有機化学にっき

気になった有機化学の論文や記事を紹介。

JACS 2006, 128, 1038.

2006-04-03 20:21:08 | 新着論文
Lewis Base Activation of Lewis Acids. Vinylogous Aldol Addition Reactions of Conjugated N,O-Silyl Ketene Acetals to Aldehydes

Lewis塩基触媒によるγ位選択的アルドール型付加反応。不飽和モルホリンアミドから調整したN,O-Silyl dienyl ketene acetal を用いると高収率・高選択性で反応が進行して、γ-hydroxy-α,β-unsaturated amideが得られる。

Denmarkのグループ。γ位の選択性は、アミドがA-strainで共役に入らずに立体で決まっているような気がしますがどうなんでしょう。Lewis塩基触媒のアルドール反応は遷移状態がいまいち理解できていません。
著者らによるとポリオールを有する天然物合成に応用するとのこと。条件も温和ですので使える反応に見えますが、どうなるでしょう。

今年も1/4が終わり

2006-04-03 19:56:39 | 日々の研究
博士論文の審査が終わってからというもの、振り返ってみれば指示待ちで意外と動けず、受身に回ってた二ヶ月。スポーツでも何でもよく言われるのが、1日サボると取り返すのに3日かかる。半年以上取り返すのにかかるのかと、生産性の感じられない作業をしていることや、世界のPDは自分の十倍以上の速さで今日もデータを出しているんだろうなという不安と焦りを感じる一方、今のんびりしているのも懐かしく感じられるときが来るだろうなと、仕事の目標がない時期を楽しんだ時期が、2006年3月。
化学会春年会へ行かなかったことは少し後悔。


いくつかあったことをメモ

1.終了証をとりに行った帰り、修士卒で企業に行った同期とばったりバスで出会った。彼女も終了証をとりにきたところ。論文博士をとりに、大学にきているというのは大学のHPで知っていたのだが、顔をあわせることもなく、4年ぶり。時間を貰って話をしたところ、企業から論文博士の制度がないので、補助など一切無く、自腹で博士をとりにきたとのこと。制度がないところで動いたことに尊敬した。奥ゆかしい人なので、「先生が推してくれたから」「運がよかったのもあるね」と言ってはいたが、4年で論文博士で業務の一方でというのはすごい。この先、まとめた成果や資格としての学位を、どう活用していきたいのかは個人的なことと思い、聞かなかったけれども、夢や目標に向かって頑張って欲しいと思いつつ、刺激を受けた。仕事の上でのビジョンを俺も掲げられるようにしようと思った次第。


2、「化学者たちのネームゲーム」を読み返して、構造化学や反応開発のネタが転がっていることに驚いた。以前読んだときよりも知識が増えているせいか、書いてあることが以前よりわかることや別途合成を考えたりと、「情報は受け手の能力に比例する」を実感。


3.コリアンネタ。友人の引越しの買出しに付き合い、歌舞伎町のドンキホーテに行った。・・・日本語が恋しいと思うほどのコリアタウン
大学の留学生会館に行ったときでさえ、あれほどの異国に迷い込んだ感覚を味わったことはない・・・
「おぉ、ここがあの有名なホスト愛かー」などとのんびり歩いていた数分前の雑踏はどこへやら。
日韓交流とかビザ免除とか、あそこを30分くらい歩くだけでやってはいけないという暗い気分にさせられた。
電車で行ける韓国。

4、本日、入社式も終わり、研修も始まり心気一転。
皆ピカピカですのぉ。