『名も無く豊かに元気で面白く』

読んだ本、ニュース、新聞、雑誌の論点整理、備忘録として始めました。浅学非才の身ながら、お役に立てれば幸いです。

ヒトは何歳まで生きるのか。「いつのまにか100歳を超えている。そんな老い方が理想かもしれない」

2024-05-23 06:24:45 | 日記
「人生は短いが、人生で最も長いものだ(Life is short, but it’s the longest thing you’ll ever do.)」
そんな言い回しがあります。
生まれてから死ぬまでの人生は、人生において最も長い。あなた、そして私が所有する最長のものが「人生という時間だ」、という意味です。
20代や30代の頃は、1年が永遠のように感じることさえあるでしょう。そして50歳や60歳になると、初めての経験がぐっと減り、喜びも驚きも失われ、1年があっという間に過ぎてしまいます。時間の認識は不思議なものです。
1900年前後の明治時代の日本人の平均寿命は、42〜44歳だったようです。今からおよそ120年前のことです。300年前の江戸期に遡っても、平均寿命は35〜40歳と大差ありません。そう考えれば、この120年の間に急速に寿命が延びたことは地球にとっても予想外の異常事態なのだと思います。
つまり、120年前は、ヒトが80歳まで生きるなんて信じられない長生きで、江戸時代に庶民の間で広まった元服(げんぷく)からも15〜17歳は立派な大人という感覚は当然だったのでしょう。
寿命が急速に延びた時代に豊かな人生を送るためには、時間の本質を知ることが必要不可欠です。
ここでは、ヒトにとって理想的な生物学的年齢を考察しながら、エイジング革新を社会に実装化する課題について考えてみたいと思います。
ヒトは何歳まで生きるのが妥当か
さまざまな老化研究が世界で進められている中で、合意形成が難しいもの。それが、理想的な生物学的寿命です。一体、ヒトは何歳ぐらいまで生きるのが、科学的に妥当なのか。今のところ、この問いには誰も答えられません。
先述の通り、120年前の平均寿命は現在の半分ほどでした。日本では1899(明治32)年から「日本帝国人口動態統計」という出生数や死亡数の調査が行われており、現在は厚生労働省のウェブサイトで見ることができます。そのデータを見ると、1899年は「出生数138万6981」に対して、「乳児死亡数21万3359」、「新生児死亡数10万8077」ということで、乳児死亡率15%、新生児死亡率7.8%になっています。
ちなみに2011年のデータを見ると、乳児死亡率0.2%、新生児死亡率0.1%なので、120年前は75〜78倍の確率で、天然痘やインフルエンザ、はしか、おたふく風邪といった感染症によって亡くなっていたことが推測できます。
2016年には、遺伝学のヤン・ヴィジュ博士らのグループが、最長死亡年齢の解析結果から「125歳がヒトの寿命の限界だろう」と述べています。
ちなみに、現在の最長寿記録は、1997年に他界したフランス人女性ジャンヌ・カルマンさんの122歳5カ月です。そうしたこともあり、私たちは125歳前後の寿命の壁を意識しがちですが、これらはあくまでも過去のデータに基づくものであることを忘れてはいけません。
何しろ1900年の世界では、日本人の平均寿命が80歳に及ぶことなんて夢にも想像できなかったでしょうし、今後、生物学的な老化抑制によって寿命を選択できる世界になれば、誰もが80歳の平均寿命を「そんなに短命だったのか」と思うでしょうから。それほどまでに、大きな革新が過去をぬりかえていくのです。
「ゲートボールやらないのは、日曜だけだ」
ところで日本では今、何歳ぐらいまで生きるのが「理想」と考えられているのでしょうか。
センチネリアン、すなわち100歳という節目は、最近ますます身近なものになっています。そんな流れがあるからでしょう、2023年から「100歳に聞く。〜人生最高の瞬間〜」というバラエティ番組の放映も始まりました。ある程度の視聴率が取れる、つまりこのような情報を望む視聴者がいるからこそ生まれた番組でしょうし、背景には信頼のおけるスポンサーもついていることでしょう。
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