石井彰のテレビ考現学◇「やめよ自民党総裁選のＴＶ電波ジャック」放送の使命を守れ／少数派

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石井彰のテレビ考現学◇「やめよ自民党総裁選のＴＶ電波ジャック」放送の使命を守れ



■総裁は誰？テレビに求められるのは騒がしい予想屋＝政局報道ではなく菅政権の徹底的検証を
しんぶん赤旗の記事を活用しています／先週９月３日金曜日、「菅首相辞意」「自民党総裁選に出馬せず」のニュースが飛び込んできました。菅首相は「新型コロナウイルス感染拡大防止に専任したい」と、一方的に記者団に語り、質問には一切答えず逃げるように去りました。なぜ総裁選に出なかったのか？　負けるとわかったからです。わざわざ記者たちに見られる官邸で連日、首相と会っていた小泉環境大臣は「現職の総理総裁が総裁選に突っ込んでボロボロになってしまったら…」と、涙ながらに不出馬の一端を明かしました。大恩人の二階幹事長を切ってまで媚（こ）びを売ったはずの、安倍、麻生氏から支援を確約してもらえなかったのが、じつは辞任の真相でしょう。また最も応援してくれるはずの地元、自民党神奈川県連の土井幹事長から「特に菅氏を頼むという運動をするつもりは一切ない」と見放されました。

理念など何一つなく強権をふるってきたのに、伝家の宝刀である「解散権」も、人事権も行使できない権力者の末路は哀れでした。でも同情している場合ではありません。菅首相はＧｏＴｏキャンペーンや東京五輪・パラリンピックを強行して、新型コロナウイルス感染症の拡大を招きました。デルタ株の流行があっても過小評価して、臨時病院すら設置しませんでした。「ワクチン接種が広がれば」と妄想を抱き続け、２回接種しても感染して重症化する、現在の事態を放置しました。「総裁選とコロナ対策は両立できない」と発言した菅首相。あなたが指揮をとるかぎりコロナ感染症は鎮静化しません。些細（ささい）なことですが「専任したい」と明確に発言したのに、ＮＨＫや民放が「専念したい」と勝手に書き換えて、文字スーパーしたのには疑問が残ります。

テレビは次の総裁は誰？と騒ぎ始めました。まさに自民党のＰＲ＝電波ジャック。いくら表紙を変えても自民党の中身は変わらないでしょう。いまテレビに求められているのは、ただ騒がしいだけの予想屋＝政局報道ではなく、現在の政治への徹底的検証です。野党にも時間を割いて、各党の政策や実現性（言うだけならなんでも言える）を比較検討してください。「選挙の争点と政党の違い」を有権者にわかりやすく伝え、関心を持てるようにすることです。民主主義の発展に寄与することが放送の使命です。感染した人を見捨てる、貧しい政治を転換する新たな報道を期待しています。

▽プロフィール　石井　彰　氏
放送作家、ラジオ番組の構成作家として活動する傍ら、ラジオ・テレビのドキュメンタリーの企画・構成を担当し、日本民間放送連盟賞、ギャラクシー賞などを受賞する実績を持つ、武蔵大学非常勤講師、「石井彰のテレビ考現学」は、しんぶん赤旗の連載コラム

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投稿者からのひと言／ＴＶメディアは自民党のお先棒を担ぎ、やかましい。連日の報道にうんざりする。ジャーナリストの青木理氏やテレ朝社員・玉川徹氏も、コロナが深刻なのに・臨時国会も開かず・ＴＶは総裁選の政局一色に、こういうことでいいのか？と疑問を投げ掛ける。と言う両氏も、自らその番組に出ていることに苦笑する。総裁決定者がやがて首相になるとはいえ、単なる１政党の事情を大々的に報道することは非常に不公平だ。自民党も大きく報道されれば、内閣と自民党の支持率が上がることは承知済なので、意図的に盛り上げる。政府と自民党は、御用ジャーナリスト田崎史郎氏をＴＶ局に送り込んで連日のＰＲ作戦だ。それこそメディアはこうした機会を捉え、安倍・菅政治の悪政を検証すべきだ。それがメディアの健全な役割なのに。あれほど菅政権の失敗に憤った国民は、首相が変わればすぐ賛同する。実に馬鹿げたことで、政治のカラクリを知らない。また１年後に、菅氏の例のように落胆するだろう。当初は、７０％以上の支持率だったのに。操り人形だったゆえに、「黒幕」に糸を切られて身動きできなくなった。従っていくら看板を変えて新首相になっても、黒幕の安倍・麻生、あるいは逆の立場の二階幹事長に牛耳られている。有力とされる岸田・河野候補も、黒幕と官邸の呪縛から逃れられない。つまり誰になっても黒幕の顔色ばかり見ていては、国民にとって肝心のコロナ対策が大きく進むとは思えない。総裁選報道を見たい人も見たくない人も、そうしたスタンスでいるべきだ。最後はいつも総裁選の時期になると投稿者が使う安倍・麻生陣営へのダジャレ～「石破氏（石橋）を叩いて渡る総裁選」。石破陣営には、「晋三（心臓）破りの総裁選レース（ボストンマラソン）」。


武田砂鉄氏コラム◇総裁選候補者へ！「なぜ黙っていたのですか」自民党の悪行・国民無視