『茶色の朝』
フランク・パヴロフ 文/ヴィセント・ギャロ 絵
高橋哲哉 メッセージ/藤本一勇 訳 大月書店
ある日、ペットの毛色を茶色に統一する法律が施行され、
友人のシャルリーが、自分の愛犬を安楽死させたと
告げる会話から、話ははじまります。
その理由は、テストによって、「茶色がもっとも都市生活に
適していて、子どもを産みすぎず、えさもはるかに少なくて
すむことが」証明された、ということらしい。
少し前に猫を処分していた俺は、まさか犬まで・・・と、
妙な感じを持ちながらも、さほどおおげさに反応することなく
ことは過ぎていきます。
そうしているうちに、シャルリーが愛読している新聞が、
その法律を批判していると発禁になり、
その系列出版社が、図書館や本屋から強制撤去・裁判となり、
会話にもわざわざ「茶色」をつけなければいけないほど、
気を遣うようになっていく。
何かおかしい・・・。
でも、お互い、すぐ「茶色」の犬と猫を飼い始め、
「茶色に守られた安心」を悪くないとも思っている。
状況に慣れ、流れに身をまかせたまま、考えることも放棄して。
そのうち身に迫ってくる危険のことなど、つゆも考えず・・・。
ほんの数十ページの薄い絵本なのに、読んでいる間中
うすら寒さを感じ、読み終わるといつも、
怖くてしかたなくなります。
たんたんと静かに語られるからなおさら、恐い。
「茶色」はフランス人にとって、ナチスのイメージ色であり、
極右、全体主義の象徴なのだと、この本で知りました。
ファシズムの台頭への警鐘とともに、ファシズムは
わたしたちのそういう無関心や守りが作り上げていくもの
なのだということを、ひしひしと感じさせます。
でも、これに似たようなことを、身近なことで、
わたしたちもしているかもしれない。
気付かないふり、忙しいふり、考えないふりをして・・・。
巻末の高橋哲哉さんのメッセージは、この絵本が生まれた
背景から、問題提起、なすべきことまで、とてもわかりやすく
書かれていて、わたしたちひとりひとりが立ち止まって
考える手だてを与えてくれています。
考えることをやめないこと。
流されないこと。やり過ごさないこと。
心していないと、わたしたちだって、いつ
シャルリーや俺になるかもしれない。
「茶色の朝」を迎えないために、つねに自分で考えて、
時には声に出していかないといけないんですよね。
9.11の日に想ういろいろなこととあわせて、
思わず引き出して読み直したくなった一冊です。
フランク・パヴロフ 文/ヴィセント・ギャロ 絵
高橋哲哉 メッセージ/藤本一勇 訳 大月書店
ある日、ペットの毛色を茶色に統一する法律が施行され、
友人のシャルリーが、自分の愛犬を安楽死させたと
告げる会話から、話ははじまります。
その理由は、テストによって、「茶色がもっとも都市生活に
適していて、子どもを産みすぎず、えさもはるかに少なくて
すむことが」証明された、ということらしい。
少し前に猫を処分していた俺は、まさか犬まで・・・と、
妙な感じを持ちながらも、さほどおおげさに反応することなく
ことは過ぎていきます。
そうしているうちに、シャルリーが愛読している新聞が、
その法律を批判していると発禁になり、
その系列出版社が、図書館や本屋から強制撤去・裁判となり、
会話にもわざわざ「茶色」をつけなければいけないほど、
気を遣うようになっていく。
何かおかしい・・・。
でも、お互い、すぐ「茶色」の犬と猫を飼い始め、
「茶色に守られた安心」を悪くないとも思っている。
状況に慣れ、流れに身をまかせたまま、考えることも放棄して。
そのうち身に迫ってくる危険のことなど、つゆも考えず・・・。
ほんの数十ページの薄い絵本なのに、読んでいる間中
うすら寒さを感じ、読み終わるといつも、
怖くてしかたなくなります。
たんたんと静かに語られるからなおさら、恐い。
「茶色」はフランス人にとって、ナチスのイメージ色であり、
極右、全体主義の象徴なのだと、この本で知りました。
ファシズムの台頭への警鐘とともに、ファシズムは
わたしたちのそういう無関心や守りが作り上げていくもの
なのだということを、ひしひしと感じさせます。
でも、これに似たようなことを、身近なことで、
わたしたちもしているかもしれない。
気付かないふり、忙しいふり、考えないふりをして・・・。
巻末の高橋哲哉さんのメッセージは、この絵本が生まれた
背景から、問題提起、なすべきことまで、とてもわかりやすく
書かれていて、わたしたちひとりひとりが立ち止まって
考える手だてを与えてくれています。
考えることをやめないこと。
流されないこと。やり過ごさないこと。
心していないと、わたしたちだって、いつ
シャルリーや俺になるかもしれない。
「茶色の朝」を迎えないために、つねに自分で考えて、
時には声に出していかないといけないんですよね。
9.11の日に想ういろいろなこととあわせて、
思わず引き出して読み直したくなった一冊です。
「“V”フォーヴァンデッタ」レンタルあるかしら・・・。
時間作って映画を観るというのも、近未来の夢なのでその際には、またひろのしんさんに教えてもらわなくては。(その節はよろしうお願いします)
声をあげて、人を巻き込んでいくのはエネルギーがいることだし、なかなか資質としてわたしも無理かも・・・なんですけど、せめて考えたり、知る努力を惜しまないようにしなくてはと思っています。
(わたしも受動的だな~)
葡萄染め、なかなか簡単そうでしょう!簡単ですよー(笑)
ガーゼは少しワンポイント刺繍でもして、汗ふきガーゼに使いたいと思います。(ガーゼ好きなんです)
ブルーベリー摘み、結構夢中になりますよね。
わたしも、まめちゃんと一緒で、生がけっこう好きなんです♪
リンゴ狩り・・・以前夫が社内で行って、もととろうとがんばって食べたはいいけれど、トイレに困ったと言っていたのが笑い話で・・・。
**狩り、楽しいんですよね~
それに、これからなんだっておいしくて困っちゃいます
「ブラウンバニー」も知らなければ、ヴィセント・ギャロについても全然知らなくて、とても興味を持ちました!ありがとう~。
巻末の解説によれば、ナチスは初期のころ、茶色のシャツを制服として着用していたらしく、「茶シャツ隊」がナチスの別名になっていたらしいのですよ。
(でもその後は、ヒトラー率いる親衛隊は黒制服だと 書いてありました。)
本当に、無関心の罪を感じることってありますよね。
わたしも、↓に同感です! 難しいですけどね。
>知る、考える、行動する、そういう強さを持てるよ>うになりたいです。
ブログもいつの間にか、すっかり生活の一部ですよね。
わたしも、ただ自分で読んで楽しむ、だけだったのが、いろんな方とPCごしに盛り上がる楽しさを知ってしまったので、きっと細々とでも続けていくだろうな~と思っているところです。
るるさん、そんな・・・。
20代、30代までなかなか窮屈でしたが、わたしも30代後半から今にいたっては、すこーし生きやすくなって、少しは進化しているらしく・・・(笑)
年とることの効用でしょうか
いろんな見方ができる人に!は、わたしも目指したいところで目下修行中・・・ぼちぼちまいりましょうね♪
絵本の趣味が似ているかもと、常々感じていますよー!
今日もちょっと気になる本に出会ったので、また近々書きますね。
「茶色の朝」、ぜひ手に取ってみてください
そういえばこの本、図書室にもありますがまだ読んでいなかった。そういう内容だったのですね!
かなり気になります。読んでみようっと。
私はナチス的、独裁政治の色が出ていた映画「“V”フォーヴァンデッタ」を思い出しました。
あの中では、“V”は反旗を掲げ、民衆にもさりげなく勇気を持つことを教えてくれ独裁者・独裁政治を終わらせましたが、なかなかそこまでできる人間はいないですね。
長いものに巻かれてしまう自分は嫌ですが、わが身可愛さに声をあげられずにいる自分も醜くて嫌になります。
自ら声をあげることができない私は、せめてそういう強い人たちの協力は惜しまないようにしたいなと思っています。(やはり受動的な私・・・^^;)
↓の「天然生活」の葡萄で染物の記事、見ました!
私もこんなに簡単ならやってみたいな、って思いましたよ。
で、ガーゼはこれから何になるのかな~?
ハンカチ?
ブルーベリー摘みは数年前、阿蘇のブルーベリー園でやりました。かなり採れて、もちろんジャムにしました。まめおがけっこう生食で頑張りましたよ。^^
また行きたいな。
あ・・・去年はリンゴ狩りに行ったんだっけ。またこっちにも行きたい!!
あ~・・・食欲の秋ですね。(#^.^#)
すごい、ヴィセント・ギャロが絵を描いてる絵本なんて、あるんだぁ!と、感嘆してしまいました。
どこまで、マルチな人なんだろう?ヴィセント・ギャロ、すきなんですよ。彼の監督/主演映画に「ブラウンバニー」という映画があるんですが、ナチスとは関係ない内容なんだけど、何か繋がるものがあるのかな?と考えてしまいました。
茶色ってフランス人にはナチスの色なんですか?
どうも赤と黒っていうイメージが強い感じがするんですが....。
茶色=ナチスに、何か具体的な理由があるんでしょうかね?
無関心、というものは、本当に恐くて悪ですね。
でも、無関心や無知でいることで、どこかで自分を守っている自分がいるような気がして、時々、自己嫌悪に陥ることがあります。
知る、考える、行動する、そういう強さを持てるようになりたいです。
お祝いコメントをありがとうございました。とても嬉しかったです。
私は、フラニーさんから、とてもたくさんのものをいただいていて、感謝の気持ちをどう表していいやら…方法が思いつかなくて、困ってしまいます。
頭が固くて、違う方向から考えることができにくい性質なので、こちらで記事を拝読して「あぁ、そうなんだなぁ」って心がやわらかくなっていくことが多いです。フラニーさんのお気に入り作家さん、気になって探してみると、私も好みのことが多くて、すごーく世界が広がりました。
ほんとに、ありがとうございます。
この本もぜひ読んで、考え、感じたい、と思います。
お父さんが倒れられたあと一緒に過ごされた時間は、お父さんにとっても幸せな時間だったはず。
今は、いろんな思いがうずまいているでしょうけど、
どうぞご自分を責めないでね。
そして、もっと強くなくちゃ・・・なんて思わないで、
できるだけ、気持ちのままにお過ごしくださいね。
気持ちがつらい時期に、コメントまでありがとうございます!
今のはらぺこさんの悲しみがゆっくり癒されていくことを、願っていますよ。
知らないうちにそうなってるって、やっぱり恐ろしいです。
もともと安価な冊子として配られたものらしいので、本当に短いお話なんですよ。
時々見ては、自戒してるんです。忘れっぽいので・・・。
jasuminさんのコメント通りですよね!
わたしなど、ちょっと恐縮するほどで・・・
でも、ありがとうございました~♪
今は、しっかりシーズケース ビタフルーツのケースにかぶせてあります
コハが、あの目をすっかり気に入ってるんですよ!
この絵本、そうそう大月書店刊なんですよね。
絵本の出版があることにびっくりしました。
kayoさんにそんなふうに言ってもらうのも、恐縮ですよー。
最近思うように書く時間もなくなってきて、いつまで続けられるか??ですけど、またポチポチやっていきますね。
勇気いることもあるけれど、努力はしたいですね。
事実から憶測されることが、偏見にかわっていったり、
思いこみからとんでもない行動に出るようなことは、
思いとどまりたいですもん。
シランさんの絵本、以前読んだとき、わたしも茶色の朝と同じような寒々しさを感じました。
そんなことで?という理不尽さと、マジョリティーに従うべきという威圧感。
アムネスティという団体も、この本ではじめて知ったのでした!
わたしももっといろいろ感心枠を広げて、モノ考えられる人になりたいです。
自分も実際やっていることだから、なおさら怖さが募ってしまう。
NOはNO!と声を出していかないと、とんでもないことになってからひどく後悔しそうですもんね。
「おかばさま」読んだことがないので、ちらり検索してみたら、ありました!
ふふ、さっそく予約しました♪
マンガのほうは、アニメ化されてるんですね。
ずいぶん前からあるマンガなんだと、今はじめて知りましたよー。(^^;
なんだか、amazonのレビューを読むと、壮大なお話みたいですね。
実は9.1突然父が亡くなりました。
今はなんだか、無気力&脱力感で、何もしたくないし、何も考えたくないのですが、
もっと強くならなくちゃいけませんね。
>考えることをやめないこと。
流されないこと。やり過ごさないこと。
心していないと、わたしたちだって、いつ
シャルリーや俺になるかもしれない。
フラニーさんがおっしゃるとおりですね!
「茶色の朝」を迎えないために、考えて行動しなければ・・・
ご紹介の本、是非読んでみたいです。
みなさんのブログから元気をもらい、ボチボチとまた
ブログも再開したいと思っています。
先日読んだ小川洋子と激しく重なり、また、どんよりと考え込んでしまいました。
是非、読んでみたいと思います。
9.11
私たちは、ただ悲しむだけでなく、あの場所から、何かを学ばなくてはいけませんね。
気に入っていただけたようでうれしいです!フラニーさんへのポストカード選びはいつもすご~く迷っちゃうんです(それがすごく楽しいんですけど)
もっと長~い手紙を添えて発送したかったんですけど、それだといつまでたっても発送できない気がしたので(笑)
フラニーさんの紹介される本は、いつもすご~く読んでみたくなります。この本もすごく気になります。大月書店が出しているってところが、より深そうで・・・
なかなかコメントいれることができないんですけど、フラニーさんのおかげで、自分ではきっと開くことのなかった本にたくさん出会わさせてもらっています。
これからもいろいろ教えてくださいね!
いろんな疑惑や謎や、たくさんの推測を知って、わからなくなることばかりですが
それはあくま憶測に過ぎず、知りうる真実は、やはりたくさんの命が無駄に失われたってことだけだと思います。
知ること、そして鵜呑みにしないこと、自分の考えを持つこと、見て見ぬフリをしないこと・・・
子どもたちの将来にも「茶色の朝」が来ることのないように
忘れずに過ごして行きたいですね。
以前読んだ本を思い出しました。
「アムネスティ・インターナショナル」という国際団体と谷川俊太郎さんが作られた「かさをささないシランさん」という絵本です。
雨の日に傘をささなかったという理由で捕らえられるのですが、
これは面白いお話でもなんでもなくって、「人と違うことをした」ということが原因なのです。
(いや、この本はいきなり大事ですが!)
それが、少しずつ感覚を麻痺させながら、
気がつけば、とんでもないところまで状況が切迫している。
実際に良くあることですよね。
なんとなく、身に覚えのあることだからとても怖い。
紹介の記事だけで、もう十分背筋が寒いです…。
こういうテーマは、SFでは結構取り上げられているような気もします。
ちょっと違うけど星新一さんの「おかばさま」とか。
マンガだけど「地球へ・・・」とか。
周りの価値観に流されない感覚が必要かもしれませんね。