みぃちゃんの頭の中はおもちゃ箱

略してみちゃばこ。泣いたり笑ったり

不動産の評価は大変

2010年12月21日 23時10分14秒 | お仕事・学び
昨夜は遅くまで投資物件を評価していました。さらに、物件を確認するには、1日休みを取る必要があります。その時間を作るために、仕事もどんどん進めなければなりません。忙しい日が続きます。

資産運用についてファイナンシャルプランナー (FP) に相談し、一部を不動産に振り向けることになりました。中古ワンルームマンションを買います。

信頼できる不動産業者を紹介してもらい、FPと詰めた詳細な条件を提示すると、すぐに担当者から物件が紹介されてきました。

不動産の収益性を評価するのは初めてです。

株と違って不動産は気軽に売買できません。見込みが違ったからと言って簡単に下りる (売却して逃げる) ことができないのです。不動産の賃貸は、長期にわたってゆっくりと利益を取っていく投資方法です。株式投資よりもはるかに先を見通す必要があります。

慣れていないせいか、評価に結構時間がかかるんです。

一番重要なのは収益性の評価。相場を調べて、2~3年中の収益性を計算します。20年後、30年後、可能なら40年後の収益性も計算します。Excelのワークシートが大活躍。家賃が近隣相場を下回った場合の厳しめの評価もします。その結果、十分に利益が取れると見込んだらGo! いざ現地の確認です。現地でも、周辺環境や建物の管理状態など、いろいろな面をチェックする必要があります。

大変だぁ……。

「家賃が入ってきていいね」なんて気楽なものではありません。努力を重ねた結果の家賃収入です。でも、努力した人には“ごほうび”が待っています。

しばらく忙しい日が続きます。

評価作業に慣れて、Excelのワークシートも洗練されてきて、ささっと効率的に評価できるようになった頃には……きっと物件を購入してしまって、新たな物件を評価する必要がなくなっている可能性が濃厚。

投資用マンションでインフレに対抗できるか

2010年12月20日 23時17分26秒 | お仕事・学び
この連載の目次

(前回から続く)

前回は、1000万円で購入した中古ワンルームマンションが10年後に700万円になると想定して、その場合の減価がどの程度の物価上昇率に相当するかを計算しました。計算の結果、年3.6%で物価が上昇する場合の貨幣価値の下落に相当することが分かりました。

また、築8年の中古ワンルームマンションを1400万円で購入して45年間保有し続け、最後に土地の持ち分250万円が残った場合の減価は、年3.9%の物価上昇に相当しました。

いくつか他の物件についても計算してみると分かりますが、中古ワンルームマンションの減価は、緩やかな物価上昇による貨幣価値の下落に比較的近いようです。

ここから、もうひとつ面白い結論を得ることができます。
マンション投資の元本は、緩やかなインフレに対抗できない。


投資先が純粋に土地だけであり、その土地を貸し付けることで地代を得ようとする場合は、投資元本が目減りすることはありません。土地は減価しませんし、物価が上昇すれば地価も上昇するので、土地はインフレに負けません。もちろん、インフレの進行が緩やかであろうと急激であろうと、土地はインフレに対抗できます。

しかし、建物にも投資する場合は事情が違います。

建物は減価します。マンション (土地の持ち分と建物の総体としてのマンション) の減価は緩やかなインフレ (年率2~3%) よりやや早く進行しますから、インフレが緩やかに進行する状況では、マンションの資産価値は減少し続けます。

つまり、マンションに投資した元本は緩やかなインフレに対抗できません。鉄筋コンクリート製のマンションでさえそうなのですから、木造アパートの場合はなおさらです。ただし、家賃は物価に連動して上昇しますから、家賃収入は緩やかなインフレにも対抗できます。

言い換えると、インフレ耐性があるのはフロー (家賃収入) の部分であり、ストック (マンション自体) は緩やかなインフレに無力である、ということです。

ではマンションがインフレにまったく無力かというと、そうではありません。

あくまで「緩やかな」インフレに対抗できないだけであって、マンションであっても急激なインフレには十分に対抗できます。年率10%ものインフレが進行する場合は、貨幣価値の下落ペースがマンションの減価ペースを大きく上回るので、マンションが減価しても十分にインフレに対抗できます。

表4: ワンルームマンション投資におけるインフレ耐性






項目マンション家賃収入
デフレ××
ごく緩やかなインフレ
(年3%以下)
×
比較的緩やかなインフレ
(年3~5%)
中程度以上のインフレ
(年5%以上)

注: インフレ率の数値は目安です。条件は物件によって異なります。

よく不動産投資の本に「不動産にはインフレ耐性がある」と書いてありますが、うのみにするのは危険です。

繰り返しますが、
マンションは緩やかなインフレに対抗できない

のです。マンションでインフレに対抗するためには、インフレが比較的高率 (年5~10%以上) であるか、購入資金を低金利で借り入れてレバレッジを利かせるなどの条件が必要です。

(連載終わり)

投資用マンションの減価をどうとらえるか・4 (減価とインフレ)

2010年12月19日 22時20分53秒 | お仕事・学び
この連載の目次

(前回から続く)

例として、1000万円の中古ワンルームマンションを購入したとします。近所には10年前にも似た間取りのマンションが建てられており、そのマンションが現在700万円で取り引きされているとします。この場合、購入した1000万円のマンションは10年後に700万円になると予想できます。

仮に当初の1000万円を現金で持ち続けた場合は、物価の上昇に応じてその1000万円の価値が下落していきます。現金で持たずに預金や債券で運用した場合も同じです。物価が毎年2%上昇すると、10年後には820万円相当になります。物価上昇率が年3%の場合は、10年後に744万円相当になります。10年後のマンションの価格が700万円ですから、このマンションは、年率3%の物価上昇と似た減価をすることが分かります。

では、10年間でのこのマンションの減価はどの程度の物価上昇率に相当するのでしょうか。

購入価格Pの物件がn年後に価格P'に減価するとします。n年間の物価上昇率がrで一定であるとすると、以下の式が成立します。
P/(1+r)n = P'

これより、
r = (P/P')1/n - 1

P=1000、P'=700、n=10を代入すると、
r = (1000/700)1/10 - 1 ≒ 0.0363

年率にして約3.6%の物価上昇に相当することが分かります。

ここから、このマンションの減価はここ15年ほどの先進各国の物価上昇率に近い値での減価であり、決して理不尽な減価ではないことが分かります。建物が老朽化するからといって気に病む必要はなさそうです。

逆に、年率3.6%で物価が上昇すれば、この物件の価値は10年後も (10年後の貨幣価値で) 1000万円であると言えます (地価の変動は考慮していません)。

いくつかのケースを想定して計算してみましょう。

(例1)
1200万円で購入した中古ワンルームマンションが20年後に500万円に減価する場合は (P=1200、P'=500、n=20)、
r = (1200/500)1/20 - 1 ≒ 0.0447

おおよそ年4.5%の物価上昇に相当します。

(例2)
築8年の中古ワンルームマンションを1400万円で購入したとします。このマンションの土地の持ち分は250万円とします。このマンションがあと45年稼動して寿命を迎えるとすると、どの程度の減価と考えられるでしょうか。寿命を迎えたときに建物の価値が0になり、物件の価値として土地の価値だけが残ると考えると、P=1400、P'=250、n=45ですから、
r = (1400/250)1/45 - 1 ≒ 0.0390

おおよそ年3.9%の物価上昇に相当します。

逆の見方をすると、年率3.9%で物価が上昇すれば、この物件は45年後も1400万円と評価されます (ただし、地価の変動は考慮していません)。

(例3)
新築のワンルームマンションを2500万円で購入したとします。土地の持ち分は300万円とします。このマンションがあと50年稼動して寿命を迎えるとすると、P=2500、P'=300、n=50ですから、
r = (2500/300)1/50 - 1 ≒ 0.0433

年4.3%の物価上昇に相当します。

いろいろな値を代入して計算してみると面白いですよ。

(次回に続く)

投資用マンションの減価をどうとらえるか・3 (減価の幅は?)

2010年12月18日 22時17分25秒 | お仕事・学び
この連載の目次

(前回から続く)

一般に、経済が安定している場合でも、物価は緩やかに上昇します。

物価が上昇するということは、お金の価値 (貨幣価値) が減少するということです。

この貨幣価値の減少、何かに似ていませんか?

時間とともに価値が減少するもの……

建物です!

マンションは、時間とともに価値が減少していきます。

お金も、インフレが進むと、時間とともに価値が減少していきます。

もしマンションの減価が貨幣価値の下落と同じ程度であれば、マンションが減価しても気にする必要はありません。

いったい貨幣価値はどの程度下落するものなのか、計算してみましょう。ここでは、貨幣価値が下落する主な原因を物価の上昇と考え、物価を通じて貨幣価値を計算します。

前回見たとおり、ここ15年ほど、先進各国では物価が毎年2~4%上昇しています。

例えば、物価が毎年2%ずつ上昇すると、今1000円で買える商品は、1年後に
1000×(1+0.02) = 1020 [円]

出さないと買えなくなります。2年後には、
1020×(1+0.02) ≒ 1040 [円]

出さないと買えなくなります。この状態では、
1000/1040=0.96

つまり約4%価値が落ちています。別の見方をすれば、物の値段 (物価) が変わらないまま、お金が1000円から約960円に減ってしまったことと同じです。

では、10年後にお金はどれくらい目減りしているでしょうか。20年後は? 30年後は?

物価上昇率が毎年1%、1.5%、2%……の場合に1年後、2年後、3年後……に物価が何倍になるかを計算すると、以下の表のようになります (ちなみに、この表を複利表といいます)。この表から、例えば毎年2%の割合で物価が上昇すると、5年後には1.104倍、10年後には1.219倍になることが分かります。別の言い方をすると、毎年2%の割合で物価が上昇する場合には、今1000円で買える商品が、10年後には1200円以上出さないと買えなくなってしまいます。

表2: 物価上昇率


















年率1.0%1.5%2.0%2.5%3.0%
1年1.0101.0151.0201.0251.030
2年1.0201.0301.0401.0511.061
3年1.0301.0461.0611.0771.093
4年1.0411.0611.0821.1041.126
5年1.0511.0771.1041.1311.159
10年1.1051.1611.2191.2801.344
15年1.1611.2501.3461.4481.558
20年1.2201.3471.4861.6391.806
25年1.2821.4511.6411.8542.094
30年1.3481.5631.8112.0982.427
35年1.4171.6842.0002.3732.814
40年1.4891.8142.2082.6853.262
45年1.5651.9542.4383.0383.782
50年1.6452.1052.6923.4374.384
55年1.7292.2682.9723.8895.082
60年1.8172.4433.2814.4005.892


この計算結果を貨幣価値の下落率に換算すると、以下の表のようになります。この表から、例えば毎年2%の割合で物価が上昇すると、貨幣価値が5年後には0.906倍、10年後には0.820倍になることが分かります。この場合、1000円の現金を大事にしまっておいても、10年後には実質的に今の820円の価値まで目減りしてしまいます。

表3: 物価上昇に伴う貨幣価値の推移


















物価上昇率1.0%1.5%2.0%2.5%3.0%
1年0.9900.9850.9800.9760.971
2年0.9800.9710.9610.9520.943
3年0.9710.9560.9420.9290.915
4年0.9610.9420.9240.9060.888
5年0.9510.9280.9060.8840.863
10年0.9050.8620.8200.7810.744
15年0.8610.8000.7430.6900.642
20年0.8200.7420.6730.6100.554
25年0.7800.6890.6100.5390.478
30年0.7420.6400.5520.4770.412
35年0.7060.5940.5000.4210.355
40年0.6720.5510.4530.3720.307
45年0.6390.5120.4100.3290.264
50年0.6080.4750.3720.2910.228
55年0.5790.4410.3370.2570.197
60年0.5500.4090.3050.2270.170


この表の数値を、マンションの購入金額に当てはめてみましょう。

(次回に続く)

投資用マンションの減価をどうとらえるか・2 (現金も減価する)

2010年12月17日 23時03分29秒 | お仕事・学び
この連載の目次

(前回から続く)

金融商品に投資する場合は、不動産と違って投資元本の減価償却をしませんが、決して元本の価値が下落しないわけではありません。

一般に、経済成長に伴って物の値段 (物価) は上昇します。経済が急激に成長するときには物価も急上昇し、経済が落ち着いているときには緩やかに上昇します。今の日本ではデフレ (デフレーション) が進行していますが、これはやや特異な状況です。

物価が上昇するということは、お金の価値が下落するということです。例えば、
以前はペットボトル入りのお茶を120円で買えたのに、今は150円出さないと買えない

という場合、お茶そのものは以前と同じですが、お茶の値段 (買うために必要な金額) が上昇しています。
以前は、120円でお茶を買えた

今は、120円より多く出さないとお茶を買えない

つまり、120円というお金の価値が落ちたわけです。お茶が120円から150円に値上がりしたということは、別の見方をすると、
お茶の値段は120円のまま、手持ちのお金が120円から96円に目減りした

ことと実質的に同じです。

物価は、長期的には上昇の傾向をたどります。そのため、お金を持っていても、その価値 (貨幣価値) は時間とともに減少していきます。

いったい貨幣価値はどの程度下落するものでしょうか。

ここでは、消費者物価指数で比較してみます。

ただし、日本の経済は、ここ20年ほどバブル崩壊やらデフレやら波乱ばかりで、とても指標を比較できそうな状態ではありません。かと言って、バブル期以前の高度経済成長の時代を引き合いに出しても、現在の日本経済の実情にはそぐわないでしょう。

経済が十分に発展し、低成長期に入ったと考えられる国をいくつかピックアップして、消費者物価指数を調べてみました。PIGSのメンバーであるイタリアとスペインにもご登場願いました。各国の消費者物価指数は以下のように推移しています (2000年が100になっています)。

表1: 先進各国の消費者物価指数の推移









アメリカカナダイギリスフランスイタリアスペインスウェーデン
198047.946.239.345.827.728.038.3
198562.566.155.672.452.749.958.9
199075.982.274.184.469.568.379.6
199588.591.887.694.188.787.997.8
2000100100100100100100100.0
2005113.4112.2112.7109.9112.4113.6107.5
2009124.6119.9125.5116.7121.6125.5114.9

出典: 国際労働機関 (ILO) LABORSTAデータベース

各国とも経済は安定していますが、物価は緩やかに上昇しています。つまり、これらの国々では緩やかにインフレ (インフレーション) が進行しています。

消費者物価指数の推移から毎年の物価上昇率を計算すると、以下のようになります。

cpi_000.png: 先進各国の物価上昇率
図1: 先進各国の物価上昇率

1990年代後半からは、おおむね5%以下で推移していることが分かります。

(次回に続く)