)。
派遣労働者のキャリアアップや雇用安定を目的に、同じ職場で働く期間を最長3年とした。
派遣元には (1)派遣先に直接雇用を依頼 (2)別の派遣先を紹介 (3)派遣会社で無期雇用を義務化した。
派遣元に努力義務として、派遣労働者の希望に応じた措置を講じるよう求めている。
2018年7月17日(火) 9:34 配信 西日本新聞。
9月の義務化前にベテラン派遣切りが横行。
改正労働者派遣法の施行から9月30日で3年を迎えるのを前に、
ベテランの派遣社員を中心に 【雇い止め】 に遭うケースが相次いでいる。
改正法では、同じ職場で働くのは最長3年で、
3年を超える場合は、派遣元が派遣先に直接雇用を依頼する-などの雇用安定措置が義務化された。
その義務が発生する前に契約を解除すれば、企業側は高待遇の正社員などに登用しなくて済む。
大分県内の製造会社に勤めていた40代のAさんは、専門書類の作成業務を15年以上担ってきた。
今年2月、契約は夏までと告げられた。
3カ月更新で働いてきて、法改正から2年9カ月での雇い止めだ。
あと1回更新すれば、希望していた正社員への道が開けるはずだっただけに「十数年を無駄にした」と肩を落とす。
「改正労働者派遣法は、大量の派遣切りにつながっている」の指摘も。
同じ会社で秘書として10年勤めるBさん(42)も今夏で雇い止めになった。
仕事量は正社員と同等で残業もこなしてきたが、時給は1030円。昇給は10年で10円だった。
次の仕事を探すため、前倒しで春に退職を願い出たが、
上司には「ちゃんと引き継がないと正社員の新人がかわいそう」と聞き入れられなかった。
法改正は派遣労働者のキャリアアップなどを目的としている。
ただ、派遣元から直接雇用を依頼される派遣先にとって、
受け入れは努力義務にとどまるため、当初から実現の可能性は低いと指摘されてきた。
労働問題に詳しい井下顕弁護士(福岡市)は、9月末までに2人のようなケースがさらに増えるとみており、
『派遣社員を切り捨てないための改正だったはずなのに、大量の派遣切りにつながっている。
ただ、違法とはいえず、間接雇用の救済措置も少ない』 と指摘する。
「法律を言い訳に雇い止めになった」 の相談も。
弁護士らでつくる 【非正規労働者の権利実現全国会議】 (堺市)は昨年9月から、
派遣労働者を対象にアンケートを実施した。
2018年5月12日までに95人から回答があり、
うち43件は「法律を言い訳に雇い止めになった」などの相談だったという。
事務局は 『既に諦めている人も多いのではないか。声を寄せてほしい』 と呼び掛けている。