ペーパードリーム

夢見る頃はとうに過ぎ去り、幸せの記憶だけが掌に残る。
見果てぬ夢を追ってどこまで彷徨えるだろう。

東洋と西洋のまなざし

2010-01-26 14:39:22 | 美を巡る
100121
東京都写真美術館で開催中の
「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン
  ―東洋と西洋のまなざし」を見る。

1954年にパリで二人は出会い、互いを撮りあった。
微笑ましいポートレイトが残されている。
完璧な構図の写真を残したブレッソンと
生々しい人間の姿を焼き付けた木村伊兵衛。
その違いは歴然としているが、
ライカを使って身の周りの現実―風景も人物も社会現象をも
写し出したという展では共通している。

展示はきわめてシンプル。
各人ごとに、ほぼ時系列で並べられているだけ。
木村のコーナーは、昭和の時代を色濃く映し出し、
日本人ならではの郷愁の念を起こさせる。
人物は生き生きと力強さにあふれている。

ブレッソンの写す人物は、バーで酒を飲んでいたり、
カフェでうつむいていたり。
70~80年前に印象派の画家が描いた風俗人物画、
たとえばドガの「アブサント」などが目の前でダブる。

今回初公開だという、二人のコンタクトプリント(ベタ焼き)が興味深かった。
普段は、決定的瞬間の1枚でしか見られない作品の前後、
カメラマンの心の動きのようなものが、ここから覗けるとしたら…?
ここでも、ブレッソンの考える構図が常に一定であることに驚かされ、
一方木村は、さまざまな角度から面白そうな被写体の決定的瞬間を狙うというような感じ。

二人が試みたカラープリントも少し展示されていたが、
やはりモノクロームの持つ力がひしひしと感じられる
予想通り見ごたえのある展覧会だった。

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2 コメント

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Unknown (アルキメデス)
2010-01-26 17:28:19
週末に観に行こうかな。
昭和と聞くと、どうしても心引かれますね。
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週末に (kikkoro)
2010-01-27 01:07:54
ぜひ行ってみてください!
心地よい空気が流れています。
意外と若者の姿がチラホラと。
(でも週末は混んでるかも…?)
返信する

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