ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

カプセルTARO(3)

2008-09-24 | ハナコの家出/ カプセルTARO
家に帰った。着替えをしているときに思った。 

何か、この膜、少し厚くなったんじゃないか。


夕食の後、ゲームを始めた。 
とたんに、お母さんが聞いた。
「宿題はないの?」 

また、例の声が聞こえたような気がした。 

『ないって言えば』 

「でも、それって、悪いことじゃ」 

『平気だよ』 

「でも、宿題していかないと、授業がわからなくなるし」 

『一日くらい、大丈夫。すぐ追いつくって』

そっか、ウソつけばいいんだ。
そしたら、ゲームやっていられるし。 

「ないよー」
僕は答えた。 

お母さんが台所から、まだ何か言っている。
「あんまり遅くまでやらないで、ちゃんと寝なさいよ。
 でないと、明日の朝、起きるのが大変よ」 

よし。うまくいった。
お母さんごまかすのなんて簡単だ。
正直に答えるなんて、バカがやることだ。

(つづく)

カプセルTARO(2)

2008-09-23 | ハナコの家出/ カプセルTARO
学校でも、だれも自分が膜で覆われていることに気がつかなかった。


お昼休みに、食堂に行った。
少し遅れたので、長い列ができている。

並ぶのめんどくさいなー、そう思ったとき、 

『割り込めば』 

どこからともなく、声が聞こえたような気がした。 


「でも、それって、悪いことじゃ」 

『平気だよ』 

「でも、上級生から注意されると、怖いよ」 

『無視すれば、大丈夫。
 怖がらなければ、やられないって』 


ドキドキしながら、割り込んだ。

後ろの人は、友だちと話していて、気がつかなかった。

しばらくして、やっぱり、おかしいと思ったみたいだが、
また、友だちとのおしゃべりに熱中していた。 


はーん。割り込みって簡単だ。
列に並ぶなんて、バカみたい。

(つづく)

カプセルTARO(1)

2008-09-22 | ハナコの家出/ カプセルTARO
ある朝、太郎は目を覚ますと、自分が薄い透明の膜で覆われていることに気がついた。
どんなに引っぱっても破れないし、はがそうとしても体から取れない。

「お母さん、なんか僕、変じゃない?」

「別に」 

「何かついてない?」 

「顔によだれがついているわよ。
 早く顔を洗ってきて、ご飯にしなさい。学校遅刻するわよ」

お母さんには、この膜がぜんぜん見えないようだ。

膜を通してだが、食事は普通にできる。

(つづく)

アクションRPG。敗北の原因は?(6)ウンチク後編

2008-09-21 | アクションRPG。敗北の原因は?
この敗北、失敗のパターンに、最初にはまったのは、アダムとエバです。アダムとエバは、神様の造ったエデンの園で、何不自由なく暮らしていました。文字通りの楽園生活でした。そこには、一つだけルールがありました。ある一つの木から、実を取って食べてはいけない、食べたら必ず死ぬ、というものでした。その他のどの木から食べてもいいわけですから、簡単と言えば簡単です。

ところがある日、エバは誘惑を受けます。見れば見るほど、美味しそうです。心の中でバトルが始まりました。「食べていいものか、食べていけないものか」。色といい形といい、とてもいい感じです。「食べるべきか、食べないべきか」。食べたら賢くなりそうな気がします。「食べたら損か、食べないと損か」。ついにエバは、その美味しそうに見える実を食べないではいられなくなりました。エバは自分でも食べ、そして夫のアダムにも食べさせました。男が女のことばに弱いのは、今に始まったことではありません。

その結果、彼らは、エデンの園から追い出されます。神様の祝福から完全に切り離されました。それ以来、人類は、労働の苦しみ、出産の痛み、死の恐怖に悩まされることになります。


彼らの失敗、誘惑に敗北した原因は、自分の知恵を使って、自分のやりかたで、自分の方法でやれると思い、神様が彼らに与えていたアイテムを使わなかったことです。

神様が、人に与えたアイテムとは、1)神様のことば(聖書)、2)神様を愛し、信頼する心(信仰)、そして3)イエス様です。イエス様は、神様ご自身で、私たちが頼るなら、完全な守りと安らぎ、解放といのちを与えてくださいます。完全シェルターの中で、勝利の王といっしょにいるようなものです。

人の生きる場所として、この世界を創造した神様は、そこにバトルがあることを知ってます。そして、そのバトルに打ち勝つためのアイテムを、ちゃんと用意しています。ゲームが、アイテムなしでは先に進めないようにデザインされているのと同じです。これらの神様のアイテムなしでは、どんなにがんばっても勝ち目はありません。勝利のアイテムは、すでに用意されています。取るか取らないか、使うか使わないかは、あなた次第です。

   主はわが巌、わがとりで、わが救い主、
   身を避けるわが岩、わが神。
   わが盾、わが救いの角、わがやぐら。
   ほめたたえられる方、
   この主を呼び求めると、私は、敵から救われる。
   (詩篇18:2-3)


(次からは、新しいストーリーです。アクセスしてくださいね。)


アダムとエバが誘惑に負けたこと、神様が世界を無から創造したことは、聖書の「創世記」1章から3章に詳しく書いてあります。



アクションRPG。敗北の原因は?(5)ウンチク前編

2008-09-19 | アクションRPG。敗北の原因は?
タロウが敗北した原因は、獲得したアイテムを使わなかったことでした。こんなことは、実際のゲームをしているときには、ありえないと思います。プレイステーションでも、ニンテンドーでも、なんであれ、獲得したアイテムを使わないなんてことはしないですよね。制作する側も、プレイヤーが獲得したアイテムを使ってくれる想定で、ゲームをデザインしています。アイテムを使わなければ、先に進めないようにできているのです。逆に言うと、必要なアイテムは、必ず、獲得できるようになっています。

その獲得したアイテムも、ただ使えばいいというものでもなくて、使いどころがありますよね。使い方を間違えると、せっかく苦労して手に入れたアイテムも、たいして役に立たないものになったり、本当に必要なところで使えなくなったりします。

タロウは、アクションRPGが得意でした。特に、戦いの場面が大好きです。ゲームの設定がどうということよりも、また持っているアイテムがどうということよりも、とにかく自分でガンガンやりたかったのです。彼は、戦闘に自信がありました。自分の攻撃パターンを使って、自分のやりかたで、自分のわざで勝てると思ったのです。そこが、タロウがアイテムを使わなかった最大の理由です。でも、結果は、ご存知のとおり、敗北の連続でした。


ストーリ-を読みながら、きっと、タロウのことを「成長しないヤツ」、「おんなじ失敗ばっかりして」、「だめなヤツ」と思われたことでしょう。ところが、けっこう、私たちも、タロウみたいに、同じ失敗を繰り返しています。それも、ゲームの中ではなくて、実際の生活の中でです。

今日こそは宿題を先に済ませてからゲームしよう。ダイエット目標3キロ、絶対甘いものは食べない。この番組見たらテレビは消す。早朝マラソン。一日単語10個覚える。・・計画はいいのですが、うまくいきません。なにかしら、思い当たるものがあると思います。

また、同じパターンで攻撃されて敗北しています。自分で止めようとわかっていながら、結局虜になっているもののことです。テレビ、雑誌、マンガ。断ればいいとわかっている友だち付き合いを残す。無駄遣い。長電話、長チャット。やけ食い、やけ飲み。ギャンブル。タバコ。お酒。・・正直になってください。ここにあげたもの以外でも、そういうものがあるでしょう。


敗北、失敗を続けている原因は何でしょうか。タロウと同じです。自分の知恵を使って、自分のやりかたで、自分の方法で勝てると思ったことです。実は、この敗北、失敗のパターンは、人類史が始まって以来、今に至るまで共通しているものです。そういう意味では、人は、まったく成長していないヤツらなのです。

(次回は、解決の糸口をウンチクります。)