ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

カプセルTARO(2)

2008-09-23 | ハナコの家出/ カプセルTARO
学校でも、だれも自分が膜で覆われていることに気がつかなかった。


お昼休みに、食堂に行った。
少し遅れたので、長い列ができている。

並ぶのめんどくさいなー、そう思ったとき、 

『割り込めば』 

どこからともなく、声が聞こえたような気がした。 


「でも、それって、悪いことじゃ」 

『平気だよ』 

「でも、上級生から注意されると、怖いよ」 

『無視すれば、大丈夫。
 怖がらなければ、やられないって』 


ドキドキしながら、割り込んだ。

後ろの人は、友だちと話していて、気がつかなかった。

しばらくして、やっぱり、おかしいと思ったみたいだが、
また、友だちとのおしゃべりに熱中していた。 


はーん。割り込みって簡単だ。
列に並ぶなんて、バカみたい。

(つづく)