ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

カプセルTARO(3)

2008-09-24 | ハナコの家出/ カプセルTARO
家に帰った。着替えをしているときに思った。 

何か、この膜、少し厚くなったんじゃないか。


夕食の後、ゲームを始めた。 
とたんに、お母さんが聞いた。
「宿題はないの?」 

また、例の声が聞こえたような気がした。 

『ないって言えば』 

「でも、それって、悪いことじゃ」 

『平気だよ』 

「でも、宿題していかないと、授業がわからなくなるし」 

『一日くらい、大丈夫。すぐ追いつくって』

そっか、ウソつけばいいんだ。
そしたら、ゲームやっていられるし。 

「ないよー」
僕は答えた。 

お母さんが台所から、まだ何か言っている。
「あんまり遅くまでやらないで、ちゃんと寝なさいよ。
 でないと、明日の朝、起きるのが大変よ」 

よし。うまくいった。
お母さんごまかすのなんて簡単だ。
正直に答えるなんて、バカがやることだ。

(つづく)