みどりの船

絵本と絵本まわりのこと、日々の雑感を少し。

九月姫とウグイス

2007-09-14 | ユーモラスな絵本
9月だし、夜はめっきり涼しくなってきたし、
窓を開けて寝るのは涼しすぎるくらい・・・。
でも、窓を開けて寝ると、美人になるらしいですよ。

  『九月姫とウグイス
 サマセット・モーム 文/武井武雄 絵 /光吉夏弥 訳
     岩波の子どもの本

この絵本に出会ったのは、いつだったのか・・・?
イルフ童画館だったでしょうか(不明)
子どものころに出会いたかったな~というほど、
好きなテイストがいっぱいの絵本です。

            

シャム(タイ)の王様は、最初2人の娘に、「夜」と「昼」
という名前をつけました。
でもその後もう二人生まれたので、今度は↑の2人を
改名させて「春」「夏」「秋」「冬」と名付けました。
そのうちまた3人娘が生まれたので、「月曜」「火曜」
「水曜」「木曜」「金曜」「土曜」「日曜」と名づけ、
8人目の娘が生まれたとき、はたと困った王様は、
1年の月の名前をつけることを思いつきました。
(ちなみに九月姫のあとは、王子ばかりで、A~Jと
 名付けたんです!)
上のお姫様たちは、何度も名前をかえられて、すっかり
ひねくれてしまい、末の九月姫だけは、優しい子なのでした。

            

もうこの最初の部分だけでも、十分に楽しくて、まさにツボ。
武井武雄のエキゾチックな絵も、好きなのです。
改名されすぎて、ひねくれてしまうお姉さま方なんて・・・
ユーモラスでしょう♪

その後、王様がそれぞれの姫に贈ったオウム入りの金の籠は
全部形が違ったきれいな籠で、リボンもみんな違うし、
名前がちゃんと描かれていて、自分ならこれがいいと見て選ぶ
楽しみに満ちています!
挿絵がとてもきいていて、すてきなんです。

九月姫のオウムは死んでしまい、嘆き悲しんでいるところに
飛んできたウグイスによって、おはなしは新たな展開へ。

久しぶりに読んで、ずーんと胸に響いてきてしまったのが
九月姫の言葉でした。

  おまえをかごにいれたのは、おまえがすきで、
  わたしひとりのものにしておきたかったからなのよ。
  でも、それじゃ、死んでしまうなんて、
  おもいもかけなかったわ。
  さあ、いくといいわ。
   ・・・・・・・
  わたしは、おまえがすきだからこそ、じぶんの
  いいようにさせてあげるのよ。

自分の幸せよりも、自分の好きな人の幸せを第一に
考えるのはとても難しい・・・という地の文で
さらに追い打ちです。 

でも九月姫は、そうして、ウグイスが自由に行ったり
来たりできるように常に窓をあけはなし、
そのためにとてもきれいになったのでした。
そして最後は良縁にも恵まれて、めでたしめでたし。
一方のお姉さま方のその後も、想像通りで、
その絵にも、ぷぷっと笑えてしまいます。

八月姫?のわたしも、つい窓を開けて寝たくなりますが
へたしたら、うっかり風邪ひきそうです。
いつの間にか、すっかり秋めいてきて、虫の声が心地よい
季節になりましたね。

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13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
寝る前に・・・ (ひろのしん)
2007-09-15 00:58:39
ちょっと立ち寄ってみました。^^読み逃げするつもりが、やはりコメントせねば!と思い・・・。

このモームの絵本、ぜひ入れたかったんだけどこれも悲しいかな絶版でした~。(T_T)
この絵、かなり惹かれてしまったんです。
それを、それを・・・やっぱりフラニーさんだあ~!
さすがです、持ってらっしゃるなんて。
そのアンテナの感度のよさはいったいどこから?
うらやましいです。
復刊できないかなあ・・・。
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もう一つ (ひろのしん)
2007-09-15 01:01:11
武井武雄さんの絵本、「アイウエ王とカキクケ公」は復刊されたので入れました。
こちらもなかなかの絵本です。
ホント、絵が独特ですよね。^^
返信する
Unknown (maruko)
2007-09-15 07:27:53
昨夜お邪魔しようと思ってたのに、すっかりコドモと寝てしまいました(泣)
ステキな絵本ですね~ストーリーも絵もすごく気になります!!図書館で出会えるといいのだけど…
「好きだからこそ、自由にさせてあげる」う~んこれは我が身にも堪える言葉です(特に対コドモ)
そうありたいとは思うのだけど、どうしても先回りしてしまったり、自分の願望を押し付けたりしてしまいがちです
話はかわりますが、フラニーさんのおうちの辺りから通勤されていた会社の先輩が、当時
「うちの方は夜はけっこう涼しいのよ、祖母が東京の軽井沢だって言って笑うのよ」って話していたのを思い出しました…いいなぁ~
あ、お伝えしたいことがあるので、今からメールしますね
返信する
それぞれの風情や情緒 (S. Yard)
2007-09-15 09:19:35
九月姫とウグイス...!?、頭の中の時計が日本の標準に合わせてあったので、奇妙な取り合わせだなと瞬間的に思いました。でも、ところはシャム(この響きは大好きで、エキゾチックな国のイメージが色濃く伝わってきます。)ですから、それぞれのお国の風情や情緒があって当然ですね。
ウグイスは、6月まではよーく鳴いています。寒梅の頃のウグイズは詩でも詠まれていますが、今、周りでそれを味わえないのが、少々残念...。
日本語は季節の言葉の宝庫です。九月姫は長月姫、十六夜姫、秋空姫、鈴虫姫、なんて命名してもきれいだなあと、思いました。
返信する
なんだかとても・・・ (こもも)
2007-09-15 12:02:30
表紙の絵のせいでしょうか?
それとも、フラニーさんの文章でしょうか?
なんだかとても、読んでみたいです!!
すぐにでも、探してこなくては。

本当に・・・いつの間にか、秋ですね。
夕方は、いつも、グズグズの娘を抱いて、外を歩いているのですが、蝉の声から秋の虫たちの声に変わりました。
夏は、元気よく歌いながら歩いていたのですが、今は、無言で、しんみりと歩いています。
昨日の月をご覧になりましたか?
ほっそりした、はかなげなお月様で、秋の夜にぴったりでした♪
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●ひろのしんさんへ (フラニー)
2007-09-15 22:52:33
ひろのしんさん、寝る前に立ち寄ってくれてコメントまで!ありがとうございますー♪
わたし、モームの小説を読んだことがないのですが(汗)この絵本は一目ぼれしました
なんというか・・・もうひとえに勘と好みでしょうか。
いつもくんくん鼻ならして、好きな絵本との出会いをのがしたくないと・・・ワンちゃんみたいですね~(笑)
だって、絵本も出会いものだと、つくづく感じてしまうので。
でも!この岩波こどもの本シリーズって、何年かごとに何冊かまとめて重版される傾向があるように思うのです。
今だと、わたしの好きな「ふしぎなバイオリン」も手に入らなくなっているみたいだけど、きっとまた重版されるのではないかと思うのですよー。

「アイウエ王とカキクケ公」も楽しいですよね!
ネーミングの妙も、結構つぼです(ふふ)
武井ワールド、わたしも案外(とっても?)好きなのです♪
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●marukoさんへ (フラニー)
2007-09-15 23:07:34
marukoさん、お出かけ前にありがとうございました!
さきほどもしかと拝見しました。
もう今度こその意気込みで、いっしょうけんめい念じているところです。

この絵本、絵もおはなしも気になるところでしたか!? ウレシー
イルフ童画館に行くと、もうすっかり武井武雄の魅力にはまってしまうほど、独特の絵なんですけど、
案外好みが分かれるところかもしれないです。

あ~、marukoさん。いっしょです! 対子どもは本当にそうですね。
我が家は、もう押しつけてもはねかえるばかりで、小学校までの対応を反省するばかりですよ(涙)

それにしても「東京の軽井沢」ぷぷぷ・・・言葉だけ見てると、い~い感じですネ。
でも案外、盆地気候で昼間暑いのが難点なんですよ。
暑くて寒いの。
今日も暑かったけれど、夜はすっかり快適です♪

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●S. Yardさんへ (フラニー)
2007-09-15 23:29:04
シャムの響き、わたしも好きなのです!
もしかして、シャム猫ってここからでしょうか・・・。
最後に九月姫が興し入れする時に乗っていくのが
大きなゾウなんですよ。
さすが舞台はタイですよね。
タイのイメージ(小物や服や建物)も、わたしの中では武井武雄の絵ですっかりイメージ化されていますよー。

ウグイス、うちのほうにはいるんですよ~(笑)
毎年のお楽しみ♪
最初へたっぴな鳴き声なのに、だんだん上手になっていくのが、かわいらしいです!
九月姫って、よくよく考えたら、9番目に生まれたというだけで、9月生まれではないかもしれないんですね。
日本的に言うと、風流な感じが倍増してすてき・・・。
でもきっと、王様たち、わが子のこと覚えられないでしょうね

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●こももさんへ (フラニー)
2007-09-15 23:37:57
きっとこの表紙絵の魅力ですよ~♪
だって、この腰の細さ!クラシカルな雰囲気。
タイトルも気になるし、読みたくなりますよね。
はしから順番に並べたりするのが、案外好きな性分なので、この名前のつけ方には、くらくらしてしまいました(笑)
図書館で、出会えますように・・・。

こももさんは夕方お散歩タイムなんですね~。
想像するだけで、やさしくいとおしい時間!
この前の夕焼けの日も、もしかしてお散歩でしたか!
わたしも思わず、刻一刻変化する空をパチリカシャと映したのですよ。
月も、昨日、今日としっかり見ました!
コハとあのほそーい月を見ながら、橋みたいね~、すべりだいみたいね~と「つきよ」のおはなしにすっぽり入っていました。
これから太っていくのが楽しみですね♪
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武井武雄さん (るる)
2007-09-18 00:43:50
これまであまり出会ってきませんでしたが、なんだか好きになりそうな予感が、ビンビンしてきます!
これは、おはなしも幻想的で、興味を惹かれました。
読みたいです。
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