有機化学にっき

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JACS ASAP

2006-12-15 07:47:19 | 新着論文
Using Triethynylphosphine Ligands Bearing Bulky End Caps To Create a
Holey Catalytic Environment: Application to Gold(I)-Catalyzed Alkyne
Cyclizations

トリアルキニルホスフィンのカチオン性金錯体を用いた、acetylenic keto esterの分子内環化反応。高効率に加え、金触媒による1,7-enyneの 6-exo-dig環化は初めてと独特の反応性とのこと。

北大澤村先生のグループ。
トリアルキニルホスフィンは、その構造からリン原始周りの立体に影響を与えずに電子的に影響を制御できるメリットがあるそうです。しかし、配位モードがホスフィンからのη1のみでなくなったりすることから、触媒反応への応用は報告がなかったそうです。末端の立体障害を大きくすることで(トリアリールシリル基)制御しつつ、かつリン周りのキャビティーの大きな配位子を開発というコンセプト。
非常に速やかに環化が進み、また、ホスフィンを各種検討して電子的、立体的な影響を検討しています。現状では断定はできないようですが、コンセプト通りのキャビティーが重要な役割を担っているとのこと。

銅触媒でのホスフィンへのアルキン付加、リン配位子なのに酸化されにくいなど勉強になりました。キャビティーの考え方が立体的なものなのか、活性部位が安定化されているのか、いまいちわかりかねます。デンドリマー触媒のことを思い出しました。構造やこのタイプの配位子が使われると面白そうです。