魚を大事にしない日本人シリーズ R6-6
ROUND6 頼みのツナ(マグロのプロフィール・枯渇防止)
マグロは長距離ランナーと短距離ランナーを兼ね備える優秀な“二刀流”
このROUNDは、マグロの生態や枯渇防止の説明をしております
マグロは、前号の機能的なスタイル(外形)だけでなく、体内・内部も外洋で生活していくのに適しています。基本的に、常に泳ぎ続けることができる長距離ランナーでしょう。但し瞬発力も持ち合わせているため、時々は短距離ランナーにもなり得ます。一般的に魚の筋肉は、血合筋と普通筋の2種類があります。血合筋は巡航速度で泳ぐ際に使われ、普通筋は餌を捕捉する際や逃げる際など瞬発力を必要とする際に機能します。マグロは2つを備えた、優秀な“二刀流”なのです。
瞬発力を発揮する普通筋は、反面、乳酸が蓄積して疲労しやすい短所があります。マグロは、ある程度の高スピードを維持しながら、白身の魚より長い時間疲れずに泳げるのは、普通筋も赤身であるのが大きな特徴です。赤身はミオグロビンとミトコンドリアという呼吸に関係する成分をふんだんに含んでいます。そのためマグロは、水中の酸素を大量かつ効率的にエネルギーに変えて、長時間泳ぎ続けることが可能となるのです。
さらには、マグロは熱交換システムが非常に発達しています。この場合の熱交換システムとは、酸素を取り込んだ冷たい血液を常に温める仕組みのことです。血液が温かくなれば筋肉も温かくなり、結果として常に泳ぎ続ける巡航が可能なのです。このようにマグロは他の魚に比べ、異色の持ち主です。それも、“魚の王様”と言われる所以(ゆえん)ではないでしょうか。やはりマグロは、体形・肉質・呼吸法・酸素の利用方法など、外洋で生活することに特化した魚と言えます。